
私は理学療法士として以前回復期の病院で5年働き、その後、訪問看護ステーション(訪問リハビリ)に転職しました。
結果、1年半程度で年収がおよそ2倍になりました。経験的に、転職は収入アップを図るには積極的に検討すべきだと思います。
実際に訪問看護の訪問リハビリは、現状では給料が高いところが多いですが、就職先としてはまだ歴史が浅い分野のため、どんな職場を選べば良いのか悩んでしまいがちです。
そこで、私が実際にどういった点に注意して転職先の訪問リハビリを選んだのか、具体的にご紹介します。
訪問看護STの訪問リハビリって実際どうなの?
理学療法士として、転職先をどこにしようか悩んでいる方で、
- 「訪問リハビリってちょっと良さそうだな・・どんな感じかな?」
と思っている方は、こちらの記事に訪問リハビリの内容について詳しく記載しています。
まずはこちらに目を通して頂くと今回の記事の内容がより理解しやすいと思います。
「訪問リハビリとは?」実際に訪問リハビリを行っている理学療法士が詳しく解説します。
回復期病院からの転職を検討されている方(私もそうでした)はこちらの記事に詳しくその違いを書いています。
訪問リハビリと回復期病院でのリハビリの違いについて「活動・参加に焦点を当てたリハビリとは?」
さらに、新卒の方で訪問リハビリへの就職を検討されている方に向けた記事も書いていますので、対象の方はご確認ください。
新卒理学療法士がいきなり訪問リハビリに就職するのは、リスク管理ができないから辞めた方が良い?
まず、”転職する目的”を明確にする
なぜ訪問リハビリに転職したいのか?まず転職の動機を明確にしておかないと、転職の成功はなし得ません。
職場を変えるという事は、本人にとっても大変労力の必要なことですし、ある程度職場の同僚や周りの方に迷惑を掛けてしまう側面もありますよね。
ないとは思いますが、
- 「飽きたから」
- 「何となく」
このような理由で転職しても、転職先の職場でも同じことを繰り返すだけです。
はっきりと、転職先に”自分が求めること”を明確にしておきましょう。
例として、訪問リハビリに転職しようと思っている方は、
- 訪問リハビリの勉強がしたい(在宅や地域でのリハビリテーションに興味がある)
- 給料が良いところに移りたい
などの理由が多いと思います。
他にも、
- 希望する労働環境で働きたい(現在の職場で環境を変えようと努力したが難しかった)
があると思います。
この後者の理由は一見すると消極的に捉えられがちですが、私は考え方次第ではそうでもないと思います。
所属する組織を、給料や働き方など、自分が望む形に変えていくためには、非常に大きな労力が必要です。時間も掛かります。実際、私達いち従業員の力では何年頑張ってみても変えられないことも多いでしょう。
ならば、さっと諦めて、自分が望むものが初めからある職場に移ってしまった方が、自身の時間や労力も無駄になりませんし、周りの人との無益な衝突も避けられます。とにかく、何となく転職をするのではなく、絶対に目的を持って転職することが必要だと思います。
在宅・訪問リハビリの勉強がしたいと思い、転職を検討している場合
- 訪問リハビリの勉強がしたい。
- 病院だけでなく、地域に自身の活動の幅を広げていきたい。
そういった希望がある方は、極論を言ってしまうと、訪問リハビリ事業を展開している事業所であれば、どこでも目的は達成できると思います。
なぜなら、どこに行っても「結局は自分次第」だからです。極論に思われるかもしれませんが、これは紛れもない事実だと思います。
訪問リハビリをしていると、
- 福祉用具の事業所
- ケアマネージャー
- 訪問ヘルパー
- 介護施設職員
- 居宅介護支援事業所
- 各市町村などの自治体
- 地域住民の集まり
など、様々な分野の事業所や人、コミュニティと関わることになります。
そのなかで、療法士の専門性を活かしてセミナーをして欲しいとか、集まりに参加してほしいなどの声掛けをして頂ける場合があります。そういった活動を通して、自身が地域で実際に動いていくことで、”地域で暮らす人々の実情”というものが初めて腑に落ちて勉強できます。
訪問リハビリで他職種の方や事業所と関係性をしっかりと築き、人との出会いや繋がりを通して、机上では学べない深い学びが得られます。
訪問リハビリの実際の内容は、病院のリハビリテーションの知識がべースとなります。やっていることはそう大きく変わりません。
ただ、在宅は患者さんの「ホームグラウンド」であるため、よりリアルな患者さんの声が聴けたりします。よそ行きではない「本当の生の声」です。
また、よく言われることですが、「できるADL」ではなく、「しているADL」をどうやって改善していくか?という問題にも直面します。
そういった経験が一番の勉強になると思います。
なので、訪問リハビリの勉強がしたいと求人を眺めて転職を検討されている方は、ぜひ、転職後にはもっと視野を広げて、患者さんだけでなく、他の人との関係性や繋がりを大切にしてほしいと思います。
それが一番の勉強になるのではないでしょうか。
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給料が良いところで働きたい
でも、個人的には同じ訪問リハビリをするなら、給料が良いところで働いた方が良いと思います。実際、給料が良いところに転職したいと考えて、給料面ばかりを求人欄で見ている方も多いと思います。
リハビリ職で給料の話をすると、嫌悪感を持たれる方も多いかもしれませんが、家庭がある療法士なら給料は子どもの将来にも関わる非常に大切なことです。
何も悪いことではありません。
むしろ給料は転職を検討する際には計画的にしっかりと考えておくべきことです。
給料が良いところで訪問リハビリサービスを展開しているところなら、訪問看護ステーションがおすすめです。
病院に併設しているタイプの訪問リハビリステーションでは、病院運営のための膨大なコストが掛かるため、売り上げのうち人件費に割ける割合が低くなりがちです。よって給料もあまり頂けない可能性が高いです。
※)詳細はこちらの記事に記載しています。「なぜ理学療法士は給料が少ない?」理学療法士の給料が支払われる仕組みについて解説
よって、給料が良いところの転職を検討しているなら、訪問看護ステーションを選ぶと良いでしょう。(ちなみに私もそうしました。)
といっても、訪問看護ステーションにも色々あります。どういった点に注意して求人欄を眺めると良いのでしょうか?
まず、給料体形を確認する
訪問看護ステーションの給料体形には、
- 歩合制
- 月給制
- 歩合制+月給制
などがあります。ちなみに、”歩合制”とは訪問件数によって給料が変わる給料体系のことです。”1件当たりいくら”という形ですね。
多くの訪問看護ステーションは”月給制”です。(つまり、サラリーです。)
私が今所属している訪問看護ステーションでは、自身で給料体形を歩合制にするか月給制にするか選ぶことができます。最近ではそういった事業所も増えてきています。
歩合制の事業所に転職する場合に確認しておくこと

歩合制だと、訪問リハビリ一件(40分2単位)あたり3~4000円程度報酬が頂ける場合が多いと思います。(もちろん今後の診療報酬の増減に比例して変わると思います。)
単純計算で、1日7件訪問すると仮定すると、1日で2万円程度、週5日勤務で月40万円になります。「凄い!」と思うと思いますが、実際はこんなに回れない可能性が高いです。
なぜなら、一件訪問した後に次のお家まで移動するのに40分〜1時間掛かる場合も多いからです。さらに、常に1日7、8件を1人の療法士に割り振られるほど利用者を抱え込んでいる事業所も少ないと思います。
大体40分の提供時間の訪問リハビリが多いですが、20分位の移動時間で回れないと1日に7~8件回ることは難しくなる計算になります。
よって、希望する訪問看護ステーションの職場が歩合制の場合、その地域でどの程度のシェア(抱え込んでいる利用者)を持っているか?を確認することが非常に大切です。
地域によって異なりますが、おおよその目安として、
- 「所属事業所の地域のシェア≒利用者の多さ≒移動時間の短さ」
になります。
所属事業所の地域でのシェアは、歩合制の場合、給料に直結します。ぜひ、面接の際か電話で問い合わせて聞いておきましょう。私も聞きましたが、答えてくれるところも結構ありました。
もし、答えてくれない場合や事業所も把握しておらず不明な場合は、その事業所が訪問リハビリ事業を開始してどれくらいの年数が経っているのか確認して下さい。
その地域でのシェアは、事業所の継続年数におおむね比例します。
運営年数の長い訪問看護ステーションでは、2000年の介護保険法が始まったと同時期に事業を開始しているところも多いので、そういった事業所なら対象地域でほぼ確実に大きなシェアを持っています。
なぜなら、その地域でシェアが拡大できていないなら、もうとっくに潰れてしまっているはずだからです。最低でも2年以上は経営が続いている事業所にしましょう。
最近訪問リハビリ事業を始めたところは、古参の訪問看護ステーションが入っている地域に後から入っていく形になるので、どうしても訪問するお宅が飛び飛びになったり、点在していて移動に時間が掛かる可能性が高いです。
経営も安定していません。(もちろん絶対にそうとはいえませんが。あくまで確率論のお話です。)
首都圏以外の地域の場合、特に顕著にこの傾向があります。
移動手段も給料に影響する
あと、歩合制の事業所では、車で訪問できるのか確認しておくと良いでしょう。
自転車だと近い距離でも多くの件数を回ることはできませんし、原付き(原チャリ)だと夏の暑さと冬の寒さは非常に辛いです。もちろん雨の日もキツイです。
初めのうちは何とかモチベーションを保って訪問することができますが、一年も訪問リハビリをしていると、絶対に雨の日とか「もういや・・」って心底思うようになります。(笑)
できれば車で訪問先を回ることができる訪問看護ステーションが良いと私は思います。
給料の変動が少ない訪問看護ステーションを選ぶコツ!

ご存じのとおり、私達リハビリ職は、頂ける給料と診療報酬がほぼリンクしています。今後、確実に診療報酬は下がっていくので、給料も減っていく可能性があります。
それでも、給料の増減が比較的緩やかな職場もあります。
それは、他の介護保険事業も展開していたり、手広く保険・医療関係の事業を行っている事業所です。「他の介護保険事業も展開している」というのは、
- 訪問介護ステーション
- 福祉用具貸与事業所
- 特養などの施設系(箱物と言われたりします)の運営
- 通所介護
- 居宅介護支援事業所
などの事業展開も行っている会社・組織ということです。
小さな新規の訪問看護ステーションだと、訪問看護サービスで訪問看護と訪問リハビリしか行っていない場合もあります。そういった事業所は例え今は給料が良くても、診療報酬が下がるとその影響をモロに受けます。
事業だけでなくても個人でも同じですが、収入源が分散しているとリスクヘッジになり、時代の流れのマイナスの影響を受けにくくなります。
訪問看護の訪問リハビリの診療報酬が急激に下がっても、例えば他の訪問介護(ヘルパー)などの収益があれば、ある程度カバーすることもできますよね。
そういった会社で、居宅介護支援事業所がグループ内にあれば、そのケースから訪問リハビリの依頼が来ますし、そちらでも利用者を獲得するために営業的なことに尽力しているはずなので、今後、地域でのシェアも拡大しやすい傾向があります。
※)居宅介護支援事業所=介護を必要とされる方が自宅で適切にサービスを利用できるように、ケアマネジャー( 介護支援専門員)が心身の状況や生活環境、本人・家族の希望等に沿って、ケアプラン(居宅サービス計画)を作成したり、ケアプランに位置づけたサービスを提供する事業所
手広く、多角的に介護保険事業を行っている会社の方が経営としては比較的安定している可能性が高いと思います。
裏情報…代表者や重役の職種も確認しておく

訪問看護ステーションの場合、
- 看護師が代表取締役(社長)の場合
- 療法士が代表取締役の場合
どちらかが多いと思います。
そして、看護師さんが社長の場合、重役も看護師さんが多いです。療法士の場合も同じです。
これが何を意味すると思いますか?
私の経験的に、看護師さんが社長の場合、療法士のその組織での立場は比較的低い場合が多いように思います。職種に上だ下だ、などという上下関係は本来ありませんが、そういった組織の場合は、療法士の意見が通りにくかったりします。
これは本当に”裏情報”です。(笑)
たぶん、本当に訪問看護ステーションに転職した人しか知りません。できれば意見を聞いてもらえる職場の方が働きやすいですよね。
療法士が訪問看護ステーションに就職・転職する際には、社長や重役の職種が何か?を調べておくと、その組織での「療法士の立場の強さ」がある程度推測できます。
実際私はそれも調べて今の会社に転職しました。私の転職先は社長を始め重役は療法士ばかりです。
思った通り、療法士の立場が強く、実際あまり良いことではありませんが、他訪問看護と比べて看護師の離職率が比較的高い傾向があります。
逆に、すごく療法士を大切にして頂けていると感じています。
訪問リハビリの今後の可能性も一応考慮しておく

上述の理由から、現在、訪問リハビリへの転職は訪問看護ステーションをお勧めしますが、もちろん、今後はどうなるか分かりません。
これはいくら考えても誰にも分からないので、個人的にはあまり考え過ぎる必要はないと思っています。考えすぎて動けなくなるよりも、早く行動してしまう方がよっぽどメリットがあります。
結局これからの時代は何事においても変化が速くなるので、素早く動ける人が有利になると私は思っています。ある程度考えたら即行動。ダメだったらまた反省点を踏まえ、軌道修正していくのが良いと思います。
今後の時代の変化の速度についていくには、普段からある程度先の情報収集をしておき、少し流れが変わったら自分の感覚を信じて飛び込む。そうやって、自身の環境を変え続けていくしかないでしょう。
昔は「変化しないこと=衰退だ」などと言われましたが、今では「何かあったら変化する」だけでは遅すぎます。先読みして常に流動的に、変化し続けることが必要だと思います。
また、今後の見通しとして、歩合制の給料体系では診療報酬の減算に伴い、給料も徐々に低下していく可能性が非常に高いです。私は、今のうちに歩合制で訪問をこなしておき、その間にブログやweb活動を個人で行い、稼ぎながら他のスキルを身につけておこうと思っています。
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まとめ
最後に、転職先としての訪問看護ステーションの選び方をまとめます。
訪問リハへの転職を考えている療法士の方で、給料を重視される場合には、病院併設型の訪問リハビリステーションではなく、訪問看護ステーションを選び、
さらに、
- 地域のシェアがある(昔から訪問看護サービスを行なっている)
- 多角的な事業展開を行なっている
- 社長や重役に療法士が多い
ところを選べば、
- 給料も比較的良く
- 給料変動が少なく
- 働きやすい職場である
可能性が高いでしょう。
さらに、古参の訪問看護ステーションでは、市町村や自治体、地域のNPO法人とも繋がりがあることが多く、そことの関係性を利用して、自身の地域での活動の幅も広げやすいです。
これは本当の活きた勉強になります。
私は実際にこれらの基準を満たした訪問看護ステーションへ転職し、友人も1人引っ張り込みました。
そして、2人とも大満足の転職になっています。
私は現在、歩合制で1日9件件程度訪問しています。それなりに忙しいですが、ちゃんとこうやってブログを書く時間も取れていますし、正直病院勤務時代よりも精神的にも肉体的にも楽で、生活が充実しています。
常に1人で行動し、訪問するのも私の性格に合っているのだと思いますし、本当に転職して良かったな~と心から思っています。給料も病院勤務時代の約2倍になりました。
最近ではリハビリ職専門の求人サイトも沢山あります。 私も転職する時には全て登録して良い案件を探しました。
以下にご紹介しておきます。
本当にスマホ片手に5分もあれば全てのサイトに登録できます。これらのサイトは今までの求人サイトとは違い、それぞれサイトに登録すると担当エージェントが付き、転職に必要なサポート(相談に乗ってくれる)をしてくれます。(もちろん無料です。複数のサイトに登録しておくとよりたくさんの有益な情報が手に入ります。)
是非、活用して下さい。
もし、訪問リハへの転職で悩んでいるなら、当ブログのお問い合わせフォームから直接私にご相談下さい。個別であれば、ブログには書けないような、もっと具体的なお話ができます。(地域別の情報は持ち合わせておりませんので、上サイトのエージェントに相談してみて下さい。)
今回の記事が、訪問看護ステーションでの訪問リハビリへの就職、転職で悩んでいる方に少しでも参考になれば幸いです。
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こんばんわ。ほぼ全ての記事を読ませていただきました!当方、若輩者ながらも核心を突いていると感じました!本当に勉強になりました。
訪問リハビリについても自分の経験を活かせる場なのだと感じました。
自分のキャリア形成に不安を感じたのですが、質問や相談に乗っていただいてもよろしいでしょうか。
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こんばんは!もちろん、できる限りお応えさせて頂きます。
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西野さま
コメントさせて頂きます。
訪問看護ステーションで働いていますが、人間関係、給料面や今後の診療報酬のことを考えるとブログで書かれているように様々な事業を行っているステーションが良いのかなと考えてもいます。
ちなみに30台半ばで独身です。
今の職場を辞めるのはまだ気が引けていますが、もっと条件の良いステーションに転職したいという気持ちが強くなってきています。