「地域リハビリテーション」とは?地域包括ケアシステムとの違いは?

地域リハビリテーションとは


”地域リハビリテーション”という言葉をご存知でしょうか?在宅や地域で活躍したい医療従事者は知っておくと良い言葉です。また、地域リハビリテーションと混同されやすい”地域包括ケアシステム”との違いについてもご紹介します。




地域リハビリテーションとは?

地域リハビリテーション
画像引用)厚生労働省HP

”地域リハビリテーション”って何だか漠然としていて掴みどころがないものです。今一度定義を確認してみましょう。

定義している団体は、日本リハビリテーション病院や施設協会です。

地域リハビリテーションの定義

1991年に定義され、2001年と2016年に定義の改正があります。それぞれ確認しておきましょう。(以下定義の要点)

【1991年】

 在宅リハと同義ではなく、病院と施設がしっかり連携して同じ観点で関わろうとした。

【2001年】

 定義改正の1年前に介護保険が開始(2000年)。初めて地域包括ケアという言葉が盛り込まれ、地域リハビリテーションにも家族支援、地域支援、組織間の連携が追記される。

【2016年:日本リハビリテーション病院、施設協会HP引用】

地域リハビリテーションとは、障害のある子供や成人・高齢者とその家族が、住み慣れたところで、一生安全に、その人らしくいきいきとした生活ができるよう、保健 ・医療・福祉・介護及び地域住民を含め生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行なう活動のすべてのことを言う。

重要ポイント
平成30年度介護・医療保険改定で、障害者支援サービス、高齢者介護サービスの統一が謳わています。また、”共生型サービス”といって子供も、高齢者も一緒にというサービスも進められています。これからは何でも垣根がなくなっていく時代ですね。

地域リハビリテーションに関わる職種は?

地域リハビリテーションに関わる職種は、

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • MSW
  • ケアマネージャー
  • 包括支援センター職員
  • 地域の保健関係者
  • 介護予防支援者
  • 地域住民

など多岐に渡ります。

地域リハビリテーションと地域包括ケアシステム

地域リハビリテーションとよく混同してしまうものに”地域包括ケアシステム”があります。どう違うのでしょうか。

【地域包括ケアシステムとは (厚生労働省より)】

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。

で、内容ですが、、、、めちゃくちゃ似ています!

地域リハビリテーションと地域包括ケアシステムの比較

 定義を比較して内容の違うところを対比してあります。

 

地域リハビリテーション

地域包括ケアシステム

対象

障害のある子供や成人・高齢者とその家族

重度な要介護状態の人

何か

リハビリテーションの立場から協力し合って行なう(活動のすべて)

一体的に提供される地域包括ケアシステム

ポイント

地域リハビリテーションは支援する側の取り組みで、子供と成人も対象にしている。

地域包括ケアシステムは高齢者を支援する枠組みのこと。

地域リハビリテーションの目的・内容 

2016に日本リハビリテーション病院、施設協会が方針を変更して以下に定めています。

1.リハビリテーションサービスの整備と充実

  • 介護予防、障害の発生・進行予防の推進
  • 急性期・回復期・生活期リハビリテーションの質の向上と切れ目のない体制整備
  • ライフステージにそった適切な総合的リハビリテーションサービスの提供

2.連携活動の強化とネットワークの構築

  • 医療介護・施設間連携の強化
  • 多職種協働体制の強化
  • 発症からの時期やライフステージに沿った多領域を含むネットワークの構築

3.リハビリテーションの啓発と地域づくりの支援

  • 市民や関係者へのリハビリテーションに関する啓発活動の推進
  • 介護予防にかかわる諸活動を通した支えあいづくりの強化
  • 地域住民も含めた地域ぐるみの支援体制づくりの推進

地域リハビリテーションの具体的活動例

地域リハビリにおける、

  • 小児
  • 成人
  • 高齢者

分野で行われる活動について記載します。

小児の地域リハビリテーション

小児リハビリテーションと呼ばれる分野の関わりが多くを占めます。先天性疾患が多いようです。

訪問リハビリでは、自宅でリハビリをしたり、

  • 学校
  • 日中一時支援
  • 放課後デイサービス

など家以外で過ごす施設との連携がとても大事になります。

障害関係の施設では理学療法士の配置は全体の1%以下です。

まだまだ、セラピストの専門知識や技術が導入されていません。こういった部分を施設や組織、地域と連携することによって日常生活全般で支援が可能となります。今後はセラピストと外部の施設との連携が必須になっていくでしょう。

重要ポイント
子供の支援では親御さんはナイーブになりやすいです。身体的ストレスや精神的ストレスの理解が重要になります。また小児の場合、高齢者におけるケアマネージャー的立ち位置の人がいないことも重要な違いです。

成人の地域リハビリテーション

成人の地域リハビリテーションの特徴としては、就労期であるため、具体的な就労への支援が目的になりやすいことです。

よく片麻痺の方がリハビリで利き手交換の練習や、パソコンのタイピングの練習をしたりします。勤務時間や業務内容などを就労先に確認して実際の勤務に照らし合わせるような連携をとると、より具体的イメージを持つことができます。

ポイント
成人期の方は人間として能力が高い時に障害を受ける事になります。障害受容には時間がかかります。「できる、できない」だけでなく「したい、したくない」という気持ちの部分も理解も必要です。

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高齢者の地域リハビリテーション

超高齢化社会の時代の主役である高齢者の特徴は、小児や成人の地域リハビリテーションとは違い、介護保険サービスが使えます。ケアマネジメントのおかげで、医療と福祉、施設の連携はスムーズです。

しかし、在宅サービスでも訪問系以外でセラピストが在籍するのは一部のデイサービスのみで、理学療法士で言えば計算上全体の1.45%の配置しかありません。であれば、家族や多くの介護職の方との連携がやはり重要になってきます。

ポイント
高齢者の場合、日常的な生活そのものの困難さから支援が始まることが多いです。目先の生活が心配であるという気持ちにまずは向き合あい、白か黒以外の提案ができるようになりたいですね。

まとめ

最近、地域リハビリテーションという言葉が聞かれるようになってきていますが、地域包括ケアシステムと混同しないようにしたいものですね。

 

記事執筆…代表取締役PTさん「理学療法士の会社経営ブログ

編集…西野

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