
今回は、セラピストブロガー3人で「今後の理学療法士のキャリア構築の方法」について対談してみました。
数年前には考えられないことですが、最近、理学療法士のネットでの活動が活発化してきているのをヒシヒシと感じます。特に最近元気があるのは個人運営のメディアやブログです。
その中でも特に目立った活動をしているお二人にお話を聞いてみました。
対談者紹介
<対談者①:かずぼーさん>
評価やリハビリ関係のブログ「かずぼーのリハビリ大全」を運営しており、運営歴は約1年。現在月間10万PV。分かりやすく丁寧な文章だけでなく、

このような非常にアジのある作画が特徴のブログ。マジでLINEスタンプにして欲しいと個人的には思っています。度々記事をバズらせる唯一無二のセラピストブロガーであり、最近の記事はプロブロガーのももねいろさんにTwitterで拡散された。
<対談者②:喜多さん>
素晴らしい行動力と、リハビリの臨床と論文・学会発表で鍛えた膨大な知識と絶大なコミュニケーション能力を持つスーパーセラピスト。行動力も半端なく、本業のかたわら、
- リハビリセミナー
- コンサル
- ブログ(2個)
などマルチにこなす。ビジネス分野の勉強も抜け目なく行っており、商才もあり。過去の経歴が眩しすぎて目が潰れそうになる危険があるので、あえてここでは紹介しません。
詳しくは喜多さんの運営するブログ、
まで。
<対談者③西野>
私です。
この人たちにキャリアをどう考えているのか聞いてみたい!
私は訪問リハビリをしています。ふとした本業の合間に、今後セラピストとしてどうしていけば良いんだろう・・という想いがふつふつと湧いてくることがあります。みなさんもありませんか?
認定資格とかも取る気しないし、時代の急速な流れを肌で感じながらも、何だかこう、確信をもって動き出せない自分がどこかにいるんですよね。
他のセラピストはどう考えているのかな?と気になって、職場の人に色々聞いていますが、なかなかはっきりしない・・。
そこで、普段仲良くして下さっているブログ仲間のお二人に聞いてみました。お二人とも先見の明があるので、何かしら自分なりの答えを持っているのではないか、と思ったのです。
お二人はまさしく、自身のキャリア構築に向けて今走ってる最中だと思うのですが、
- 自身のこれからの展望
- キャリア構築に向けて今考えていること
を教えて頂けたらと思います。
まずは言い出しっぺの私から考えていることを話しますね。
資格を捨てるために資格を利用する
私はキャリア構築に向けて、まずは自分の武器が何なのかしっかりと確認しておくべきだと思っています。
「理学療法士」とか「国家資格保有者」という武器では、近い将来、もう戦えなくなってくるのが目に見えています。
もっとディープな個人としての武器を探さないといけないと思います。
そのためには、まずは、自分の適性を知ること。
好きなことを仕事にするといいますが、 適性がないけど好きなことや、市場に需要がないけど好きなことはお金になりにくいです。 強引に収益化することもできるでしょうけど、きっと長く続かないでしょう。
好きで自分に合っていて、さらに世間が求めていること。 それが何かを考えないといけないと思います。
その時に、理学療法士の西野という視点と、資格を無くした、ただの西野個人という視点、両方から考えていくと良いと思います。
でも、これって、考えて出てくるものだとは思えないんですね。
だから私はブログでそれを探っている様なところがあります。 好きなことや自分に合っていることはたくさん記事にして書きたくなりますし、その反応である程度の需要も分かる。
ブログは自己発見のためのツール
ブログは集客するためのもの、って意見が一般的ですけど、自己発見するためのツールでもあると思っています。
何より文章にすると頭の中の整理にもなりますし。 しょせんブログだってただの道具なんで、使い方でなんとでもなると思います。
私は、ずっと専門職の視野の狭さとか、どうしても保身的(職域や資格に対して)になってしまうところ(もちろん自戒も込めて)が気になってしまって、今後ボトルネックになってくると思います。
理学療法士って名称独占があるから組織で仕事が出来て、国から診療報酬が貰えるんですけど、逆に自費で独立しようとすると、この資格がデメリットになる面もありますよね。
ならば、極論では、資格を捨てた方が本当は自由に動きやすいのかもしれないですよね。
今はブログに注力してますが、このままこれを続ければ将来安泰なんて微塵も思ってなくて、ひたすらずっと、自分が変わっていけることを探しています。
毎日迷って考えています。笑
自分は理学療法士として得た知識を資源にして記事を量産しました。ここでも資格の力の一部を使いました。
検索にヒットする記事が書けるようになれば、みんなある程度収益が出ます。私はある程度そのコツが分かったので、この知識はもう捨てて、次のステージに行きたいと思っています。
今後はできる範囲でセミナーをやって、皆さんに私が得た知識をお伝えして、自分は違うことをやっていきたいなと思っています。
進化に適応していくのは変化する人だって話がありますが、個人的にこれは正しいと思っています。
どんどん変わっていかないと成長していかない。
さらに言うと、得たものを捨てないと本当の変化できないと思います。今後は「捨てる勇気」が必要だと思います。
国家資格保有者も資格を捨てれないから、診療報酬の増減に一喜一憂しないといけないし、技術や手技、専門知識の多寡にこだわり過ぎて、対人援助である医療職としての本質が見えなくなってしまう場合も少なからずあるのではないかと思います。
資格にすがり、依存するからいつまでも自立できない。
苦労して得たものをパッと捨てちゃう、もしくはあげちゃう、そんな人がこれから伸びるんじゃないかと思っています。
ブログを始めて肩書が増えた
かずぼーさん
僕はほんと最近になって、キャリアなんて大それたことを考え始めたくらいです。
僕なんて「理学療法士」の肩書きしかありませんからね。何とか認定士も、何とかセミナー講師とか。何にも誇れるものがありません。
ごくごく普通の理学療法士です。
でも、ずっと自分なりに勉強もしてきましたし、若手に比べたらリハビリの知識と技術はあると思っています。それをどこかでもっと活かしたい気持ちが強くなってきています。
でも、いきなり勉強会とか講演会なんてする勇気はありませんでした。
だって、何も誇れるものがないんですから。
普通の理学療法士です。って言ってるセミナーに誰が来ますかね。笑
そんなときに出会ったのが、ブログです。
僕の前にすでに西野さんやリハトラネットの中尾さんが、ブログの道を作ってくれていました。1年前では、おそらく西野さんもまだまだ手探りだったように感じます。
そこに乗っかれば、何か変わるかもしれないって思ったんです。
特に西野さんのブログテーマは、未来のPTですからね。
今では西野さんは、本を出版したり、ブログのセミナーやったり、なんかすごいことなってますね。ブログって、僕みたいに何の取り柄もないけど、セミナーも開く勇気もない、恥ずかしがり屋だけど野心だけは一丁前にある人には、うってつけのツールだと思います。
自分のブログを育てれば、何か変わるかもしれない。そう思ってコツコツ続けてきました。
1年続けてれば、
- 勉強になる
- リハビリの評価ならかずぼーのブログを見ればいい
って言ってくれる人もいて、理学療法士以外に僕にはなかった肩書きが一つ増えた気がしたんです。
少し前置きが長くなりましたが、キャリアっておそらくこういう地道な行動の積み重ねで開けていくものだと思っています。
西野さんがブログで度々訴えているように、これから理学療法士だけで給料を増やしていくことはできないと思うんです。
野心がないなら、それでも別にいいと思います。死ぬくらいに給料が減ることはないと思いますますので。
でも、それで満足できますかね?
理学療法士って、野心家で、患者さんにも熱心な人多いじゃないですか。その熱さを違う形で表現すれば、もっともっとそれに似合った対価をもらえると思うんです。
僕はそのためのツールとして、ブログを活用していこうと考えています。
ちょうど、思うところがあったので、ブログ記事にしましたが、(参考:理学療法士ブロガーが急増している件「これからの療法士ブログの活用方法を考察」)今年になって、理学療法士でブログを始めた人が増えてきましたよね。
おそらく、西野さんが訴えまくったからじゃないですかね。笑
おかげで、ブログをやる上で競合が増えました。笑
でも、それでいいと思うんです。
SGMさんとか、半端なクオリティじゃないですよね。(参考:SGMさんのブログ「理学療法士SGMの備忘録」)
僕は西野さんほどアクセス数はまだないので、まだまだアクセス数を伸ばしていこうと思います。僕もコツは掴んだので、30万PVくらいは何とかいけそうです。過酷すぎて富士山を登る気分ですけど。
それと同時に、今後はもっとリアルな活動もしていこうと考えてます。
まだ全然目処はないですよ。
でも、今年中には一度くらいは何かしらの勉強会を大阪で開きたいなと思っています。
Twitterでも「勉強会行く意味ないぞ」と言いまくってる僕が勉強会開くのですから、もちろん明日から使えもしない役立たず勉強会にはしないように考えますけど。
ただ、これも自分の経験の一つに過ぎません。他にもビジネス展開を考えてることはありますが、まだまだ模索中です。でも、ブログは何にしても大いに使えるツールだと思ってます。
「良い理学療法士はたくさんの要素が満たされていないとダメ」
喜多さん
西野さんからお題を頂いたので、書いてみます。
1.自身のこれからの展望
2.キャリア構築に向けて今考えていること
ということなんですが、まとめて話しますね。私は学生の頃から、立派な理学療法士になりたかったんですよね。(もちろん、なにが立派かは学生の時には分からなかったのですが。)
で、働いてみて分かったのは、「いい理学療法士だ!」は、たくさんの要素が満たされていないとダメってことだったんです。
- 臨床が出来る
- 教育が出来る
- 研究が出来る
- 経営が出来る
むむむ…難しいけど、どの領域においても「まぁ、いけるよね!」と思えて、立派な理学療法士になるぞ!と思いました。今も、思っています。
でもね、最近はこれだけでは足りないな~というのを感じているんです。
なぜか?
1つの気付きがあったんです。
「自分の強みを社会に役立つ形でリリースしてる療法士がたくさんいた!」ということです。
どんな人かは…POSTのインタビュー記事とかを読んでみるとすぐに分かると思います…。
そして、それが私の「立派な理学療法士」に付け加えられてしまったのです!私も一つの武器を持って、社会にリリースしたい!と思うようになりました。
私の武器は「理学療法×コミュニケーション」というものです。
理学療法にコミュニケーションの知識や技術を取り込むことで、もっと患者さんへのリハビリが効果的に進む事がありますし、療法士自身が気持ちよく働けるようになったりします。
でも「コミュニケーションが大切だ!」なんて一人で思ったり、言ったりしても、みんなには伝わらない。伝わっても、「知ってるよ!」って思われるだけなんです。
本当に伝えたいことを伝えるためには、いくつかの作戦が必要です。
- 学術活動をする
- ブログを書く
- SNSを活かす
- セミナーを開催する
こんな取り組みをたくさんして、「あ、本当だ!リハビリにコミュニケーションの知識・技術を加えると、めっちゃ役立つ!」と、広く思ってもらえるように取り組んでいこうと、突き進んでいます。
今はまだ、
「理学療法士 喜多一馬」
となってしまっていますが、
今後は、
「喜多一馬 (理学療法士)」
みたいな感じで、自分の強みをどーんと出せるようになろうとフガフガしております。
ブログを何のためにやるか?
私からもお二人に聞いてみたいことがあるんですけど、お二人にとってのブログの位置づけ(ブログをやる意味)は何ですか??
私にとってのブログの位置づけをお話すると、いわば看板で、「喜多、へぇ、コミュニケーションやってるんだ!」と思ってもらえる場所です。
だからリハ豆ってブログは大切だけど看板ではないので、別に運営しています。
ブログと言えば収益!って風潮が最近あるんですけど、私はお小遣い稼ぎが出来ればラッキーかな~くらいにしか今でも思っていません。
でも、看板だから私のことを啓蒙するために、たくさん検索で引っかかって、ごついPVを出さないとな!だから書こう!って考えています。
- 「理学療法 コミュニケーション」
- 「リハビリ コミュニケーション」
で一位にならないといけないのです。ちなみに「リハビリ コミュニケーション」の一位は西野さん笑。
ブログの位置付け…
なんですかね?
人生においてのブログの位置付けですか?自分にとってブログは、ただ可能性を感じるからやってるだけですね。
ぼくのブログで力を入れたところは、「リハビリ評価」です。ここのキーワードを獲得したくて、そういう記事を書きまくりました。得意分野でもあったので。
そうすると、学生さんとか若手の理学療法士・作業療法士の人がよく見てくれるようになりましたね。
なので、僕のお客さんは理学療法士・作業療法士の若手か、もしくは実習生です。^ ^
でも、もう少し幅を広げたいですね。
これから開業するであろう理学療法士・作業療法士もいると思うんです。
転職して収入アップを図ること人もいるでしょうし。
そういう人たちにアプローチできるように、僕は週末開業も良いかなって考えてます。レンタルスペースとかってあるらしいですし。やってみたいなって気持ちがあります。
あと、僕はマジで近々転職しようと考えてますので、少しくらいはキャリアアップのアドバイスはできるかなと思います。
ブログは今後は自分の表現の場にしていきたいと思っています。元から音楽とかやってた人間なんで、創作活動とかクリエイティブなことに凄く興味があります。
たぶんそういったところが根本的に私がブログの好きな理由です。だから、ブログは自分で考えて創るみたいなことが好きな人は向いてると思います。
逆に仕事は楽にこなしたいって人は向いてないような気がします。
また、一方ではビジネス的視点で見ても人を集めることができるので、後々は自分で何かしら商品を作って販売してみたいです。
最初に西野さんがおっしゃってた、自分が好きなことで仕事をするって結構キャリアアップにはキーになりそうですよね。
西野さんは、音楽とか創造活動が好きなんですよね。だからこれだけブログでも創造性を発揮できるのかなって勝手に思ってます。
喜多さんは、コミュニケーションですよね。実際にお会いしたときに、話上手、聞き上手だって思いました。
僕は、1年目からリハビリ評価のことを鍛えられたので、それが強みになりました。
だから、学生にも後輩にも評価のことなら教えられます。
キャリアアップの第一歩は、自分の強みを知ることだと思うんですけど、例えば1〜3年目くらいの若手がこれから強みを探すにはどうすれば良いと思います?
2つあると思ってて、
- なんでも全部やってみる
- 好きな事を死ぬほどやってみる
だと思ってます。幅広げるのと好き=武器?を判定するのと。
実はみんな結構武器持ってるんですよね!僕が思うに。
でもなんかこれから武器を作らないといけないと思い込んで動けなかったりするんですけど。実績は作りながら走れば良いと思います。
実績ないから反応来なくて空振りしても別に良いと思います。それで勉強になることは山ほどあるし。それは失敗じゃなくて勉強なんで、気にせずまたやれば良いと思います。
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これからのキャリア構築に必要なこと
僕ら3人は中堅どころにあたるので、若手の人たちよりは知識も技術もあると思うんです。
ここは自信持っとかないと話になんないですので。
これから若手がキャリアアップをしていく方法って何があるのかなぁって思いまして。
自分のキャリアのことすらまとまってないのに、若手を気にしてる場合ではないのかもしれませんが。
そういう意味では若手と一緒なんですよね。きっと。キャリアを作っていく過程で、過去の経験をどう捉えるかはキーになってくると思うので。若手とかいいながら、ベクトルは自分に向いています笑。
1〜3年目の武器は業界に染まってない視点とか発想じゃないですかね?自分の当時を振り返ってみると、まっさらな視点でこの業界とかリハビリのこと眺めてたと思うんですよね。
違和感を感じやすいとか。慣れちゃうと違和感無くなったりするので。
次世代の若手のキャリアアップで目指すところは完全に「セルフマーケティング」だと思います。セルフマーケティングは、自分を売り込む方法をネットリアル問わず勉強することだと思います。理学療法士じゃなくて、個人として、です。
あ、セルフマーケティングについてを若手のころから勉強するってことですか?
若手の頃から自分を売り込む必要がある、ってことを意識しておくくらいで良いかと思います。リハの勉強をするだけでなく、その出口も考える視点を持った上で勉強することが大切かと思います。
あ、なるほど。その視点があれば、おのずと武器探しもしていくもんですかね。
していくと思います。自分が売れるものって何だろうって・・
今までは患者さんのためって勉強して、それが自ずと自分の給料にも反映していたところがあると思うんですけど、今後はそれが簡単にはいかないので、+αで自分で売り込んでいかないといけなくなるというか。
いや、よく分かります。そもそも武器を探す理由が分からなければ、武器を探そうともしない。極論をいうと。
リハビリ業界は、自分のためっていうのは一旦置いといて、誰かのために仕事をするってスタンスを教えられてきてますもんね。
それで、患者さんも喜んでくれて、やりがいを感じて、そこで満足してしまう人は多い気がしますよね。
もちろん、それも大事なことではありますけど、自分のために何ができるかを考えると、それが商品になって、対価として信頼とか報酬を得られると思います。
そうすると、がぜんやる気も出てきますしね、
まとめ
お二人ともご意見ありがとうございました!
旧来の理学療法士のキャリア構築の方法ももちろん必要ですが、今後はさらに個人が主体的に活動していく時代になっていきます。
資格の枠に囚われない活動が今後重要なカギを握るのかもしれませんね。今回の対談で、自身のキャリアについて少しでも参考になることがあれば幸いです。