セラピストよ「書を捨てよ、町へ出よう」まずはもっと自分のダメなところを公言していこう


私は実習生の頃「分かりません」と言うと「調べてこい!」と言われるのが嫌で、「分かりません」と言うことができずに、何となく分かったふりをしてごまかす術を覚えました。




これはただ私に無駄なことをしたくない、めんどくさがりやと言う性分があるからだと思うのですが、実際、臨床に出てからも、セラピストは自分の得意分野になると多くを語りますが、知らないことになると沈黙してしまうことが多いように思います。もちろん私にもその傾向が多分にありますが・・・。

さらに自身の分野に関係がないと思うと、全く聞いていなかったりします。

「分からない」と気軽に言える環境作り(見える化の次は”言える化”)

セラピストは「知らないことは恥」、「自身の勉強が足りないからだ」という漠然とした無意識の枠を作ってしまっているような気がしてしまいます。

 

人間の身体機能や精神活動、肉眼に見えない意思や意欲、生活を相手にする職業をしていて、知らないことがあると「それはお前の勉強不足のせいだ!もっと勉強せい!」という話になりかねないところは、ぜひとも改善していかなければならないところだと思っています。

もうこんな意味のないマゾヒズムに基づく自己陶酔感を高めるための手法は私達の世代で終わりにしなければなりません。

エビデンスを構築し、見える化を実績したら、次は”言える化”ですよ。

 

もっと「分からないから詳しく教えて下さいよ!」と目を輝かせて気軽に聴ける業界にしていければ、成長速度が桁違いに違うと思います。

もちろん、自身である程度勉強していることが前提条件ですが。「ROMってなんですか?」って聞かれても、教科書見てね、あるいはググって下さいって話になります。その方が説明するよりも早いですから。

大体人間の広範囲の活動を対象としているリハビリ分野では、現代科学で解明されていないこともたくさんある訳で、いくら個人が死に物狂いで勉強したって、わからないものはわからないのが当然です。

 

一人で勉強したって視野も狭いし、成果や効果も知れているじゃないですか?そう思いませんか?自分の好きなことばかり勉強して、横のつながりや関係性がほとんど見えてこないじゃないですか?

実際、色んな異なる分野を勉強して「あ、ここ繋がってる!」と新たな発見がある瞬間は本当に楽しくて、大きなモチベーションになりえる、かけがえのないものです。

他を知ることは自分を知ること

少し視点を変えて、個人レベルの成長で考えると、思春期に自身の存在と他者を精一杯比べて(スクールカーストの存在などが良い例です)、他者をはっきりと認識するに従って、自身もはっきりと認識できるようになります。これを発達心理学ではアイデンティティの確立と言ったりします。

 

つまり、自分を知るためには、周りの他者がどんな者なのかまず知っていることが必要不可欠です。比較を通して「差異」を知ることで始めて自分が理解できます。

自分以外の物を詳しく知ることは、自分を詳しく知っていくことに他なりません。

リハビリ業界を個人の成長に当てはめて考えると、まだ思春期手前ではないか、といった印象があります。他者すらはっきり認識できていない人が多いように感じてしまいます。(あくまで個人の見解です。)

リハビリを知るためには、基盤としてなぜ保険が適応されているのか、なぜ国が貴重な税収をリハビリに割いてくれているのか、まず国や政治に関心を持つのが普通の勉強だと思うのです。しかし、不思議に学校でそこが語られることはほとんどないように思います。

そういったことを知ることが、前提条件としてリハビリが社会的に存在する本来の意味を知る良いきっかけになります。

 

 

そして他職種がどんなことをしているのか、どこに専門性があるのか、それを勉強することで、自身の専門性を考える大きなヒントになります。

他職種を非難し、政治も国のことも全く語れない人がリハ職の専門性を語っても、とても的外れな意見であることは話す前からある程度推測できます。

書を捨てよ、町へ出よう

劇作家、寺山修司は「書を捨てよ、町へ出よう」と言いました。

これをそのまま、セラピストよ「書を捨てよ、町へ出よう」、私はこう言いたい。

 

この場合の書とは「机上の知識」のこと、町とは実際の町のことだけではなく「外部のこと全て」を指しています。

勉強して知識を蓄えたら、それを持って外に出て行こう、という意味です。

外部に触れて、出会いとか、自分が予期できない偶然のものですら、自身の道を深めるために非常に効果的な勉強の材料になります。もっとどんどん自分以外の他のものに出会って、知ろうと努力する。到底理解できないものを理解しようと親身になって考える。

それが体験を伴う本当の勉強ではないでしょうか。

そのためには視野を広くして社会に出ていかないといけない。違う意見・立場の人に反論されて、でもその意見も間違っていると一概には言えないな・・という経験をどんどん重ねていかないといけない。そうやって一見すると相反するものも吸収していかなければならない。実はそういったところに新しいつながりが発見できたりして、興奮することが多いものです。

勉強とは積み重ねていくことだけではなくて、自身の余計なものをどんどん捨てていく行為ではないかと思うのです。人が勉強して変わっていくってそういうことだと思います。

他の人に出会って、自分の身体の外側にある要らない余計なものを削ってもらって、多少痛い思いをすることもあるけれど、本来の自分が中から出てくる。

目指すのは「素人くさい専門家」

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装具士のプロフェッショナルは、データの蓄積や研究を突き詰めていくと最終的には「装着感」を重視するようになるそうです。

これは他の分野でも同じで、専門性を突き詰めていくと「限りなく素人くさい専門家」が出来上がるのではないかと思っています。

ピカソだって初期は家や自然の風景の見事な模写の写真の様な絵を描いていました。

しかし、それを突き詰めていくと「ゲルニカ」みたいな一見すると「子供が書き殴ったの???」という風な絵になっています。非常に素人くさい。

でも実際は素人が逆立ちしたって絶対に描けない素晴らしい絵です。

 

専門家として胸を張れるようになるのは「素人くさい専門家になれた」と自分で思えたときかなと個人的には思っています。

究極的に言ってしまうと、患者とお茶でも飲みつつ談笑しながら、軽くちょっと触るだけで、身体の何かが変わっており、生活が確実に楽になった、と言われるようなセラピストを目指しています。

患者さんに「専門家だね!」と言われるようでは私の中ではまだまだで、

「あの人またお茶飲みに来たわ・・でもなんか体調もええし、面白いからええかw」って苦笑いされるくらいのセラピストになりたいと思います。

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まずは「できないんです、助けて下さい」と周りに言う

でも、いきなり引きこもっていた人が外に出ていけと言われてホイホイ出ていけるわけありません。

なので、まずは、「いくら考えても、いくらやってみてもできないんです。助けて下さい!」と周りの人にどんどん言っていくと良いのではないかと思います。

自分の良い成果ばかり表に出すのではなくて、できないこと、失敗したことをどんどん表に出していきましょう。

人を助けることが好きな人が多い業界です。必ず誰かが助けてくれます。

 

「助けてくれなんて私は言えない。専門家として恥ずかしくないの?」という意見もあると思うし、そう言われることもあるでしょう。

その時は「専門家だから言っているんです。何としても、どうしても問題を解決したいから言っているんです。諦めたくないんです。」と言いましょう。

助けて下さいと普段から言っているとどうなるかというと、まず、困っていた問題のヒントが貰えます。さらに、助けてくれる人との繋がりができます。

重要なのは、後者です。「繋がりができること」が重要です。

繋がりができるということは、まさしく「町へ出た」ということです。町へ出る勇気がなくても向こうから寄ってきてくれるのです。

まとめ

失敗を、困っていることをもっとオープンに表現したら、個人の力不足を取り上げて攻撃するような人も未だに少なからず居ると思います。

でも、そんなことをいくらしても何にも変わりません。いい加減気付くべきです。

税金を無駄使いした政治家を責めて失脚させても、また違う人が同じことをするだけのことと同じです。延延とそんなことを繰り返していても不毛なだけです。

逆に、困っている所に手を差し伸べて、お互いに助け合うことでシナジー(相乗効果)が生まれて、思わぬ副産物が生まれます。それはよく言われる”イノベーション”と言われるものと深く関係していると思います。

個人が考えて出てくるものなんてたかが知れています。実際は人と人が前向きに違う意見同士をぶつけ合ってより良いものを新しく創造することで、革新的なアイデア(イノベーション)や大きな進歩が生まれるものだと思います。

そのためには、まず「書を捨てよ、町へ出よう」を実績する必要があると思います。

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