訪問リハビリと回復期病院でのリハビリの違いについて「活動・参加に焦点を当てたリハビリとは?」

訪問リハビリと回復期のリハビリの違い


私は回復期の病院から訪問看護ステーションの訪問リハビリへ転職して1約2年が経ちます。

実際に経験して分かった、回復期病院でのリハビリと、在宅での訪問リハビリとの違いをお伝えしたいと思います。

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2016年、療法士が回復期病院から訪問リハビリへ移動・転職する人が増える!?

2016年の診療報酬改定で、回復期病院のリハビリの取得可能単位が以前の9単位から7単位に変更されます。

 

少し前から言われていたことですが、国は回復期病院での患者の早期退院を目指しており、できるだけ早く家に帰り、必要なリハビリを地域から提供されるサービスで受けて下さい、となっていきます。

 

その方が医療的なコストが掛からず、社会保障費削減に繋がるからです。

患者さんは口々に「病院を追い出される!」と言いますが、実際、入院期間が長くなればなるほど、身体も認知機能も精神状態も悪化する患者さんを何人も見てきた私からすれば、決して患者さん自身にとっても悪いことではないと思います。

 

「自分の家に居れる」という当たり前の幸せは、自宅から離れた環境で長年暮らしているとよくわかると思います。

 

この影響を受けて、回復期病院でのリハビリにおける利益は減少することが目に見えており、「もう回復期はヤバいかも・・・」と思った療法士が、今後の発展が望めそうな、訪問看護ステーション、もしくは病院に併設された訪問リハビリステーションに転職、移動することも予想できます。

回復期病院と訪問リハビリの違い

私は今まで5年ほど回復期病院で勤務していたので、体の芯まで「回復期リハ的な思考」が染みついています。

なので、最初訪問リハビリに転職した時は、初めは面食らったこともたくさんあります。

 

今だから分かる、回復期リハビリと訪問リハビリの相違を以下に箇条書きにします。

  1. 機能的回復よりも、活動・参加を促し、生活環境を整えること・・「すぐにできるようになること」がすごく大切です。
  2. 必要な医療情報が圧倒的に少ないこと・・画像の確認、詳細な現病歴を聞くことはもちろん、医師の意見を聞くことも簡単ではありません。
  3. 家族様、ケアマネなど関連する方々との距離感・信頼関係構築が大切なこと・・関係者との関係が上手くいっていないとリハビリ全体がうまくいかないことが多い

当たり前ですが、訪問リハビリの対象となる患者さんは、「脳卒中を7年前に発症した」など回復期病院でのリハビリとは全然違った経過・状態の方がたくさんいます。

今までにありとあらゆる機能訓練やリハビリを受け尽してきた患者さんもいっぱいいます。

その中で回復期のリハビリが主体的に行う、いわゆる機能訓練(筋力トレーニングとか関節可動域訓練)などを行っても、正直効果が限られてしまいます。

 

ちなみに、訪問看護ステーションからの訪問リハビリでは2016年現在、1単位20分で302単位です。大体1回40分のリハビリが多いので、約6000円分程度の価値を訪問リハビリで提供する義務があると私は思います。

 

患者さんが求めていることは、使えもしない筋肉を付けることでもなく、拘縮を予防するためだけの関節可動域訓練ではありません。それは私達が価値があると思っているだけで、患者さんからしたら本当にそうなのか?疑問が残るところです。

 

それよりも、例えば立って歩いて、毎日庭の植木に水をやることができるようになることがある人にとっては価値があるでしょうし、車椅子の移動でも良いから、近所に住むお孫さんに会いに行くことができる方がよっぽど価値がると思う人もいるでしょう。

 

その患者さんが何を望んでいるのか?まずそれを聞き出すことから始める必要があります。もちろん、話している内容だけでなく、表情や行動を見て、全身でコミュニケーションを図ります。まあ、これは病院のリハビリでも同じですが。

 

そしてその本当の希望を聞き出したら、各関係者の役割を考慮して、どのサービスを使えば最もその願いを早く叶えることができそうか考えます。

 

例えば、杖で歩いていたのに、最近めっきり足が弱くなってしまって、杖で外が歩けなくなってしまった患者さんがいるとします。それならば、歩行器で歩くことはまだできるかも知れませんよね。

 

そうすると、ケアマネージャーに協力してもらって、福祉用具の業者さんに歩行器を借りる必要があるかもしれません。

 

なので介護保険サービスの種類にどんなものがあるのか、さらには障害福祉サービスにはどんなものがあるのか知っておくと便利です。専門家としてのアイデアの引き出しをいっぱい持っておく感じです。

 

「最近、歩きにくくなりましたか。じゃあ筋力トレーニングしましょう」と、回復期式のリハをすると、患者さんが歩けるまでいつまで掛かるか分かりません。多分、それではクレームになってしまってもおかしくありません。

「あの人は揉んでるだけで何もしてない。何の効果もない。」と言われてしまうかもしれません。

(実際にはこちらとしては機能訓練を一生懸命にやってても、「揉んでるだけ」と他者に伝えられることもあります。要するにリハビリの内容ではなく、「その人が」気に入らないからですね笑)

 

回復期のリハビリのように毎日リハビリできるわけでもなく、訪問リハビリではせいぜい週2回介入し、1回40分とかなので、筋力トレーニングを主体にすると少し無理があることはお分かり頂けると思います。

実際に私が経験した訪問リハビリの内容

訪問リハビリってどんな感じかな?と思っている方のために、最近私が担当した施設に入所する頑固なおじいさんの例をご紹介します。

頑固なおじいさんは、リウマチで全身の関節に痛みがあり、筋力トレーニングはもちろん、ROM、歩行訓練、全てのリハビリとしての介入を拒否されます。

ドアを開けて私が入ってきた途端「帰れ!」と言われます。「歩いても面白ないし、ワシは車椅子でええんや」が口癖です。

あなたも経験したことありませんか?

このような患者さん、たくさんいますよね。

 

「まぁそう言わずに話だけでもしましょう。」と言って色々話していると、疎遠になってしまった奥さんが近くに住んでいること、離縁はされていても、関係は続いており、最近顔を出さないのでどうなっているのか心配なことを聞き出せました。(おじいちゃんは施設に入所されており、その施設に私が訪問リハビリしています。)

 

私は「なら会いに行きましょう!」といって施設の方に許可を貰いました。そう言うと「そんなこと言って歩かせるつもりやろ。わしゃ、歩けへんぞ!」と言っていましたが、そんなこと、私も了解しています。

 

「私が車椅子押しますよ!」

奥さんの住所があったので、それをスマホに入力して、会話しながら奥さんの家に車椅子を押して向かいました。もちろん40分の訪問リハビリの時間で帰れる距離であることは下調べしてすでに分かっています。

私と話している時はあれだけムスッとしていたおじいさんが、奥さんが出て来られて話をしていると顔をくしゃくしゃにして笑っていました。

訪問リハビリと回復期のリハビリの違い

10分ほど話して施設に帰ると、おじいさんが「ありがとうな。来週は歩いたってもええぞ」と言ってくれました。

私のためにではなく、自分のために歩いてほしいのですが・・・笑

 

「もう歩かなくても良いですよ。」

私は言いました。

「来週は近くの公園に桜の絵を描きに行きましょう。僕も一緒に描くので教えて下さい笑」(この方は風景画を描くことがすごく好きな方です。)

 

と言いました。そうすると、本当にうれしそうに顔をくしゃくしゃにしてにこっと笑っておられました。

たぶん、そのうち歩いたりしてくれるようになると思います。たぶんですが・・・。

 

この方にとっては歩くことよりも、奥さんに会って顔を見て話し、体調を確認することの方が優先順位が高く、価値があったわけです。現時点では。

 

ICFの活動・参加と言う項目がありますが、これは立派な活動であり、奥さんとはいえ他者と社会的交流を持てたというところで、正直自分の中でも「ええリハビリやったなー!」と思っています。

 

そんなこと療法士がやらんでもええやん!って思われる方もいらっしゃると思いますが、このおじいさんは、この奥さんに会って話をしたい、という想いを数か月間持っていました。(施設職員の方に聞きました。)

 

色んな職種が介入している方だったので、私以外にできる人がいるなら、とっくに念願は叶っているはずです。

でも、私が訪問した時にはその願いは叶っていない。

つまり、誰もそれを叶えてあげられる状況になかったのではないか?と私は思いました。

 

で、私は状況的にも、時間的にもそうやって連れ出してあげることが可能でした。ならば、やってあげれば良いと思いました。

 

療法士だから、と言うより、サービスを提供する一人の者として、私しか願いを叶えてあげることができる状況になかったのです。

もちろん、行為としては「ただ車いすを押しただけ」です。それで診療報酬を貰っても良いのか?という疑問はあると思いますが、この方には、あの手この手を尽くしても、これしかリハビリ職として介入する方法がなかったのです。

決して間違ったリハビリをしたとは自分では思わず、これからはもっと「活動や参加を促すようなリハビリを考えて、提案しよう!」と思いました。

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まとめ

訪問リハビリでは、一見リハビリと関係なさそうなことでも、サービスを提供する者としてどうリハビリに組み込んでいくか?というところが大変重要だと思います。

もちろん身体的な機能回復も諦めてはダメですが、訪問リハで、患者さんを自宅でリハビリするということは、病院よりも様々な個別性の強い状況に置かれているということなので、そこをどう理解していくか考えなければならないと思います。

>>訪問リハビリ(訪問看護ステーション)への転職を検討中の方へはこちらも参考になります。

 「経験者が語る療法士の訪問リハビリへの転職「訪問看護ステーションの選び方と求人の探し方」

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