
私は理学療法士の仕事で感じる疑問を通して、キャリア形成について勉強しています。
仕事を辞めたい・・と1度も思ったことがない人はいないのではないでしょうか?
このブログで何度も申し上げてきましたが、仕事≒人生と言っても過言ではありません。
仕事を選ぶ時、既にキャリアデザインは始まっています。
現在仕事を辞めたいと思っている方は、自分がなぜその仕事を選んだのか、もう一度改めて考えてみるきっかけになるかもしれません。
仕事を選ぶ際には誰しも無意識に得られるもののバランスを考慮して選んでいます。
多くの人にとって働くということは、お金を得ることだけではないのです。
目に見えないものを実はたくさん得ています。
本当に今の仕事は合っていないのか?
今の仕事から得られているものをもう一度整理してみましょう。
内発的インセンティブとは
目に見えない報酬のことです。自分の内側で感じられることなので内発的と呼ばれます。
具体的には、
- 好きなこと
- 貢献したいもの
- やりたいこと
- 得意なもの
- 憧れているもの
を考えてみることで内因的インセンティブを認識しやすくなります。
好きなことは何だろう?
誰に貢献したいのだろう?
とこれらの項目を挙げて行ってみて下さい。
沢山あればあるほど良いです。
ケーキを作って食べるのが好きとかでも良いです。
コツは、現在の仕事に全く関係なくても、到底実現できそうにないこともどんどん挙げて行くことです。
むしろ、実現できなさそうなことの方が良いです。
その方がよりあなたの内面を写している可能性が高いです。
真面目で堅実な人はこれができません。
想像を膨らませることは「地面に着いた足を浮かせること」とも言えます。
少し技術と慣れが必要です。
自転車って、補助輪なしで乗れるようになるまで何度も練習しましたよね。あれと同じで、想像することはできる人は慣れたものですが、できない人はなかなかできないものです。
とにかく何でもいいから挙げてみて下さい・・・。
挙げてみましたか?
実は、これらは”夢”という概念に含まれる要素です。
統合していくとあなたの夢に近いものが表れてくるはずです。
それがあなたの内因的な仕事のインセンティブになります。
これらが得られていない仕事だと、違う仕事を考えた方が良いかもしれません。
キャリアは積み重ねていくものです。
転職して全く違う仕事に就くと、また1から積み上げていかなければならないので、それはそれで不利にはなります。
しかし、内因的インセンティブか得られないまま仕事を続けても、辛いことも多いと思います。
このバランスを見極めて、転職を考えることが大切です。
外発的インセンティブとは
- 報酬
- 評価
- 名誉
- 地位
です。
簡単に言うとお金に結び付くものです。
こちらの方が原因で辞めたいと思うことも多いと思います。
なぜなら、内因的なものよりも認識しやすいし、後述しますが、現代の企業の体質が関係しているからです。
外因的インセンティブについては、一度その道でキャリア形成を始めると、なかなかすぐに変えることは難しく、地道に続けて築いていく他ありません。
私たち理学療法士がリハビリでも考えることは同じです。
神秘を秘める偉大な人体に対して、外から触って治療出来る対象なんて実際は限られています。
「できることとできないことを見極める」ことが大切です。
出来ることから変えていくだけでも大きな変化が得られます。
まずは、内発的インセンティブに繋がることを変えていけば、結果、外発的インセンティブに変化を与えることも不可能ではなくなります。
なので、まずは内発的インセンティブを得るためにどうすれば良いか考えると良いでしょう。
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成果報酬主義の弊害
昨今の企業は成果報酬主義に傾倒しています。これは行動経済学に基づいたものです。
行動経済学はインセンティブの学問と言われ、インセンティブ(”行動を促す動機付け”の意味)という言葉が示すように、外発的な、しかも金銭的な動機付けだけを基本的に重視します。
「楽しいからする」という理由を否定している訳ではありませんが、基本的には人はお金で動くと考えているのが行動経済学です。
つまり、現代の成果報酬主義の弊害は何でもかんでも外発的インセンティブに結び付けようとすることです。
実際はそうでもなく、どうしても内発的インセンティブに頼らないといけない仕事もある訳です。
例えば病院で働く清掃の人は、いくら掃除してもお金が病院に入ってくる訳ではありません。
でも、病院で働く人や患者さんにとって、周りの環境を綺麗にして頂けることは大変有意義でありがたいことです。
なのに、成果報酬主義の社会では、そういった仕事に対して大きい価値を認めることが非常に難しい。
そうなると、働く人の内発的インセンティブにも負の影響が表れます。
「上司にも認められないし、給料も低いし、やってられない」となりかねません。
外発的インセンティブが内発的インセンティブを阻害・抑制してしまう現象を、「クラウディング・アウト効果」または、「締め出し効果」と言います。
クラウディング・アウト効果は、
「社会科学の分野において、もっとも揺るぎない発見であり、同時にもっともないがしろにされている発見でもある」
と言われています。
まとめ
現代では、外因的インセンティブは、強力な強制力を持っています。
内因的インセンティブは上述の清掃の仕事の例のように、押しのけられてしまう可能性があります。
でも実は、対処する方法があります。
私は理学療法士として働いていますが、内因的インセンティブがバッチリあるため、辞めようとは思ったことはありません。
外因的インセンティブに関してはまだ5年目で考えている途中ですが、この業界でそれを得るのは簡単ではありません。
ならば、このネットを通した情報発信の分野で何かできないかと今こうして頑張っている訳です。
あらゆることが多様化した現代を生き抜くには、一つの仕事に全てを求めることに無理がある場合もあることを、肝に銘じておかなければなりません。
仕事は、内因的か外因的、どちらかのインセンティブが充分満足できれば、なんとか続けていくことができます。
上述のように、外因的なものは内因的なものを押しのける強さがありますが、私のように工夫次第でそれをカバーすることも可能なのです。
しかし、上述したことは、あくまで「まともな」職場で働いている人が考慮することです。
仕事を辞めたいと思った時、インセンティブのことを考慮するまでもない職場であることも多いでしょう。
例えば、
- 寝る暇も無いくらい働かされる。体が心配。
- フルタイムで働いても、給料が安すぎてまともな生活ができない。
- ブラック中のブラック企業(お先真っ黒企業)
などで悩んでいる場合です。
これらは即刻辞めるべきです。
私はキャリアについて、このブログを通して皆さんにお伝えしたいことが山程あります。
しかし、私がお伝えしたい全ては、以下の言葉に集約されます。
「何よりも自分を大切にできる人間になって欲しい。それがあなたと周りの人の幸せだから。」
仕事の為に自分を殺すことや、滅私奉公なんてしたらダメです。
自分を安売りしないこと。
そんなの、不幸な自分に酔っているだけです。
職員を雑に扱う職場なんて、あまり先も長く無いですから、即刻去りましよう。
これからの企業は働く人に選ばれる企業である必要があります。
これからはwin-winの関係を築けない個人は淘汰されていきます。
企業も同じです。
時代の流れに逆らうことはできません。
昨今の大企業の衰退を見ていれば明白でしょう。
仕事を辞めたいと思った時、もう1度現在の仕事の内因的インセンティブと外因的インセンティブを考えてみて下さい。
そこから何か次に活かせるヒントが必ず見つかるはずです。