リハビリにおけるクリニカルリーズニング まとめ


リハビリにおけるクリニカルリーズニングとは、「臨床推論」と訳され、理学療法士が臨床で出会う患者さんの問題点に対してどのように治療で解決を図っていくのか、その思考過程のことを言います。

簡単に言うと、直感や経験だけに頼らずに、推論し、仮説、実績、検証の過程を繰り返して問題点に迫るための方法論で、一連の心理(認知)的 過程を指します。

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PTプロセスは単純に過程そのものを示すものに対し、クリニカルリーズニングは”PTプロセス全般における思考の過程”にフォーカスしたものです。

理学療法士の専門性というと、分かりやすいところで言えば、解剖・運動学の知識、動作分析、手技などがあると思います。 それらの勉強会に通って専門性を高めよう、というのは間違ってはいないですが、臨床においてはそれだけでは専門性を発揮できません。

武器は正しく使ってこそ意味があります。 その”使い方”こそが、クリニカルリーズニングです。

”過程”を重視する理由とは

EBPTやクリニカルリーズニングはどちらも臨床における思考過程にフォーカスしたものです。

 

医療は人を相手にします。

あなたと私で比べても、育ってきた環境も違えば生活スタイル、家族、趣味・嗜好、金銭的状況など関係するありとあらゆる因子が全く同じことは厳密にはありえません。

 

個人を対象に医療を行うことは、この膨大な量の個別性を考慮して結果を出さなければならないということです。

医療は結果が全てと言われ、治療した疾患が治る、動作が改善する、など、患者さんが抱えている問題が少しでも改善しないと意味がありません。よって過程よりも結果が重要視されてきた経緯があります。

 

しかし、昨今のように医療の質が問題になってくると、逆に「結果を出すための過程」の重要性が見直され始めました。

個別性全てを把握、対処するのは不可能に近く、結果にこだわるからこそ、過程も重要視して、質を上げていくことで、ある一定のレベルの結果が出しやすくなります。

特に理学療法士など新人がどんどん入ってくる業界の場合、ある程度の質の維持を図るためには、知識・技術の教育に取り組むと同時に、思考過程を教育していくことで、効率的に結果を求めやすくなります。

 

EBPTもそうですが、結果だけではなく過程が重要視されている背景にはこのような理由があります。

他国で重要視されている”direct accessとクリニカルリーズニング”

クリニカルリーズニングでは、日常性生活動作の分析を主軸に思考を展開していきます。

日本の理学療法では、PTプロセスの情報収集の段階でカルテや処方から事前に情報が得られるため、対象者に直面する前から初期仮説を立てやすい状況にあります。

しかし、他国では例えば腰痛でリハビリを受ける患者に対して、脊柱管狭窄症によるものなのか、骨の変形に伴うものなのか、はたまた筋筋膜原性の疼痛なのか、初期仮説を立てるための情報を対象者を目前に自ら情報収集していかなければなりません。

自律して診療を行う理学療法士にとってはクリニカルリーズニングは極めて需要なものと言えます。これは今後の日本の理学療法士も考えておくべきことです。

”動作”を対象にする分野では、より精密に過程を検証する必要がある。

先ほど述べた通り、動作分析を中心に理学療法の仮説は組み立てられることが多いです。

しかし、一概に動作といっても、実は様々な要素を持っています。

 

単純な運動(movement)としての側面と、運動が組み合わされた動作(motion) 、 行為(action)として外部に働きかける場合もあります。

 

運動=複合的な関節運動

動作=いくつかの運動が組み合わされたもの

行為=参加や活動を目的とした動作

 

このように、動作は目的・組み合わせによって種類が変わり、意欲や環境など目に見えない曖昧で捉えどころのないものに大きく影響されます。曖昧なものを検証する時に思考する過程を定義しておくことで精度を上げることができます。

クリニカルリーズニングを妨げるもの

直感的な判断

十分な検証をする前に判断してしまうことは適切な答えに辿り着く妨げになる場合があります。特に臨床経験をある程度積んだ医療従事者は、今までの経験で類似する症例に当てはめて直感的に判断することも多くあります。

確かに、臨床経験に基づく直感的な判断は思考過程や検証過程を大幅にショートカットできるので、その答えが合っている場合には有効な手段ですが、本当に間違っていないのか検証の過程を踏むことが必須です。

・バイアス

心理的に人は自分の都合よいように物事を解釈しがちです。臨床においても同じことが頻繁に観察され、自分の仮説に都合の良い判断材料ばかり集めてしまう傾向にあります。人はいくら柔軟に考えたつもりでも自分の思考のクセから抜け出すことは難しく、偏った思考になっているものです。これも、検証の過程を踏むことである程度回避することができます。

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仮説証明作業により検証する

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仮説には2種類あります。

①帰無仮説・・証明されて欲しくない仮説

➁対立仮説・・証明されることが歓迎される仮説

仮説→治療、得られた結果から歓迎される変化が見られたら仮説が証明されたと判断し、さらに治療行為を展開していくことになります。 しかし、上記のバイアスにより、基本的に人間は自身の仮説が間違っている回答につながる行為をしようとはしません。希望的観測や願望に基づく思い込みによって仮説を自分の都合の良いように解釈しやすい傾向があります。

 

例えば、勉強会に参加すると、その知識を無理に仮説に取り込み、思考を展開してしまうことが過去に私にもありました。知っている分野や強い分野に重きを置いて仮説を立ててしまうのです。

 

これを防ぐためにどうすれば良いか?

まず、自分が考えることはこのバイアスや思考のクセが強く表れていると認識することが必要です。そのうえで常に根拠を求める態度で思考に臨むことが必要です。

アウフヘーベン的発想が必要

哲学の分野でもヘーゲルが、「アウフヘーベン(止揚)」という概念を唱えています。 これは、ある意見と反対の意見を取り入れることで、よりその意見の正当性が増すこと、と説明されています。

日本では「温故知新」がその意味を汲んでいます。 既存の意見を否定する形ではなく、意見を肯定するための材料として、批判的意見を取り入れるということです。

これはクリニカルリーズニングの根幹を成す、否定の意見も取り入れるという考えと同質のものです。自分の思考を疑う、そのために批判的意見を柔軟に取り入れるというアウフヘーベン的発想がクリニカルリーズニングにも必要です。

まとめ

クリニカルリーズニングやEBPTなどは様々な本を読んでみても、かなり漠然としている部分があります。 これらの性質として、思考の過程を検証する作業のため、なかなかすっきり理解するのはたやすくありません。

思考の過程は図示化することもできますが、かなり熟練した人でも明確に図示化することは容易ではないでしょう。 なぜなら、人の思考というのは、直感や雰囲気、自分のその時の気分に大きく影響される側面を持っているからです。

それを如何に取り除き結果を安定して出せるようにするか、そこから生まれたのがこれらの思考方法であると思います。

今後情報が増えてくるに従い、これらのテクニックを理解し、応用できれば、日常生活でも情報を活用する時に有効でしょう。

私も、臨床でこれらの考え方を何度も反復して行い、精度を高めていきたいと思います。

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