簡単にわかる!転倒予防のために効果的な歩き方

転倒予防,歩き方


転倒しないための歩き方にはコツというか、ある一定の条件を満たしている必要があります。

私が臨床のリハビリで、どのようなところを見てその患者さんの転倒リスクを判断しているのか、その方法をお伝えします。




歩行のメカニズムは精巧にできている!

普段人は何気なしに歩いていますが、驚くほど色んな関節や筋肉が連携して効率的に働いています。

歩行にてついて知れば知るほど、不思議なくらい本当に精巧なメカニズムがあるんですね。

 

その歩行のメカニズムのうち、何らかの問題があって、どこかひとつでも破綻していると、連鎖的に他の部分を過剰に使い過ぎてしまったり、無理が生じます。

歩行中に転倒しないために、どのような条件が必要なのでしょうか?

以下にご紹介していきます。

転倒を予防する歩き方

転倒しにくい歩行のための条件を挙げてみます。

これらの条件は何かしらの問題があると本人が注意して意識してもできないことが多々あります。

 

よくある例で言えば、背骨が変形して腰が曲がっている高齢者に「背中伸ばして歩いて!」などと言うのは意味がないです。骨の問題なので、言われるだけで伸ばせるわけがありません。

自分で意識して背中を伸ばせるなら初めから伸ばしていますよね。

 

そういった誰も得しない、間違った指摘をしてしまわないために、以下では歩行のメカニズムについても少し触れています。

 

※)ちなみに、猫背の方の背骨が変形してしまっているかどうかを簡易的に診る方法はこちらでご紹介しています。

 背中が丸まる原因と自分で簡単にできる解消法!円背のストレッチと筋トレで全身調整を!

足先を上げて歩く。

下垂足

内反尖足

これはみなさんご理解されていることだと思います。歩行中に足先が上がらず、いわゆる”すり足”になると転倒しやすいです。

写真(上)の下垂足は前脛骨筋の運動麻痺による、足先がぶら下がっているような状態のことを言います。

写真(下)の内反尖足はふくらはぎの筋肉、下腿三頭筋が過緊張状態になっているために起こります。

一見すると下を向いた足の形は同じに見えますが、そうなっている原因が全く違っているため、リハビリ方法も全く違ってきます。

 

下垂足や内反尖足などもそうですが、つま先が上がりにくい方は、それだけで足先を地面に引っ掛けて転倒しやすくなります。

脳卒中の既往がある方は特に前脛骨筋の活動が活発でない方も多く、後述する体重の移動「ウェイトシフト」も円滑でない方も多いです。

結果、転倒しやすくなる傾向があります。

足先を上げて歩くためにどういった運動をすると良いのか?

これはその人の足が上がりにくい原因がどこにあるのかを突き止めて、そこにアプローチしていく必要があり、一概には言えません。

経験的に臨床で多い転倒しやすい方は、

  1. 反対側の足の筋力低下や疼痛のため、体重移動が円滑に行えていない
  2. 内反尖足
  3. 前脛骨筋の運動麻痺(下垂足)
  4. 円背

などです。

もちろんこれ以外にも視力が低下している、注意力に障害があるなど身体機能以外に問題がある場合もあります。

 

1.体重移動が円滑に行えていない方の場合、なぜバランスが悪いのか?、原因を突き止める必要があります。

痛みのために足に体重を上手く移動できないのかもしれないし、足関節の可動域が悪いのかもしれません。ありとあらゆる原因が考えられます。

 

2.内反尖足を呈している方であれば、こちらに対処法を記載しいています。

 脳卒中片麻痺の「内反尖足」の原因とガイドラインに基づくリハビリと治療法

 

3.前脛骨筋の運動麻痺(下垂足)が原因であればこちら。

 つま先が上がりにくい人でも簡単にできる!3種類の前脛骨筋トレーニング

4.円背の場合はこちらになります。

 背中が丸まる原因と自分で簡単にできる解消法!円背のストレッチと筋トレで全身調整を!

体のコントロールができる

人は歩行中に何かに躓いたり、転倒しそうになった時に、まずどこから立て直そうとするかというと、もちろん足なのですが、それと同じくらい体の立ち直り反応が重要です。

普通、躓き=即転倒・・ということはなく、健康な若い人も躓くことは日常的と言ってもよいくらいの頻度でありますが、ほとんどの場合転倒せずに立ち直ることができます。

そう考えると、例え何かに躓いたりしても、転倒する前に立ち直ってしまえば良いのです。

 

その時に体幹の働きが非常に重要になります。

躓いた時、「おっとっと!」と体は今まで歩いていた慣性で前や横に飛び出します。

そのあと、体の立ち直り反応がちゃんと出ていれば、前に倒れていた体をいち早く元の垂直位に戻そうとするはずです。

 

崩れてしまった足を踏み直すと同時か少し前に、体幹を元に戻すが起きているのです。

これができないと、足が出て踏ん張れたとしても、結局体は起きないので、転んでしまうことになります。

 

また、足を踏み直す時にも、体が崩れていると足をうまく操作することができないため「足がすぐ出れば転倒しない」と思われがちですが、そのまえに「体勢が立て直せれば足が出る」という状態を作っておかなければなりません。

安定して片足立ちができる

片脚立位保持

歩行は片足立ちの連続した動作です。片足を出して前に出す、その動作を繰り返しています。なので、片足立ちが安定してできない方は、歩行時の安定性もほとんどの場合低下しています。

実際には歩行時に片足立ちになる時間はほんの一瞬なので、片足立ちがほとんどできない方でも歩行は可能な場合が多いですが、多くの方は非常に転倒しやすい状態と思って良いと思います。

片脚立ちについて詳しい話はこちら。

 リハビリでよく行われる代表的なバランストレーニングを肢位別に8種類ご紹介

左右の足への体重の移動がスムーズ

左右への足の体重移動は「ウェイトシフト」とも呼ばれます。

例えば、足首を捻挫していたら、そちらの方に体重を乗せることができないため、立っている時に反対側の足を安定して宙に浮かせることが出来なくなります。だから松葉杖を使って歩いたりしますよね。

 

松葉杖を使わなかったら、ピョンピョン飛び跳ねて片足を地面から浮かすことしか出来ません。こうなるとほとんど片脚で立っている状態になるので、その軸足だけが頼りです。

軸足になにかあればすぐに転倒してしまいます。つまり、転倒しやすい状態になっています。

注意をコントロールできる(集中を持続できる)

認知機能が低下している方は、自身の体の状態や能力を過信してしまうことがあります。

体力が弱って転倒しやすい状態であるのにも関わらず、よそ見をしながら歩いたり、他のことを考え込んで歩いてしまうこともあります。

 

また、注意を必要な事柄に向け続けることができなくなるため、フッと気を反らした時に転倒してしまう可能性も充分にあります。よくあるのが、歩いている途中で床に落ちているものやゴミを拾おうとして急にしゃがみ込むケースです。

病院で認知症の方に歩くリハビリをしていると、結構頻繁にありました。

 

ちなみにしゃがみ込んで尻餅を着いてしまうと、骨密度が低下している高齢者では圧迫骨折の危険があります。

視線が前を向いている

リハビリでも療法士がよく「前を向いて歩きましょう!」と言っているのを目にします。下を向いて歩く人って非常に多いんですね。

 

なぜ視線が下を向いていると転倒しやすいのでしょうか。

主な原因は2つあります。

1つは、視野が狭くなって周囲の状況判断がしにくくなるためです。下を向いていると、地面の凹凸や段差などに気づくの遅くなります。反応がどうしても遅れてしまうのです。

 

 

もう1つは、下を向いていると、歩行中体が常に曲がってしまうためです。体が曲がると一体何が問題なのか?

下の写真を見て下さい。

 

私は普段これくらいの歩幅がありますが、

歩幅

体を曲げるとこれくらいしか歩幅が出ません。

腰を屈めた歩幅

また、足も普段はこれくらい上がりますが、

立位,ももあげ

腰を曲げるとこれくらいしか上がりません。

img_7027

身体を曲げていると、いくら筋力があったとしても体の構造的に足を上げることができません。

よって、どうしてもすり足傾向となり、つまずいたり、転倒しやすくなってしまうのです。

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転倒しやすい原因を探るには?

これらの条件が整っていなくて、例えば足先が上がらず転倒しやすい、という方は”なぜ足が上がらないのか?”を突き止める必要があります。

その原因を突き止めるためには、

  • 歩行動作のメカニズム
  • その人の筋力の状態
  • 関節の可動域
  • 歩行動作分析

などの知識が必須になります。

よって、転倒してしまう原因を突き止めたいのであれば、私達理学療法士にぜひともご相談下さい!!・・・・・となんだか宣伝臭くなりました。笑

 

しかし、実際それが1番早いと思います。

 

私は訪問リハビリで各家庭を訪問させて頂いていますが、「歩くだけなら私たちでできますから」とご家族さんに歩くリハビリを拒否されたこともあります。

 

「違うんです!!そうじゃないんです!!と叫びそうになりました。

療法士はただ歩いてるだけじゃなくて、どんなとこがどういう風に転倒しやすいとか、なぜ足のそのところが痛くなるのか、頭の中で分析しながら患者さんの横を歩いています。

 

分析した結果を考慮して運動療法などを試したみて、歩行動作が思ったように変わっていたら正解です。つまり、理学療法士は歩行動作の分析・検証をしながら横を歩いているんですね。

 

この旨をやんわりと説明してご理解は頂けましたが、非常に手前味噌、自画自賛感があって、説明するのにかなり躊躇しました。笑

転倒予防のための歩行動作を相談するなら、間違いなく理学療法士が1番適切だと私は思っています。

 

もし、身近に理学療法士に相談問出来ない環境にいらっしゃる方であれば、私でよければ相談に乗らせて頂きますので、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい。

あ、もちろん言うまでもないですが、無料です。

まとめ

今回は身体機能だけに着目した転倒予防のための歩き方について説明しました。

 

しかし、環境調整、例えば歩きやすい靴を履くとか、スリッパは履かないとか、手すりを付けるなどなど、転倒予防には総合的なアプローチが必須です。

 

身体機能だけでなく、「なぜその人は転倒しやすい状況になっているのか?」そこの原因をしつこく念入りに探っていく必要があります。

もちろん、原因がいくつも重なっている場合も多く、その場合はより転倒する危険が迫っている、ということになります。

できるだけ早急に一つでも転倒要因を解決していく必要があります。

当ブログから転倒予防の書籍を出版しています。良ければ参考にして下さい。

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