フィットネスバイクは糖尿病や変形性関節症、脳卒中のリハビリにも効果的!その使用方法と効果

自転車エルゴメーター


普段理学療法士として臨床でリハビリをしていますが、自転車エルゴメーター(フィットネスバイク・エアロバイクとも言われます)ってかなり良い道具だと思っています。

手軽にちゃんと運動ができて、しかも体に良い効果がたくさんあるんですね。




フィットネスバイクは実は高齢者にこそ最適ではないか

各ご家庭に訪問してリハビリをしていると気付くことがあって、歩くことが健康に良いとは分かっていても実際は現実的ではない方も沢山います。

そんな方はフィットネスバイクが役に立ちます。

フィットネスバイクはダイエットのためにするものと思っている方も多いですが、実はダイエット以外にも良い運動効果があります。

 

その効果は、実は若い女性がダイエットに使うよりも、高齢者が健康維持のために使う方が向いているのでは?とさえ思える程です。

 

これからの時代は高齢者も元気に働くのが普通になります。年々その傾向が強くなってきて、昔は60才で定年というのが通例でしたが、今では60才でも現役バリバリの方がたくさんいます。

元気なお年よりが増えてきていますよね。

 

一昔前のお年よりと言うと、70才だったら本当におばあちゃん、みたいな人が多かったですが、今は70才でも旅行にバンバン行っていたり、活動的な方も多いです。もちろん見た目も若いです。

 

現実的なことで言うと、年金が受給できる年齢が上がってきて、それに伴い働かざるを得ない、という人も増えてきます。

社会情勢的にも、日本の経済状況をみると、今後医療保険の負担割合が上がる可能性も高いですし、健康じゃないと何かと生きにくい世の中になりそうな気配があります。

 

今までの医療は体のどこかに痛いところが出てきたリ、病気になってから受診するというのが普通でしたが、それだと実は既に遅いという事が言われ始めています。

 

何か体に異常が起きる前に予防する、その方がすぐに治るし、連鎖的に他のところが悪くなることも少ない。

掛かるコストも少ない。

 

そういった意味でも、これからはいかに元気で年を重ねるか、ということが非常に重要でもっと強く意識されてくるようになります。

 

 

そこで、私が一押ししたいのが、フィットネスバイクによる自転車漕ぎ運動です。

 

こんなやつです。

ネットでは”フィットネスバイク”や”エアロバイク”で検索すると家庭用のものが出てきます。ダイエット目的にずーっと昔に購入して今では部屋の物干し代わりになっている・・・という方も多いかもしれません。

 

今回は、自転車を漕ぐことで体にどんな良い効果があるのかまとめてみます。

フィットネスバイクによる自転車こぎ運動のメリット

色んなメリットがあるので、列挙してみます。

1.する運動が単純!

これは実はすごく大切なことです。一概に「膝が痛い」という症状がある人でも、原因が違うとその治療方法も違ってきます。

 

しかし、この自転車はただ漕ぐだけ!それしかできません。

 

逆にそれが良いんですね。

 

「このやり方で合っているのだろうか?」

などと考える余地もないので、悩まないで済みます。何しろ漕ぐことしかできませんから。

ひたすら負荷を少し考慮して続ければ良いだけなんです。

 

原因やフェーズ(時期)によって運動方法を変える必要もありません。ひたすら漕ぐ、それだけという単純さが魅力の一つです。

2.有酸素運動が手軽にできる

有酸素運動は糖尿病の方には必須の運動です。そして糖尿病の方は非常に多いです。

でも、毎日歩いたりするのはなかなかできない人も多いです。特に雨だとか、寒い日・暑い日はとても外を気軽に歩く気にはならないものです。

 

自転車エルゴメータを部屋の中に置いておけば、天候や気分に影響されずに有酸素運動を行うことができます。

タオルを用意したり、ジャージに着替えたりの面倒くさい支度もしなくて良いです。

3.ながら運動ができる

家でテレビやYouTubeを見ることが日課になっている人は、それらを見ながらでも自転車漕ぎ運動ができます。

運動は継続させなければあまり意味がありません。

継続させるための方法として、「ながら運動」は有効です。

 

ウォーキングはせいぜい音楽を聞きながらしかできませんが、自転車漕ぎ運動なら視覚も「ながら」に稼働させることができます。

4.体への負担が少ない

ウォーキングにも勝るフィットネスバイクのメリットはこれです。

 

膝に痛みを訴える方は大変多いです。

膝に痛みがあるとどうなるか。

 

まず、精神的に運動する気になりにくくなります。そりゃそうですよね、動いたら痛いのですから。運動するだけもでもしんどいのに、それに加えて膝の痛みがあるのです。じっとして動きたくなくなるのもよく分かります。

 

歩かないといけない!でも膝が痛い・・という人も多くて、その葛藤で悩んでいる方も多いです。

しかし、自転車漕ぎなら、膝へのストレスはほとんどなく、痛みが出にくく効果的に足の筋肉を鍛えることもできます。

 

普通に歩くと、足に体重が乗りますが、自転車漕ぎの場合はサドルにほとんどの体重が乗っています。

なので膝へのストレスはほとんどありません。

 

膝を曲げて漕ぐから痛いんじゃないの?と思う方もいるでしょうが、サドルの高さを上に上げれば、それほど深く膝を曲げずに自転車漕ぎができます。

さらに、駆動する時の重さ(負荷)を上げても膝へのストレスはほとんど変わらないので、徐々に負荷を増やして行けば理想的な運動ができます。

5.カロリー消費

有酸素運動=ダイエットと連鎖的に思う方も多いと思います。

自転車漕ぎの運動強度はゆっくりと漕ぐとおよそ6METs、少し早く漕ぐと8METsになります。

歩行がおよそ3.8METsなので、およそ倍近くの運動量になります。

 

ダイエット目的にもフィットネスバイクは適しているといえます。

フィットネスバイクの効果、使用目的と使い方(主にリハビリ)

上述のメリットを生かした活用方法をお伝えします。

変形性膝関節症のリハビリ

変形性膝関節症は多くの方がメカニカルなストレスに対して痛みを訴えます。

 

メカニカルなストレスというのは、物理的に膝関節が縦や横、もしくはねじれたりする方向に力が加わることです。

歩行では当然これらのストレスが掛かります。

変形性膝関節症で鍛えるべき筋肉は主に膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋です。

よって、膝の曲げ伸ばし運動をしている方も多いです。

 

でも、その運動にはメカニカルストレスが加わりがちです。

痛みを堪えながら運動を続けるのは無理があります。

大腿四頭筋は膝の曲げ伸ばし以外でも鍛えることが出来ます。それがこの自転車漕ぎです。

 

下方向にペダルを踏み込む時に大腿四頭筋が強く収縮します。文献にもこのように記載されています。

内・外側広筋は歩行時の5倍近くの活動量を示し、高速で駆動するほど活動がより強くなる。

 

多くのフィットネスバイクは負荷調節ができます。適切な負荷で行えば、大腿四頭筋の強化になります。

さらに、変形性膝関節症の方に多いのが、痛みがあるから動かさない、動かさないから余計に痛くなるという悪循環です。

自転車漕ぎで、痛みなく膝を動かす習慣を付ければ、膝周囲の筋肉のこわばりも取れ、関節の滑液(潤滑油)も滑らかになります。

筋力強化による関節の保護だけでなく、滑液の潤滑など、今ある関節保護の力が働きやすくなります。

変形性股関節症のリハビリ

股関節の骨が変形する変形性股関節症にもフィットネスバイクは有効です。

変形性股関節症になると殿筋群の筋力低下が目立つようになることが多いのですが、ペダルを踏み込む動作の時に殿筋群のトレーニングにもなります。

サドルが低過ぎるとペダルが上の位置に来たときに股関節を深く曲げる必要があるため、痛みが出る可能性もあります。

サドルを上にあげて股関節が曲がり過ぎない程度に自転車を漕ぐと痛みなく運動が出来ます。

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糖尿病のリハビリ

糖尿病のリハビリに有酸素運動は必須です。

糖尿病の運動療法では、運動の効果と安全性に配慮した適正な運動強度として「中強度」の運動が推奨されています。

 

この中等度の運動量と言うのは、最大酸素摂取量の約50%程度とされています。

しかし、この最大酸素摂取量は個人によってかなり差があるため、精密に測定するのは容易ではありません。

そこで、個人レベルで運動をするときに、心拍数が簡易な目安として使われます。

 

59歳以下は120拍/分、60歳以上は100拍/分と考えれば、簡単に覚えやすく、実戦的な知識になると思います。

この脈拍数は、感覚的には「他人とおしゃべりしながら続けられる程度の運動」です。

 

これはリハビリの臨床で簡易に計測する場合、主観的運動強度「ボルグスケール」という尺度が使用されます。

ボルグスケール
ボルグスケール

等級の欄の数値がおおよその心拍数を示しており、表記の10~12の「楽である」の前後程度の運動を続けると効果的であるとされています。

 

実際に、私も臨床のリハビリでボルグスケールを使いますが、運動をしている患者さんに等級を見えないように隠して「楽である」などの項目を指で指してもらうと、おおよそその時の脈拍と同じところを指さします。

 

 

まとめると、糖尿病の運動としてフィットネスバイクを使う場合、

  • 59歳以下は120拍/分、60歳以上は100拍/分の負荷に設定
  • 自覚的な体のしんどさは「他人とおしゃべりしながら続けられる程度の運動」
  • ボルグスケールでは「楽である」~「ややきつい」程度の運動

を習慣的に行うと良いです。

脳卒中のリハビリ

あまり知られていませんが、脳卒中のリハビリにもフィットネスバイクは有効です。

脳卒中による運動麻痺があると、ほとんどの場合片麻痺により左右対象な運動がかなり困難になります。

 

自転車漕ぎでは、ペダルに置く足をしっかりと固定さえすれば、麻痺足にほとんど力が無くても反対側の足で稼働すると強制的に左右対象な足の運動が出来ます。

もちろん出来るだけ動かしにくい足にも力を入れて漕ぐことでさらに運動効果があります。

 

自転車漕ぎの運動には、ある程度股関節、膝関節、足関節の可動域が必要です。

普段動かしにくい麻痺側下肢の効果的な関節可動域訓練や筋力強化に繋がります。

特に脳卒中のある方は麻痺足の各関節が固くなりやすい方が多いので、日常的に無理のない範囲で動かしておくことがそれらの二次的な障害を予防することにも繋がります。

ダイエット

上述のようにダイエットとしても効果があります。

しかし、ダイエット目的でフィットネスバイクを購入した多くの方が物干しになっていることを考えると、何かしら継続して続けられる仕組みを自分なりに考え必要があるかもしれませんね。

フィットネスバイクのダイエット効果については他のサイトでもたくさん記載されていると思うので参考にしてみて下さい。

まとめ

フィットネスバイクはダイエット目的以外にも、

  • 糖尿病の運動療法
  • 変形性股関節・膝関節症のリハビリ
  • 脳卒中片麻痺のリハビリ

などに効果的な運動が手軽に行えます。

 

何となく若い人が使うものだ、と思っている方が多いかもしれませんが、椅子の高さを低くして座ってさえしまえば、意外と誰でも簡単に運動できます。もっと広く普及して欲しいものだと個人的には思っています。

昔に購入しておうちで眠ったままになっている方は、この機会にもう一度使用することを検討されてみてはいかがでしょうか。

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