これからのリハビリで大切なことは、「その先」を提示すること

リハビリの先


普段臨床で「先生、私は治りますか?」と聞かれることはありませんか?

どのように答えれば良いのでしょうか。

実はこの答えには、「リハビリとは何か?」というかなり奥深いものが隠されていると考えています。




「治る」とは?

患者さんが言う、「治る」と言う言葉の定義について考えてみましょう。

 

どんな疾患であろうと、厳密にいうと発症する前の状態まで100%同じ身体能力に回復することが「治る」ということの一般的な定義だと思います。

 

つまり、プラスマイナス0の状態ですね。

 

しかし、高齢の方も多いリハビリで、これを達成するには大変厳しいものがあります。

 

骨折すればある程度の筋力低下や関節可動域の低下を必ずと言っていいほど招きますし、中枢系の疾患であれば、100%に戻ることはIPS細胞でもないとほとんど無理ですよね。

 

そう考えると「あなたの疾患は治りません。」と答えるのが正解なのでしょうか?

 

 

事実はそうかもしれません。

 

しかし、私は少し違和感を感じます。とても正解の答えだとは思えません。

患者さんはなぜそれを聞いたのか?

私達療法士は、専門家として、予後予測や病前のADL、今までの臨床経験、勉強会で得た知識など様々な知識・技術を駆使して患者さんのリハビリに取り組みます。

 

専門家というのは、これらの知識を持っているからこそ専門家なのですが、時にこれらが弊害になってしまうこともあります。

 

つい患者さんを「疾患」として診てしまったり、「治療者対患者」として関係性を扱ってしまいがちです。

この時点で患者さんとの間には壁が存在しています。

 

この壁の存在に気付けないと、「あなたの疾患は治りません」と言ってしまう療法士になってしまうかもしれません。

 

 

 

実は、患者さんが「治りますか?」と聞いてくる時、そんなことを聞いているのではないのです。

そんなこと、患者さんもバカではありませんから、いちいち言わなくっても薄々気づいています。

 

 

少し大胆な発言に聞こえるかもしれませんが、

患者さんにとって、疾患がきれいさっぱり無くなる=完治することなど、実はどうでも良いことであって、さらに言うと、治療者がどんな手技を使おうが、北斗の拳の様に秘孔を突こうが、そんなことはもっともっと患者さんにとってはどうでも良いことなのです。

 

 

患者さんが「治りますか?」と聞いてきたとき、「私がしたいことが、またできるようになりますか?」と聞いてきているのではないでしょうか。

リハビリの「先を見せる」ということ

痛み

例えば、大腿骨頸部骨折で入院してきた患者さんが、痛みに耐えながら、リハビリを続けているとします。

 

基本的に体が弱った時に運動をするのがリハビリですし、効果的に鍛えるためには弱いところを評価で探してアプローチしますよね。

 

つまり、弱いところばっかり突かれるしんどい運動、それが「リハビリの本当の姿」です。

出来ればやりたくない、という人がいても全然不思議ではなく、当たり前のことだと思います。

 

なぜ、そんな辛いことに一生懸命患者さんは取り組めるのか?

それは、「その先を見ている」からです。

 

これに耐えれば、「あんなことが出来るようになるかもしれない」、と思って頑張っています。

治療のその先を当然のように見据えて、リハビリを頑張っています。

 

その先にはその人の思う、本当の幸せや嬉しさがあります。

 

私達は専門家でありながら、治療者として、本当にその先を見て、患者さんと想いを共有できているのでしょうか。

「その先」を提示できる療法士へ!

少し話は変わって、車のTVCM(テレビコマーシャル)では、車の性能についてはあまり言及されません。

 

なぜか?

 

車が欲しいと思う人は、車を買ったその先にある、家族や恋人と旅行する楽しい経験を夢見て、車が欲しいと思うからです。

エンジンの最高回転数が何rpm、車体重量が何kgなんて、大半の人にとってはどうでも良いことです。

 

 

療法士のリハビリでも同じで、「この筋肉はこうなってて、これを鍛ると・・」とか、「この手技は誰々先生が施術していて・・」なんてことは、本当は患者さんにとってはどうでもよいことです。

 

残念ながら、そんな説明ばかりしている療法士を良く見かます。

本当に患者さんの目線に立つことができるならば、そんな説明は一切必要ないことに気付くと思います。

 

 

 

近年、インフォームドコンセントの概念もかなり浸透してきました。

一昔前の医療は、医療が提供される際に、医師から患者へと一方的な面がありました。

 

患者は「何の薬かわからないけど、先生からもらったから飲む」、医師は「どうせあなたに言っても分からない。とにかく飲みなさい。」などと薬を渡したりしていました。

 

しかし、時代は変わって、今では医療はその他のサービス業と同じように、

「説明して、納得して、患者は自由意思に基づいてサービスを選び、受ける」という、

本来ごく当たり前であることが、ようやく浸透してきました。

 

時代は流れ、今ではインフォームドコンセントは当たり前、次の医療の形が渇望されています。

 

インフォームドコンセントの次の世代の医療に求められることは、患者さんに「治療のその先をどこまで提示できるか?」だと思います。

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まとめ

未来

分かりやすく伝えるために、あえて極言します。

 

私達療法士は、疾患を治療するために患者さんにリハビリをしているわけではないのです。

 

あなたは患者さんに、療法士としての専門知識をフル活用して、患者さんが決して一人では見ることができない、「幸せな未来」を提示するためにリハビリをしているのです。

 

 

患者さんに「このリハビリをしたら、こうなります。だから次はこうしていきます。そして、最終的にはこんなことができるようになります!一緒に頑張りましょう!」と是非堂々と言って下さい。

 

たくさん勉強して、たくさんの専門的知識を、患者さんのその先を提示するための材料として使ってください。

 

決して自分のやっていることの正当性を誇示するために使わないで頂きたいと思います。そんなことはどうでもよいのです。

 

 

「夢を魅せることができる療法士」になりましょう。

 

それがこれからの時代に求められる療法士の姿だと思います。

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