
普段はリハビリなど医療関係の記事を書いていますが、たまにはそれ以外の私の好きなものについても書こうと思います。ブログですものね。
私の「マッシュな青春」
私は高校時代に非常に洋楽のロックに熱中した経験があります。
仲の良い友達がビートルズの熱狂的なファン(私の高校時代は1990年代なので、かなり珍しい奴です。)でマッシュルームカットにしていました。
私は至って普通の髪型でしたが、彼の影響で洋楽ロックの世界にのめり込んでいました。

私は当時のバイト代はほとんどCDを買うために使っていました。今みたいにネットで音楽落とせないし、Youtubeもないんですよ。もちろんAmazonプライムなんて夢の話・・。
スマホもなく、CDプレーヤー、もしくはMDプレイヤーで音楽を聞いていた時代です。
私はギターも弾いて、バンドもしていました。
楽しかったです。
洋楽のロックはそれこそ聴き尽したんじゃないか?というくらい聴いていましたね。
その中でも特に好きだった、というかもう中毒になっていたバンドが今回ご紹介する「NIRVANA(ニルバーナ)」です。
今回はニルバーナを知らない人にもちょっと聴いてみようかな?と思ってもらえる記事を書いていきたいと思っています。頑張ります。
NIRVANA(ニルバーナ)とは
これがバンドニルバーナの代表的アルバムのジャケット写真です。赤ちゃんがプールの中で釣り糸に付いた1ドル札を追いかけています。
NIRVANA(ニルバーナ)とは、仏教用語で涅槃を意味し、”悟りを開いた状態のこと”を指します。
このアルバムタイトルのnever mind(ネバーマインド)とは、”気にするな”という意味です。
ニルバーナは1990年アメリカのシアトル出身のスリーピース(三人組)ロックバンドです。
音楽のジャンルとしては、
- ロック
- グランジ
- パンク
- オルタナティブ
などに分類されます。
まぁ、音楽のジャンルなんて何でも良いと思うし、結構適当なもんなんで、あまり気にする必要ないですが。
フロントマン(ボーカル兼ギター)のカート・コバーンがまたカッコ良いんですよ!
写真をいくつか貼りますね。


なんてさわやかなお顔。イケメンです。
さぞかしさわやかな曲を演奏をされるんだろうと思った方、彼の演奏を聞いてみて下さい。
動画へのリンクを以下に貼ります。
(4分26秒のYouTube動画です。最初の30秒くらい聞いて頂ければだいたいどんな感じの音楽か分かると思います。)
Aneurysm(Live at Reddding 1992)
ゴリゴリやん!!
なんかもう炸裂しとるやん!!なにかが!
そんな感じの音楽を演奏される方々です。
なんか同一人物とは思えないでしょ。
高校時代の私はモテない、勉強も大してできない。
運動だって普通にしかできません。
でも、自分は人とは何か違うんだ!なにか違うものを持っているはず!
いや、そう信じたい・・
でも何が違うのか分からない・・
やりたい、やりたくない。
頑張りたい、頑張りたくない。
こんな感じでいつも悩んでいる暗い奴でした。
自分が砂浜の砂の一粒だってことは分かってるんだけど、他と少しでも何か違う一粒になりたくてもがいていました。
そんなフラストレーションの塊だった当時の私は、こんな感じの音楽を聴くと何とも言えない爽快感があったんです。
カタルシスってヤツでしょうか。
だって、この人確実に音楽で憂さ晴らししてるでしょ?
自分も乗っかって一緒に演奏してる気分になって憂さ晴らししてたんですね。初めは。
でも聞いていくうちに本当に繊細な曲もたくさんあって、そこにどんどん惹かれていったんですね。
そして、そこにニルバーナの魅力の本質があるんです。
ニルバーナの音楽の魅力
ニルバーナみたいな音楽を作る人はそれまで居ませんでした。
どんな音楽を彼らはやっていたのか?
グランジと呼ばれる、怒りと皮肉に満ちた、世相を反映した若者の怒りの音楽、みたいに雑誌には紹介されていたりします。
しかし、これは本当は言葉では表現できないですし、そう言われても何だか良く分かりません。
ぜひ音楽を動画で聞いてみて下さい。
まずは、代表曲の「Smells Like Teen Spirit」から。
曲の中で激しく揺れ動く「静と動」を感じましたか?
爆発する静と動・陰と陽
静か~な暗い感じから、サビの前の徐々にパワーが充電されていくような「Hello, hello, hello how low・・」から、「With the lights out, it’s less dangerous~」と何かが爆発して動的になって行く感じがありますよね。
これがニルバーナの音楽の最も分かりやすい特徴であり、魅力です。
一言で言うと、「単純明快でノリやすい」こと。
とにかく何となく聴いてるだけでもハッとする分かりやすいリズムと抑揚があります。
当然、全世界でバカ売れするような音楽なんで、魅力はそれだけに留まる訳はなく、デリケートで繊細な曲もたくさんあり、非常に奥深いものがあります。
これなんか静かですごく繊細でしょ。
この曲では「魚は何も感じない。だから食べても良いよね・・でも・・何か引っかかるんだよな。」というような歌詞が歌われています。
ニルバーナのすべての曲を毎日聴き漁った私ですが、ニルバーナの音楽の魅力は、
- 静と動(陰と陽)
- 暴力性と繊細さ
そういった相反する感覚を存分に味わえるところにあると思います。
そして、それが実に思春期の葛藤と似た感覚で凄くリアルに共感できます。
落ち込んで辛いと思っていたら突然凄く嬉しいことがあって喜んだり、思春期ってジェットコースターみたいに気持ちが激しく揺れ動くんですよね。
もちろん、魅力はそれだけではありません。
詩的な歌詞
歌詞もかなり魅力的です。
ニルバーナの歌詞は存分に純文学が好きな活字ファンを唸らせることができます。
私の好きな曲「On A Plain」の歌詞です。
Somewhere I have heard this before(これはどこかで聞いたことがある。)
In a dream my memory has stored(夢の中に俺の記憶は貯蔵される。)
As defense I’m neutered and spayed(防御するために去勢された。)
What the hell am I trying to say?(あぁ、何を言おうとしているんだ?)
村上龍さんの小説、『限りなく透明に近いブルー』の中に「文学と音楽は愛し合っている」というフレーズが出てきますが、
文学も音楽と同じようにリズムを意識した芸術です。
音楽が好きな人は文学にも興味があることが非常に多いです。
ニルバーナの歌詞は音楽と合わさることで独特のリズムを放ち、活き活きと聴く者の感情に訴えかけてきます。
曲によっては意味不明な歌詞もありますが、恐らく歌詞の意味よりも単語のリズム、語感を重要視していたのでしょう。
カート・コバーンのキャラ

ニルバーナはカート・コバーンのキャラも確実に魅力のひとつでしょう。
外見は上述のように非常にイケメンで、美しい顔立ちをしています。ファッションもカッコイイ。
しかし、発言することはネガティブなものばかりで、欲求不満の怒りに満ちた皮肉屋のような発言を堂々とメディアにしています。
そして、それをメディアも煽って報道します。
この記事を書いている2016年11月、アメリカ大統領選挙でクリントン氏とトランプ氏が激戦を繰り広げ、結果トランプ氏が選ばれましたが、彼の過激で率直な発言がアメリカ国民には
- 「嘘がない」
- 「本当のことを話している」
として評価されたことが勝因と言われています。
カートの発言も似たように率直で、刺激的。本音を話しているように感じる人も多かったのでしょう。
それに加えて、売れるきっかけとなった曲が「Smells Like Teen Spirit(十代の魂のような香り)」。
カートが言っていることもまるで10代の反抗期の少年が言う様なことばかり・・。
若者の閉塞感を象徴するような彼の書く歌詞とそのキャラで、10代の反抗期の若者のICON(象徴)となっていきました。
元祖グランジファッション

ファッションも独特で、「グランジファッション」の元祖と言われています。
(グランジとは英語のスラングで”ゴミ”、”汚れた”、”薄汚い”の意味)
ニルバーナが代表的アルバム「ネバーマインド」を発表したのが1991年。
それまでの1980年代を代表するロックミュージシャンと言えば、Queenやデヴィッドボウイなど、キラキラ、ゴージャスなステージ衣装を着てライトを浴びて「ロックスター」を気取るのが当たり前でした。
そこに突然、ステージ上に寝巻きみたいなパジャマで汚ったない普段着の格好をしたカートが登場します。
そりゃあ、インパクトありますよね。
きっと、リスナーからしたら、周りにいるような普通の友達がメチャクチャバンドで売れ始めた!そんな風に感じても不思議ではありません。
ニルバーナのファションも音楽も、リアルな感じ、つまりは自分たちに近い感じ、嘘っぽくないところに大きな魅力を感じる人は多いと思います。
カート・コバーンはボロボロ、穴だらけのジーパンにヨレヨレのネルシャツを着てテレビに出演したり、完全に寝間着(パジャマ)でライブをしたりしています。
現在流行っているグランジファションも、ジーンズにネルシャツ、スニーカー(カートはジャックパーセルを愛用)。
まさしくですね。
上の写真で着用しているFOX SUNGLASSES(フォックス型サングラス)もカートが好んで着用していたためグランジファッションの象徴となっています。
私も昔にこのタイプのサングラスを買ってみたことがありますが、全く似合わずギャグみたいになったので、そっと押し入れに封印しています。(笑)
カートの愛用したギター「シンプルでパワフルなサウンド」

ステージでのパフォーマンスも、派手で、ギターを叩き壊したりして注意を惹きました。
カート・コバーンの使ったギターと言えば、
- FENDER JAGUAR 65年製
- ムスタング
が有名です。
彼のギター演奏も大きな魅力の一つです。
ギターの演奏は非常に要所を突いたもので、ギターを弾き始めた初心者でも簡単に真似することが出来るシンプルなものでした。
それがカッコイイ、非常にセンスのあるもので、ギターを始めた人は当時皆一生懸命ニルバーナの曲を練習したものです。
それまでの80年代のロックでは、速弾きと言ってまるでテクニックを競うようにひたすら早くギターを弾いたり、職人芸みたいなギター演奏を得意とするミュージシャンがたくさんいました。
彼はそんな価値観をぶち壊すように、極限までシンプルなギターコードとリフで構成した曲でこんな風にステージ上でギターを弾いています。※リフ・・繰り返されるコード進行、音型、リフレインのこと
パッと見ると本当に弾いてるの⁉って感じですけど、本当に弾いています。
彼の左利きの手から放たれるギターのサウンドはそれだけで、革新的で、当時ロックに夢中だった10代、20代の若者を虜にするのに充分な魅力がありました。
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ニルバーナのおすすめアルバム
最後にニルバーナの曲を聞いて見ようかな?と思う方に彼らのアルバムをご紹介をします。
勝手に私のオススメ順ランキングで掲載しています。
4.ブリーチ
このアルバムはニルバーナがネバーマインドを発売して有名になる前のファーストアルバムです。
非常にヘビィーなサウンドの曲ばかりで、メロディアスなヘビメタという感じ。しかし、時折きらっと輝く秀逸なメロディはさすがです。
個人的にはバンドのファーストアルバムは最もそのバンドらしい特徴が出やすいと思っていて、この作品も売れる前のニルバーナの勢いを感じます。
3.イン・ユーテロ
このアルバムはネバーマインドでパッケージングされたニルバーナの原始的な魅力が、そのアンチとしてできるだけ解放されようとしている感じです。
ネバーマインドよりもかなりヘヴィーなサウンドになっています。(ファーストアルバムのブリーチに近い。)
歌詞や全体のアルバムのイメージを通して、内臓やグロテスクな表現も多く(題名のIn uteroの意味は・・調べて和訳してみて下さい。 )好き嫌いが別れるかも知れませんが、非常に芸術性の高いアルバムだと思います。
2..ネバーマインド
まずは何はともあれ、このアルバムを聴いておかないと、ニルバーナのことは語れません。
このアルバムは、ニルバーナのアルバムの中で最も名曲がたくさん入っています。
そしてこのアルバムの特徴は、「かなり加工されている」ことだと思います。
つまり、ニルバーナというバンドのパワーや本来持っている特徴である「原始的」な部分をできるだけ削ぎ落とし、彼らの名曲を商品様にパッケージングして綺麗に加工した、そんなアルバムです。
よって聴きやすいし、多くの人にウケるような仕上がりになっていると思います。パワーを抑えつつも根源的な部分では他のバンドと比較にならない位パワフルでメロディアスなニルバーナの特徴が上手く表現されています。
1.フロム・ザ・マディ・バンクス・オブ・ウィッシュカー
このアルバムを最もお勧めします。
ニルバーナの本当の魅力はライブでのパフォーマンスにあります。ビートルズもニルバーナもむちゃくちゃな数のライブをこなしています。それだけ洗練されたライブパフォーマンスになります。剥き出しの魅力が濃縮されています。
ベストライブパフォーマンスの曲を集めたこちらはニルバーナの魅力を最も理解するために最適です。
冒頭の「intro」では、カートの声の最大の魅力である、原始的な雄たけびとも言える叫び声が収録されています。
私は初めに聞いた時、冗談抜きでライオンの雄たけびのように聞こえました。それぐらい凄い迫力のある声です。ぜひ一度体験してみて下さい。