
リハビリにおいて、筋力を増大させる、つまり、筋肥大を意図的に起こすことが目的の場合は非常に多いと言えます。
基本的なことですが、筋肥大の仕組みを知って、正しい筋トレを行っていく必要があります。
筋肥大について
運動によって起きる筋肥大を、作業性筋肥大、あるいは運動性筋肥大と言います。
筋肥大が起きると、個々の筋繊維の直径は太くなり、筋原繊維の数は増加し、ATPやクレアチリン酸、グリコーゲンなども増えます。
つまり、筋肥大が起きると、筋の収縮力と、それを支える栄養補給機構とが同時に増大します。
ウェイトトレーニングなどの筋力強化練習を始めた初期の段階での最大筋力の増加は、活動する運動単位の増加や複数の運動単位の活動の同期化など、中枢神経系の働きによることが多いとされています。
この状態までは20分のリハビリでも達成可能である、と言われています。
訓練を長期間継続することで、初めて実質的な筋断面積の増加が起こります。
ちなみに、筋繊維の数自体は胎生期にほぼ決まっており、出生後はその持って生まれた筋繊維を太くさせる筋肥大により最大筋力を増大させる必要があります。
筋力強化練習による筋繊維の肥大は速筋で著しいとされています。
1つの筋の速筋と遅筋の筋繊維の比率は、遺伝的に決定される面が多く、筋力訓練やによる筋肥大には個人差が現れます。
筋肥大には75%以上の収縮が必要
筋力強化には抵抗運動あるいは静止性運動が利用され、少なくとも最大筋力の75%以上での収縮を行う必要があります。
最大筋力の30%以内で連続運動を規則的に行うと筋の酸素消費が増え、筋の代謝の変化が起こり、エネルギー源として炭水化物の代わりに脂肪酸やケトンは効率よく利用するようになります。
しかし筋収縮の性質にはあまり変化が起こらないので、筋肥大には繋がりません。
筋萎縮について
逆に、廃用性の筋萎縮は1~2ヶ月も筋を使用しないと、その大きさは正常の半分にもなります。
最大筋力は1週間の不使用で10~15%低下するとも言われています。
抗重力筋では早筋性よりも遅筋性の萎縮が著しいです。
廃用症候群を予防すると言う目的もリハビリには多分にありますが、1週間何らかの理由でトレーニングができないと10~15%も筋力が低下してしまいます。
よって廃用症候群を防止するためには、ただ単に運動を促すというだけではなく、体調管理を行い肺炎や発熱などのリハビリができない状態を予防することも大切です。
筋肥大と筋萎縮の基礎知識を抑えて、正しい筋力トレーニングを心掛けて下さいね。