
医療従事者のストレスによる心身の健康障害が最近問題視されています。
近年増加している労働者の心身の健康障害は、医療機関に従事する職員でも例外ではありません。平成18年には、医療従事者の5%がうつや不安障害の傾向にあるといわれています。
日本での自殺者が3万人を超えて以来、過重労働による精神疾患の増加は、社会問題となっています。
診療報酬改定においても「心の問題への対応」がポイントのひとつに挙げられており、医療従事者のストレスマネジメントに対する体制の整備が求められています。
ストレスの原因
医療従事者のストレスの原因にはどんなものがあるでしょう。 順に見ていきましょう。
人間関係
チーム医療の推進により、他業種と積極的に関わっていく機会が増えています。医師の看護師への知識不足なども問題になっています。医療業界では患者、医者、同業種の先輩や後輩、様々な人の背景や立ち場を考えて対応を変えていかなければなりません。必然的にストレスも増えます。
能力と仕事のギャップ
訴訟問題への対応として、書類関係の整備が医療機関で進められています。こなさなければならない書類がどんどん増えて言っているのが現状です。さらに、医療機関の経営難から人員配置に余裕がないことが多く、慢性的なオーバーワークは退職を招き、退職がさらに人員の不足を招きます。オーバーワークがオーバーワークを招く悪循環に陥っている職場が多くあります。
個人的な問題(プライベートの問題)
プライベートでもシングルマザーの増加、核家族化など、他に協力を得にくい環境になってきています。
個人でできるストレス対応法
基本的に上述の3つの原因に対応する対処法を挙げています。
休みの日は気の合う人と会う
医療従事者は合わない人と合わせることも仕事といえます。しかし、それをずっと続けていると心が疲れてしまいます。
休みの日は気の合う人、無条件に自分を受け入れてくれる家族、友人に積極的に会うことで心のバランスを取ることができます。
職場で気の合う同僚と協力関係を築いておく
仕事は上から突然降られる仕事も多いし、患者さんの容態の変化によっても増減するのでコントロールすることが困難です。
いざとなったら利害関係なく助けてくれる同僚がいると助けてもらえます。
もちろんギブ&テイクで、自分に余裕がある時は助けてあげて下さい。
そのためには普段から自分が受け持っている仕事を同僚と話しておくと良いかもしれません。
仕事量が分からなければ助けるタイミングがつかめません。
”あうんの呼吸”ではないですが 、自然とフォローできる関係を築いていけるように心がけましょう。
できるだけ残業しない
残業は純粋に業務量が多すぎるという事もありますが、段取りが悪く、必要以上に仕事に時間がかかっているケース、残業しながら話をしていてあまり仕事が進んでいないというケースもあります。
もう一度本当に残業しなければならない仕事かどうか考えて下さい。
残業の慢性化は、個人の生活の余裕を失くしていきます。
家族で話をしたり、子どもと遊ぶ時間が少なくなるとプライベートの問題も深刻化してくる可能性もあります。
できるだけ残業はしないという強い意志を持って対策を考えていくことが必要です。
この記事も参考にして下さい。「タイムマネジメントのコツ4+1つ」
まとめ
ストレスは実は一概に悪いものではありません。適度にあることで生活に張りを与えます。
本当に問題なのは、ストレスをコントロールできなくなってしまうことです。
ストレスのコントロールには「バランス感覚」を意識することが重要です。
個人レベルでも、人間関係と時間を適切にマネジメントすることで、総合的なバランスを保つことができます
より良い医療を提供するためにはストレスマネジメントの概念は欠かせません。
ストレスをマネジメントして、患者さんに集中できる環境で働けると良いですね。