簡単に理解できて効果的!リハビリにおける基本動作の評価方法と効果的な練習方法

基本動作の評価と練習方法


リハビリの臨床で、基本動作の評価や練習ってどうすれば良いのかわかりにくくないですか?臨床経験が浅い頃は私も悩んだものです。そこで、今回は私が臨床で学んだ基本動作の簡単な評価、動作分析の仕方と、効果的な動作練習の方法をご紹介します。




リハビリにおける基本動作とは?

基本動作とは、

  • 寝返り
  • 起き上がり
  • 座位
  • 立ち上がり
  • 立位保持
  • 歩行

のことを指します。移乗動作は基本動作に含まれません。

このうち、今回は基本動作の中の基本である、寝返り、起き上がり、立ち上がり動作について説明していきます。

寝返り動作について

寝返り動作を評価する際の一番のポイントは、

  • 骨盤帯
  • 体幹
  • 肩甲帯
  • 頸部

の回旋が分離して行われているかです。

分離していると言っても、動きが分離しているだけで、実際は繋がっているので、どこかが固かったり、上手く回旋させることができないと上手く寝返ることはできません。

流れる様に連続してそれぞれの部位が回旋すれば、効率の良い寝返り動作となり、日常生活でも楽に「使える」寝返り動作になります。

 

私が学生の頃は、寝返りができない方には、腹斜筋を鍛えれば良いのでは?と思っていました。学生の頃って筋力しか診てないですよね・・・。

実際は腹斜筋がそんなに強くなくても(ある程度は必要です。)、効率の良い寝返り動作を指導すればできるようになることも多いです。

日常生活でできる実用性があれば、日常生活で反復して腹斜筋を使うようになります。

動作指導でできるようになるのであれば、そちらを先に行うべきでしょう。

寝返り動作の評価・練習の仕方

評価として、寝返り動作のどこができていないのか、何が問題でできないのか、上記の骨盤帯(下肢)、体幹、肩甲帯部、頸部に分けて動作分析していきます。

寝返り動作の評価

骨盤帯

股関節内旋・膝関節屈曲の関節可動域をチェックします。特に盲点になりやすいのが、股関節内旋の可動域です。

体幹部

体幹回旋に関しては、可動域よりも、ある程度の筋力が重要です。骨盤帯が回旋するに従って体幹も回旋させるのですが、その時に体幹筋(腹筋群)のトーンがあまりにも低いと、骨盤帯に体幹が付随して来ず、難渋することがあります。その場合は腹筋群の筋トーンを上げる練習(座位練習など)を行っていく必要があります。

肩甲帯

肩甲帯~上肢はベッドの柵を掴めるかどうかが評価のポイントです。

頸部

頸部は回旋できる可動域があるかどうかが大切です。以下に説明する方法で簡単にスクリニーングできます。

寝返りの動作練習の方法

以下にご紹介する動作練習は、これをすれば全ての患者が寝返りができるようになるわけではありませんが、私が効率的な寝返り動作のスクリーニング兼、練習として行臨床で行っている内容です。

寝返りができない方には、まずこの動作を行って頂き、それぞれの部位の可動域や筋力に問題があれば、個別に精査して対処していきます。

 

①まず背臥位で寝ている状態から、両膝を曲げます。その時に膝関節の屈曲可動域、筋力を確認します。両膝を立てておくだけの下肢の協調性も必要です。寝返り動作練習

②そこから体をねじるように指示して、膝を横に倒すことができるか確認します。この時に股関節内旋の可動域を確認します。

この時腹斜筋の力が必要そうに思えますが、実際は足の重みで膝が横に倒れますので、筋力よりも、「上手に脱力できることと下肢の協調性」が問題になります。脳卒中片麻痺などで筋緊張の異常が強く症状として表れている場合は、”脱力”ができない場合も多いです。

寝返り動作練習2

膝が倒れると、倒れた足につられて骨盤帯が回旋します。

 

③骨盤帯につられて、次は肩甲帯の回旋が起こってくるので、柵を見る様に指示しながら寝返る方向と逆の方向の上肢で柵を掴む(これで頸部の回旋が行えるか見ます。)ようにしてもらいます。

寝返り動作

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起き上がりについて

寝返りまではできても、起き上がり動作のon elbow以降ができない方が多いです。on elbow以降の動作ができない方は下記の方法でできるようになることがあります。

起き上がり動作の練習方法

①ベッド上での起き上がりであれば、ベッドの中心で寝返りをしてから起き上がろうとすると、体が柵に近すぎて、On Elbowの利点である、肘を使った「てこの原理」が利用できません。

なので、柵を把持して寝返った後にグッと柵を押して、少し柵から体を遠ざけることでOn Elbow→On Handができるようになる場合があります。

特に体が大きい患者さんは、ベッド上で寝返ると、ほとんど間違いなく、ベッド柵が体に近すぎる状態になっているはずです。そういった場合、私は起き上がり動作を始める前の自身の体の位置を調整するベッド上での動作も練習して頂く場合もあります。

 

②もう一つのポイントは「目線」です。

目線を起き上がる方向に向ける様に指示して下さい。目線を向けると自然に頸部が起き上がる方向に回旋しますので、より起き上がりやすくなります。

立ち上がり動作の練習方法

立ち上がり動作
肘も足も突っ張って、支持物にぶら下がるようにして立とうとする立ち上がり動作は非効率的です。

立ち上がり動作ができない方で多いパターン(上記の写真)が、

①肘を伸ばして前にある支持物を引っ張ろうとする。腕の力を使おうとする。

②膝を伸ばして、足部を椅子から遠ざける。

です。

下肢の筋力が低下していたり、何らかの問題で体幹屈曲の動作が行えない方は、どうしてもこういった形の立ち上がり動作になりがちです。

立ち上がりでは、足部の位置が前に出過ぎていると、非常に非効率的になります。必ず足部を体の近くに引きつける様にして下さい。後は体幹を屈曲させることがポイントです。

 

片麻痺がある方、大腿骨頸部骨折などの既往がある方は、無意識に弱い方の足を前に出して、できるだけ使わない様にして立ち上がる方が多いです。立ち上がりができないからといって普通に練習を行っていると、どんどん重心の偏倚した非効率的な動作になりかねません。

立ち上がり動作
「立ち上がり動作のCKC練習」写真では右足が弱い方の足です。こうすることで弱い方の足を立ち上がり動作中に強制的に使うように訓練します。また、弱い方の足の荷重練習・筋力訓練にもなります。

立ち上がり動作が安定しない、できない方は是非、弱い方の足を引きつけて、逆に強い方の足を遠ざける様にセラピストが誘導・固定して立ち上がり動作を反復して練習してみて下さい。立ち上がり動作のCKC練習です。

 

上手く汎化されれば、両足を以前より効率良く使えるようになり、日常生活でも立ち上がり動作の安定性が向上するはずです。

まとめ

基本動作をわかりやすく理解し、練習するために形式化してご紹介しましたが、当然、個々の患者によって問題点も違いますし、本来は定型的に捉えられるようなものではありません。そこがリハビリの難しいところであり、面白いところです。

なので、本当は上記の知識を参考に、より深く個別の問題点を評価していくべきです。

また、立ち上がり動作で重心が偏移していようが、安定して行えていればそれで良い場合もありますし、ケースバイケースです。その人にとって、どの立ち上がり動作が一番適しているかを考えてリハビリを行って下さい。

基本動作練習は地味ですが、日常生活でとても大切な動作です。動作の専門家である療法士であるからこそ、基本動作にこだわってリハビリに取り組みたいものですね。

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