リハビリにおける頸椎・腰椎牽引療法の効果と適応・禁忌について

牽引療法


私は学生時代街の個人経営の整形外科でリハビリ助手としてアルバイトをしていました。そこでは、腰痛や頸部痛・肩こりが主訴の患者さんに牽引療法を行っていました。

リハビリとして行われる牽引引療法にはどんな効果があって、どんな方に適応するのでしょうか。

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牽引療法の機器・装置について

牽引療法
写真引用)OG技研カタログ

このような電動牽引器を使用し、患者さんは首や腰部に専用のベルトを装着し、機械により牽引されます

リハビリとしての牽引療法では、主に

  • 頸部
  • 腰部

を牽引します。

 

症状や体格などを考慮して

  • 牽引角度
  • 牽引力
  • 牽引時間

を決定します。

電動牽引器では、

  • 牽引力
  • 持続・間歇の牽引方法の選択
  • 牽引時間

が調節でき、非常用の安全装置も装備されているものが多いです。

牽引の力源

牽引するための力原としては、

  • 自重
  • 重錘
  • 電気

などが用いられますが、多くの整骨院や整形外科では電気を力源にする電動牽引が主流です。

 

私の働いていた整形外科では「兄ちゃん、首吊りして。」と患者さんに言われることがあり、アルバイトで働き始めた頃の私はぎょっとした経験があります。

首吊りとは、すなわち頸部牽引を意味していると気付くまでしばらく掛かってしまいました。

患者さんは頸部牽引のことを「首吊り」と一見するとかなり物騒な名前で呼ぶことがあるので注意してください。

牽引の種類

牽引力を持続的に行うかどうかによって、持続牽引と間歇(かんけつ)牽引に分かれます。

この方法のうどちらが良いということは意見が分かれるところで、持続牽引を基本的に行う場合は多いです。

持続牽引

牽引を持続させる方法です。多くの場合こちらの牽引方法が選択されます。

間歇(かんけつ)牽引

間歇的に、つまり、牽引して緩めてを一定間隔で行う牽引方法です。

牽引の効果を増大させるために

実施前に温熱療法や高周波療法など、筋の弛緩を促すために牽引実施前にこれらを行っておくとより効果的に牽引の効果を引き出すことができます。

頸椎牽引について

頸椎牽引

頸椎牽引は頸椎椎体を伸長する方向に牽引することによって、

  • 頸椎の脊髄症状
  • 神経根症状
  • 局所症状

などを緩和するために行われます。

姿勢

頸椎の牽引は主に座位で行われます。

角度と牽引力・時間

特に頸椎の場合、牽引する角度が重要です。

軽度頸部屈曲位(20~30度=少し顎を引いた角度)で牽引するのが望ましいとされています。逆に頸椎伸展位での牽引は症状を悪化させることが多いとされ、行われることはありません。

また、ベルトを取り付ける位置を顔面の左右対称にセットし、真っすぐ牽引することが重要です。

座って頸部の牽引を行う際は椅子の位置が重要で、椅子が機械に近過ぎると頸部が過屈曲になり、椅子が遠すぎると頸部伸展位となります。微調整をして、頸部屈曲20~30°で行います。

 

体重の1/10程度の牽引力から始め、問題なければ通常は8~15㎏で行います。牽引時間は10分程度から開始し、15~20分程度まで漸増させていきます。

適応

  • 頸部頚椎症(特に神経根症、局所症状)
  • 頸部~肩、胸部から手指にかけての疼痛、しびれなどを訴える頸肩腕症候群
  • 急性期を過ぎた頸椎捻挫

禁忌

  • リウマチや関節炎
  • 強直性脊椎症などの炎症性の脊椎炎
  • 結核性疾患(脊椎カリエス)、悪性腫瘍の転移のあるもの
  • 頸動脈や椎骨動脈の重篤な動脈硬化症があるもの
  • 高齢者で骨粗鬆症の著明な場合

作用と効果

持続牽引では、主に

  • 頸椎椎間板の乖離による脊髄や神経根への刺激の軽減
  • 筋スパズム原性の疼痛の軽減

とされています。

間歇牽引では、

  • マッサージ効果による組織循環の改善

があります。

しかし、現状では、研究に基づくデータは充実しておらず、不明な点も多いとされています。患者の自覚的な訴えを聞き、適宜効果を確認しながら行う必要があります。

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腰椎牽引について

腰椎牽引
写真引用)OG技研カタログ

患者がベッドに背臥位になり、腰のベルトをしっかりと絞めたら、腰椎を直線的に牽引するために、足置き台に両足を載せ、ファーラー肢位になります。

この状態で10~15分程度腰椎の牽引を行います。

腰椎牽引の方法

腰椎牽引を行う際は、腰椎の前彎を減少させた肢位から、脊柱カーブの延長線上に牽引するようにします。

適応

いわゆる腰椎症と言われる、筋スパズムを主因とするものが適応となります。

脊椎すべり症などの器質的疾患は整形外科的処置に任せておくべきで、理学療法においては、骨の安定性に不安がなく、主に軟部組織性に起因するものが適応となります。

一般的に持続牽引は急性期に、間歇牽引は亜急性期から慢性期において使用されます。

腰痛症の原因で多いもの

少し余談ですが、牽引療法が用いられることが多い腰痛症について、静的姿勢における”腰仙角の増大”が腰痛に関与していることもあります。

腰椎と仙骨の成す角である腰仙角が増加すると、第5腰椎と第一仙椎の剪断力(前方への滑り)が増加します。

腰仙角が増大する要因としては主に、

  • 腸腰筋の短縮
  • 股関節伸筋・腹筋群の筋力低下
  • 肥満
  • 妊娠

などが挙げられます。

その他、腰痛の原因として多いものを参考までに以下に挙げておきます。

  • 腰部へ過負担によるもの
  • 腰・骨盤リズムの不全によるもの
  • ハムストリングの短縮
  • 軟部組織の柔軟性低下
  • 脊柱の変形

などです。

禁忌

  • 全身衰弱が著しいもの
  • 悪性新生物のある場合
  • 牽引によって悪化する可能性のあるもの
  • 疼痛の著明なもの
  • 外傷に由来するもので急性期
  • 骨粗鬆症の著明なもの(骨折のリスクが高い)

作用と効果

頸椎・腰椎ともに、牽引療法は牽引力を脊柱に伝え、椎間及び椎間孔が広がり、上・下椎間関節面に加わる圧が減少します。

よって、基本的には、徒手的には促すことができない、”脊柱の圧の解放”が最も特徴的な牽引療法の効果となります。

 

一般的な腰椎牽引の効果は以下になります。

  • 後縦靭帯に対する圧と異常緊張の緩和
  • 神経根圧迫と根周囲における循環不全
  • 筋の不均衡状態の除去
  • 筋・腱・靭帯に対する一種のマッサージ効果による腫脹の除去と循環の改善

組織に対して個別にその効果をみていくと以下になります。

筋肉

筋の伸長に伴う血流の改善と痛みの改善

神経系

椎孔・椎間孔の拡大により神経の圧迫除去する

椎間板

椎間板に掛かる圧を軽減させ、髄核や繊維輪を中央に向けて移動させる

まとめ

リハビリで行われる牽引療法には、

  • 頸椎
  • 腰椎

に対して行われるものがあり、

方法としては、

  • 持続牽引
  • 間歇牽引

があります。

 

牽引療法の最も特徴的な効果は、抗重力位でいるだけで普段から掛かってしまっている、脊柱の圧の解放です。

それに伴う様々な効果が期待できます。

 

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