
今大注目のロボットスーツ「HAL」をご存じでしょうか。
2016年4月頃、その「HAL」が、いよいよ保険適用となるようです。

ロボットスーツHALの医療用(下肢タイプ)は、患者に装着するロボットスーツ、カフ(大腿用と下腿用)、センサシューズなどで構成されます。
患者に装着して患者の脳の信号を受け、下肢の動作を補助し歩行運動を繰り返すことで、脳に歩行動作を学習させるロボットです。
HALの仕組みを簡単に説明
人が体を動かそうとする際、微弱な生体電位信号が皮膚表面で発生します。
HALはこの微弱な生体電位信号を活用しながら人の活動をアシストするように機能します。
そして、HALによって動かされた筋肉は今度は逆に感覚神経、脊髄を得て脳にリアルタイムでフィードバックされます。
この「フィードバックされる」というところが画期的なところで、患者はフィードバックを得ながら運動をHALによってコントロールされるので、より自然な動作が可能となります。
HALが保険適用になる!
「HAL」は元々ドイツでは日本に先駆けて労災保険適用となり、低価格・低負担で利用できるようになっていました。
日本では2016年1月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)で承認され、2016年4月以降の収載を予定しているとのことです。
保険適用に当たって、使用目的は次のように規定され、申請されているそうです。
「緩徐進行性の神経・筋疾患のうち、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィーのいずれかの患者を対象として、本品を間欠的に装着し、生体電位信号に基づき下肢の動きを助けつつ歩行運動を繰り返すことで、歩行機能を改善する」。
引用2)
CYBERDYINEのロボットスーツには医療用の他にも、介護用のものや、自立支援用のものもあります。

介護用のものは、介護者の負担を軽減するように腰部に装着し、介助者をアシストするものです。
自立支援用のものは、単関節に着け、脳で思った通りに関節が動くようにアシストするというものです。
本当の使用感は使ってみないと分からないですが、運動機能に障害がある方でも、僅かな運動信号を読み取ってアシストしてくれるとのこと。
うまく活用できれば、今まで自立して生活することが困難だった人が、自立して日常生活を送れるようになるかも知れません。

HAL 災害対策用はこんなロボットスーツです。単純に近未来的でSF映画みたいです。カッコいい。
リハビリの現場での実際のロボットスーツHALの利用はどうなる?
リハビリの現場では、自力では歩行できない重症の患者さんに装具を使用したり、数人で介助して歩行する練習が行われています。
そもそも、歩行動作を練習してちゃんと歩けるようになるためには、圧倒的な「練習の量」が必要です。
リハビリの時間は集中的にリハビリが受けられる回復期病院に入院している患者さんでも最大3時間程度、その中で歩行訓練に使える時間は、長くて数十分です。
重症の患者さんは、一日数十分の歩行練習で、身体に機能的な問題があるにも関わらず、歩行動作を獲得しなければなりません。
しかも、最近では医療費削減の観点から早期退院が推奨されており、将来的にはもっとリハビリできる時間は限られてくる傾向にあります。
実際のところ、歩行動作を確実に獲得するのはなかなか困難な状態です。
しかし、ロボットスーツHALの登場により、今までは長下肢装具を使用して療法士が介助して歩行していたような患者さんが、リハビリの歩行訓練としてもっと頻繁に、手軽に歩けるようになるかもしれません。
結果として、退院する頃には何とか歩けるレベルに達する方も確実に増えると思います。
実際に臨床で使われるようになるまでにはクリアしなければならない問題がたくさんあると思いますが、早く多くの人に役立つロボットスーツが広く普及して欲しいものです。
ロボット産業って国も力を入れようと注目している産業なので、今後の進展に目が離せませんね。
引用1.2.3 CYBERDYINE HP