心理学におけるラポール・ハイパーラポールとは?リハビリなどの人間関係で信頼を得るための技術

ラポールとは


社会生活を送る人間にとって非常に大切なのが、他者と「信頼関係を築くこと」です。

信頼関係の構築のことを心理学では「ラポール形成」と言われます。では、どうやってラポールを形成すれば良いのでしょうか。具体的に説明していきます。




信頼関係がないと社会生活は何もうまくいかない

普段みなさんが行っている多くの仕事は社会的なものです。

仕事での成果を最大化するために、自己啓発書を読んだり、様々なスキルを磨いたりすことは良いのですが、それだけでは限界がすぐに見えてきます。

個人の能力を伸ばすことだけでなく、あなたが飛躍的に成長するためには、「他者とのつながり」が非常に大きな鍵を握っています。

 

他者との信頼関係が上手く築ける人は、自分が知ることもできないような有益な情報を得られる機会も多くなりますし、困った時に助けてもらえることも多くなります。

仕事だけに限らず、職場・家庭、ご近所付き合い、友人関係、恋人との関係性など、自身の能力を他者と一緒に発揮していこうとする時、つまり「人と人が接する」場面では必ずラポール形成が必要になります。

ラポールとは?

ラポールとは、「信頼関係」のことです

人間関係において、信頼関係が大切なことはみなさんご存じだと思うのですが、信頼関係の築き方については詳しくご存じない方も多いのではないかと思います。

 

しかし、知っている・知らないに関係なく、必ず人は無意識にラポールを形成しながら日常生活を送っています。人間関係には必ず多かれ少なかれ信頼関係が関与しています。

 

それほど他者と信頼関係を築くことは社会生活を営むヒトにとって基本的で大切なことである、とも言えます。

 

 

私達リハビリ職は、実習生の頃「ラポール」と言う言葉を担当の先生(バイザー)から聞かされます。患者さんとラポールを築くことが大切だよ、と。

 

しかし、その築き方について詳しく語られることは稀であると思います。

ここで一度おさらいしてみましょう。

ラポールの築き方

では、ラポールはどうすれば築くことができるのでしょうか。

  • 時間や口にしたことなど、約束を守る
  • 相手の予想を上回る仕事の成果を出す
  • 身だしなみをTPOに合わせて整える

簡単に思い浮かぶことを挙げました。

 

実際に、これらのことをきちんと実行すれば、ある程度相手の信頼を得ることは可能です。

 

日常生活を送る上で他者と関わる際に最低限のマナーとなることばかりです。

 

しかし、私達リハビリ職の様に、濃密な人間関係を築くことが仕事になっている職業は、これだけでは十分ではありません。

 

上述のものはあくまで最低限の社会生活、例えばご近所付き合いなどの場面で必要なものです。

お客さんの身体に直接触れるような仕事、営業などの何か高額なものを買ってもらうような仕事など、能動的に相手に動いてもらうことを要求する職種、そういった場合にはもっと深い信頼関係を構築する必要があるでしょう。

 

そして、それがあなたの仕事の成果や質に非常に大きく関係しています。

 

信頼関係というのは目にも見えず、数値化しにくい(できないことはないですが)ので、はっきりと認識することは困難です。

しかし、確実にあなたの仕事の成果に影で影響を与えているもの、それがラポールです。

ハイパーラポールとは?

では、ラポールよりももっと上質の、他者とより濃密な信頼関係を築くためには何が必要でしょうか?

この濃密で強烈な人と人との信頼関係は「ハイパーラポール」と呼ばれます。

 

少しイメージしにくいかもしれないですが、テレビ番組で良く見る「催眠ショー」が「ハイパーラポール」を形成している関係性の分かりやすい例です。

 

催眠術を仕掛ける側と被験者の間には、この「ハイパーラポール」が存在していると言われています。

 

 

あなたがもし、「あなたは口が開かなくなる・・・」と、街中を歩いている話したこともない、見ず知らずの人に言われたって「何を言ってるんだ?」と思うだけですよね。

とても言うことを聞こうなんて普通は思いません。

 

絶対に催眠に掛かることはないでしょう。

 

催眠術は無意識に働き掛け、被験者の心理操作をしています。

催眠ショーの裏側には、被験者とハイパーラポールを築くためのトリックが巧妙に仕掛けられています。

テレビにはその部分は映されていません。

 

では、術者と被験者の間に信頼関係を築くために、どんなことが行われているのでしょうか?

それは、「権威性の誇示」と「好意」を得ることによって、その場を支配するように働き掛けているのです。

その場を支配する「ハイパーラポール」の築き方

ラポールとは

「その場を支配するってどういうこと?」

って思いますよね。

 

具体例を挙げてみましょう。

 

例えば、ペットの犬や猫は主従関係を明確に認識しているという事はご存じだと思います。

言うことを聞かないペットは、飼い主より自分が上の立場にいると認識しています。

 

ちゃんと言うことを聞く、適切なペットと主人の関係性、あれがその場を支配されたハイパーラポールが形成された関係性ということになります。

主人とペットがいる空間では、主人がその空間を支配しています。

ハイパーラポールを築くために①「権威性」

生物は「強いものに従う」という本能がDNAに組み込まれています。

 

これはもちろんヒトも例外ではありません。

 

原始の頃、外敵と闘うために、一人より二人、集団の方が良いし、更に言えば自分よりも強い人と組むこと。それが生き残るために有効な手段です。

 

その方が安全に生存できる可能性が高かったのです。

 

この生物としての強さを人間社会に置き換えると「権威」になります。

 

ハイパーラポールを築くためには、権威性を相手に感じてもらうことが必要です。

相手に権威性を感じさせるための方法

これは色々と心理学的なテクニックがありますが、一言で言うと、「得体の知れない感覚を与える=権威性がある」ということになります。

 

「この人は、私が知らないことに対する的確な答えを持っている!」

相手がそう感じると、その人はあなたに権威性を感じることになります。

 

カリスマ美容師と言う言葉が少し前に流行りましたよね。

カリスマ美容師は、お客さんの髪型を変えることで、自分でも知らなかった自分を発見させてくれるからこそカリスマと呼ばれているのです。

 

誰もが自分のことは自分が一番良く知っていると思っています。

 

しかし、それを超えたものをカリスマ美容師は提供します。

 

良い意味で期待を裏切るものを提供するのです。

 

そうすると、それは権威性となって相手に伝わります。

 

「この人は私よりも私を知っている!」となるのです。

 

ナチスドイツのアドルフ・ヒトラーも、国民が不安に感じている国の経済状況などを「こうすれば絶対にドイツは良くなる!輝かしい未来が待っている!」などと力説し、なぜか?ということを必死に熱を持った演説で国民に説明しました。

ヒトラーもそういう意味では、的確な「答え」を国民に提示し、そのカリスマ性と権威性をアピールし、国民との間にハイパーラポールを形成していたと言えます。

 

第二次世界大戦の日本では、天皇が神格化されることで、この権威性を国民にアピールし、主従関係を明確にしていました。

 

現在でも、テレビや周りをよく観察してみると、至る所でこのハイパーラポールを築くための権威性のアピールが行われていいます。

 

本屋に行けば、「~教授も絶賛!」などと表紙に書かれた本が必ずあります。

 

これもハイパーラポールの構成要素である権威性を誇示し、マーケティングに利用している例です。

 

人は権威性に無意識に引き寄せられます。

 

私達のリハビリ職であれば、患者に、医学的知識を話すことで、「この人は私の知らないことを知っている!」そう感じさせることもできるでしょう。

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ハイパーラポールを築くために②「好意」

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それでは権威性を相手に感じさせることができれば、ハイパーラポールを築くことができるのでしょうか?

それは残念ながらNOです。

 

権威性を感じさせることとは、上述したように、「私の知らない世界を知っている!」そういった認識を相手に与えることです。

 

人間は知らないことに対して神秘的な雰囲気を漠然と感じます。

知識がないために、想像が先走って、本来の実物以上に素晴らしいものだと勘違いするのです。

 

でも、逆に人間は、知らないものは恐怖でもあるという感覚も同時に持ちます。

 

心霊番組を見たくないのに見てしまう「怖いもの見たさ」

 

これがまさしくその心理を示しており、「見たいけど見たくない」、未知のものに対してはそのような感覚を持ちます。

 

よって、権威性だけを誇示するだけでは、逆に恐怖を感じ、本当に心を開いた信頼関係を築きにくい、という一面もあります。

 

権威性があるだけでは、くだけた表現をすると、

  • 「取っつきにくい」
  • 「何か怖い」
  • 「不気味」

そんな印象を持たれてしまいます。

 

あなたも恐らく経験があるのではないでしょうか?

例えば、むすっとした表情の医師に遭遇したことはありませんか?

何だかすごく医学的な知識をたくさん持っていそうだけど、あんまり深く関わりたいとは思いませんよね。

 

そういった権威性の負の特性を打ち消すために、相手から「好意」を得ることが必要です。

 

政治家がよく選挙中に街中を自転車で走って、片っ端から街中の人に握手したりしていますよね?

あれもこの「好意」を得るための活動です。

 

政治家は有権者に言うことを聞いて欲しい訳です。

清き一票を自分に入れて欲しい。

 

政治家、というだけで権威性を感じる人はたくさん世の中にいます。

それにプラスしてそういった活動をすることで、好意を得て、ハイパーラポールを形成し、自分に票をいれるように誘導しているのです。

好意を得るための方法は「共感を得ること」

ハイパーラポールを形成するためには、

  1. 権威性
  2. 好意

が必要という話をしました。

 

以下に好意を得るための具体的な方法をご紹介します。

 

 

 

人は何に好意を感じると思いますか?

 

それは「共感」です。

 

ヒトは、共感すると非常に好意を持ちやすいのです。

 

あなたが友人を選ぶときにどうやって選びますか?

 

何となく・・という人も多いと思いますが、自分と似ているタイプの人が多いのではないでしょうか?

これは、共感をベースに人に好意を抱き、交友関係が作られるからです。

嫌いな人とは友達になりませんよね。

 

嫌いの人のことを「合わない」と表現したりしますが、共感できない、ということを意味しています。

 

好意を持ってもらうためには、共感を相手に与えることが重要なのです。

 

じゃあ、どうやったら共感を得られるのでしょうか?

共感の意味は「感覚を共有すること。」

 

つまり、先ほどの例に挙げた政治家のように、握手をしたりして、五感を共有する体験をお互いに共有すると共感を得やすくなります。

 嗅覚や触覚、味覚などあらゆる感覚を共有する方法を試すとより効果的です。

 

仲良くなりたい人を食事に誘ったりしますよね。デートなどもそうです。

一緒に食事をするランチョンセミナーなども、同じ食事を同じ場所ですることで、この感覚(この場合は味覚)の共有による好意を持ちやすいシチュエーションです。

 

相手と感覚を共有するためには、具体的には、

  • 今相手が座っているソファーの感覚を触って確かめ合って触覚を共有する。
  • 相手の昔の話をしてもらいその時にどう感じたのか?をこちらが汲み取り、それを言葉にする。

などの方法があります。

 

その時に理論立った硬い言葉を使うのではなく、できるだけ感覚的な言葉を使うとより効果的です。

  • 「フワフワしている」
  • 「ドスンと重たい」
  • 「胸が締め付けられるように苦しい」

などの感覚的な言葉をあえて使うことで、相手は自分の感覚を分かってくれていると感じやすくなります。

まとめ

相手とラポールやハイパーラポールなどの信頼関係を築くためのテクニックについてご紹介しました。

 

テクニックは血肉化してこそ最大の効果を発揮します。特に対人においてはそうです。

 

これらのテクニックはあくまで小手先のテクニックです。

これを知ったからといって劇的に相手との関係性が変わるというものでもありません。

 

しかし、知らないより知っている方が信頼関係を築くためのヒントに気付きやすくなることは間違いないと思います。

 

権威性と好意を持ってもらうためには、まずは相手のことをよく聴くという姿勢が何よりも大切です。

まずは、そこをしっかり出来てから初め上述のてテクニックが有効になります。

 

人間はすごく敏感な生き物です。

あなたが相手を操ろうとしていることを敏感に感じ取ります。

 

あなたが権威性を得たいからといって相手のことをお構い無しですごい知識を披露したところで逆効果でしかないでしょう。

偉そうなやつと思われるのがオチです。

 

人間は押さえつけようとすれば反発します。

よってまずは相手の話をしっかりと聴き、相手の想いを察することに注視すべきです。

 

そこからあなたに相応しい実力があれば、相手は権威性を感じるでしょうし、無ければ権威性などを求めるのはそもそも無理があります。

 

好意も同じです。

感覚を共有するためには相手が何を見てどう感じるか?何度も何度も会話して、そこをまずリアルに感じ取らなければ話になりません。

心を擦り合わせるような対話が必要です。

 

そして、それを普段から習慣として血肉化できた時に、初めてそれらのテクニックが大きな効果を発揮するようになるでしょう。

 

人間関係の本質的なところはいつもそこにあります。

きちんと対話して相手を想いやること。

 

実はそれが最も信頼関係を築くために重要なことです。

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