骨盤のゆがみを治す?!骨盤矯正の嘘・本当を理学療法士視点で考える

骨盤のゆがみ


理学療法士として臨床で働いていると、未だに「私、骨盤がゆがんでいますか?」と患者さんに聞かれます。

みなさんは患者さんに聞かれたことがありませんか?

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私は骨盤がゆがむなんてことはありえないと思います。

恐らく、これを見ている療法士のみなさんも同じ意見ではないでしょうか。

「骨盤矯正」という単語は「腰痛」と同じくらい検索されている

骨盤矯正のデータ

しかし、調べると「骨盤矯正」と言う単語はGoogleで月に平均7万4千回も検索されています。

(参考までに「腰痛」が9万程度です。それに迫る勢いですね。)

 

骨盤ダイエット、骨盤体操、骨盤矯正ベルトなど、骨盤のゆがみを対象にしたサービスや商品が世の中に溢れており、

未だに多くの人が骨盤のゆがみや骨盤矯正に関心を持っていることが伺えます。

私達専門家からしたら明らかに過大な効果を謳うこのような骨盤のゆがみビジネスが、なぜ注目を集め続けているのでしょうか?

 

理学療法士の視点で考えてみたいと思います。

骨盤のゆがみによる身体への悪影響

骨盤の歪みと美容

骨盤のゆがみによる主な悪影響は、

  • 体調不良
  • 腰痛
  • 老化
  • 生理痛・生理不順
  • 肩こり
  • 不妊
  • 便秘
  • うつ
  • ダイエット(下半身・下腹部ポッコリ)
  • 冷え症

などがネットで検索すると出てきます。

特に女性をターゲットにして美容関係の肌荒れや老化と結びつけられていることが多いです。

骨盤がゆがむ原因

原因として、

  • 左右不均衡に体を使う
  • 脚を組んで座る
  • バッグをいつも片側だけにかけている
  • 横座りを良くする。(膝をくっつけてペタンと座る)
  • うつ伏せで寝ることが多い
  • 脚をクロスにして立つと楽
  • 運動不足で筋力が低下している

などが挙げられています。

 

偏った体の使い方をすると骨盤がゆがむということのようです。

 

しかし、生物の体は本来左右非対称です。

右利きの人は右手が左手よりも太いです。また、家の間取りもそうですし、日常生活で使用する様々な道具も体を左右均等に使うようなものは少ないと思います。

食事の時も左右どちらかで噛んでいる人が大半だと思います。

体の使い方が不均衡なために骨盤がゆがむということであれば、恐らくみんなゆがんでいるでしょう。

骨盤のゆがみのチェックポイント

骨盤のゆがみのチェックポイントとして挙げられているのは主に以下になります。

  • 両足の長さ
  • 立位での骨盤の高さの左右差
  • 左右の肩甲骨の高さ

私からするとなぜこれらのことだけで骨盤がゆがんでいると断定できるのか不思議です。

 

足の長さの左右差(脚長差)は、頸部骨折やTHAの手術による股関節の影響かも知れないし、変形性膝関節症による膝関節伸展制限のせいかもしれません。肩甲骨の高さも同じです。これらの評価だけで骨盤がゆがんでいると断定することはとてもできないと思います。

「骨盤がゆがむ」とはいったいどんな状態?

私は「骨盤がゆがむ」という言葉の意味がよくわかりません。

ネットで検索し、様々な情報を確認したところ、「骨盤がゆがむ」というのがどんな状態か正確に定義しているところはありませんでした。

 

「ゆがむ」とは、正常な形から変形していびつな形になることです。

 

骨盤自体が変形するということでしょうか?

しかし、骨盤は強固な骨で形成されているので、簡単にゆがむことは考えられません。

 

車が衝突するなど余程大きな力が瞬間的に加わると、ゆがむというより骨折する可能性はあると思います。

 

また常識で考えて、骨盤矯正のために徒手的にゆがみを矯正させることも不可能です。

皮膚の外から人の手で力を加えたぐらいでは骨の形を変えることはできません。

骨盤の解剖から「ゆがみ」を考察する

骨盤の解剖から骨盤のゆがみとは何か考えてみたいと思います

骨盤の解剖

骨盤は寛骨と仙骨により形成されています。左右の寛骨が前部で結合し、恥骨結合を形成します。

仙骨と寛骨の連結部は仙腸関節です。

仙骨からは上に脊柱が連なっています。

 

骨盤がゆがむとしたら、この仙腸関節か恥骨結合が緩むという可能性が考えられます。

しかし仙腸関節は板状関節で6つの強力な靭帯により補強されているため、せいぜい数㎜程度しか動かず、もし動いても骨盤が目に見えてゆがむほどではないと思います。

 

恥骨結合も基本的に動きません。

例外として、女性が出産するときに一時的に緩み、赤ちゃんが通る道ができると言われています。

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骨盤のゆがみは骨盤の前後傾のこと?

解剖学的に見ると、当然ですが、骨盤がゆがむという事はありえないと思います。

少し考え方を変えてみると、骨盤のゆがみの悪影響として、腰痛、下半身・下腹部ポッコリなどがあげられていることから、おそらく骨盤の前傾、後傾のことを指しているのではないかと思います。

 

骨盤を前から見たときの左右の高さの違いは、前述の脚長差によって影響を受けるため、骨盤と言うよりも、股関節の影響が大きいと思います。

「股関節のゆがみ」という表現であれば、骨盤の左右の高さの違いも要素に入れても良いかもしれないと思います。

まとめ

骨盤のゆがみに関して色々調べていると、女性は出産の際に「骨盤がゆがむ」と考えている方が多いようです。

yahoo知恵袋で「出産を機に骨盤がゆがみ、それ以降肩こりが酷いです。」などの相談がたくさんあります。

 

実際出産の時に骨盤は「変形」します。(私も妻の出産に立ち会ってこれを目の当たりにしました。)

 

女性はそれを体験的に知っています。

 

出産により骨盤が一時的に「変形する」ことを「ゆがむ」と認識させ、ダイエットや美容関係の症状に結びつけることでサービスや商品の購買意欲を煽っているように感じました。(あくまで私の私見です。)

 

科学が発達した現代でも疑わしい情報が未だに平然と信じられていたり、ネットで検索すると堂々と出てきたリします。

一時期話題になったトンデモ科学の「マイナスイオン」などもそうですよね。

 

マイナスイオンなどは効果がなくても最悪笑って済ませば良いと思いますが、特に体のことに対しての情報の真偽にはもっと世の中自体が敏感になる必要があると思います。

体のことに関して、安易な行動を取ってしまうと、取り返しのつかないことになる可能性もあります。

 

私達にできることは、臨床でのリハビやコミュニケーションを通して、患者さん達に医療情報の真偽を確認する術をお伝えすることではないかと思っています。

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