理学療法士が仕事内容を、簡単に実際のタイムスケジュールで紹介します。


理学療法士って良さそうな仕事みたいだけど、社会的に認知度も低くて、実際のところどんなの仕事なの?って思っている学生の方や実習生の方も多いのではないでしょうか。




今回は私の職場(回復期病院で入院患者さんを対象にリハビリ)の実際の一日のタイムスケジュールなども参考にしながら、理学療法士の仕事のイメージが持てるように分かりやすく説明します。

 8:30通勤 スーツはめったに着ない!

基本通勤は私服でOKです。私の病院では主任さんとか偉い方々も私服ですので、スーツを来て満員電車に揺られるのは嫌だって人は良いと思いますよ。

ただ常に私服で通勤しているので、近所の人とかには「アルバイト?フリーター?」って思われているかもしれません・・。

理学療法士がスーツを着るのは、かなり大規模な学会や勉強会に参加する時位でしょうか。

 

8:40 ロッカーで着替える。

私服からケーシーと呼ばれる理学療法士の制服に着替えます。

うちの病院では朝礼前にロッカーに入ると超満員で狭いし、みんなバタバタ着替えてるし、ゆっくりできないので、私はその時間を避けて早めに通勤しています。

8:45 朝礼

病院のリハビリ科全体で集まって朝礼をします。うちの病院では昨日の「インシデント」の報告と情報共有、患者さんで注意を要する体調の変化があった方の報告を病棟からも受けます。

 昨日に転倒があった患者さんや、発熱、バイタルに異変がある患者さんなどが報告されるので、自分がその患者さんにリハビリする時に異変がないか注意します。

インシデントレポートについて

インシデントとは別名”ヒヤリハット”とも言われ、「医療事故になりそうだった案件、もしくはなってしまった案件」のことです。

 

病院でリハビリ中に患者さんを転倒させてしまったり、怪我をさせてしまうと、訴訟問題に発展しかねません。さらに、安全管理に問題があると、病院自体の存続に関わることにもなります

 

なので、例えばリハビリ中に理学療法士が横にいて、患者さんが転倒してしまった場合、(うちの病院では、患者さんのお尻が地面に付いたらOUTです。どんなにゆっくり座り込んだとしてもです。)インシデントレポートを病院に提出します。

 

始末書みたいなニュアンスがありますが、本来の目的としては、予防策まで考えて記入し、再発を防ぐために提出するものです。

 

病院の公式の書類なので、実は書くのに結構時間が掛かります。

 

  • 事故が起きた状況
  • 時間と場所
  • 何をしていたか。(例:リハビリ訓練中)
  • 患者さんがどんな状態だったか。(例:歩行中)
  • 自分はどの位置にいたのか
  • なぜ介助できなかったのか、事故になってしまったか
  • 今後どのようにすればその事故が防げたと思うか

 

などを詳細に、かつ読んで分かりやすいように、簡単に記載します。

その後主任、科長とチェックと承認印を貰い、病院に提出します。

 

一年で一番この書類が多く提出される時期は5月です。

新入職の方達が実際に病院で担当患者さんを持ち、一人でリハビリをする様になるからです。

9:00 病棟へ上がりリハビリ開始

5階建て位の病院なら基本的に職員は階段で移動します。なので、入職直後は一日が終わると足がふらふらです。でも安心して下さい。3か月位で何とも思わなくなります。人間の慣れってすごいですよ。

 

病棟へ上がって、患者さんを迎えに部屋まで行きます。うちの病院はリハビリ室が2階にあるので、患者さんとエレベーターに乗り、リハビリ室へ向かいます。患者さんと一緒に乗る時のみエレベータ使用可能です。

 

リハビリ室には様々なリハビリ機器や、道具、プラットホームがあります。

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このプラットホームがいわば、理学療法士が戦う「土俵」です。

 

ちなみに、回復期の病院は歩いてリハ室に来れる患者さんも多いので、私はリハビリ室に行くまでに歩行の動作分析を行い、すぐに問題点をリハ室で確認することが多いです。

 

トップダウンと呼ばれる方法で、例えば歩くときに足首から先を引きずっていたら、なぜか?(例:引きずっている足を持ち上げる筋肉が弱い、骨盤を固定する筋肉が弱いため、反対側の足で支持する時に骨盤が下がってしまう、引きずっている足の膝が曲がっていないなど)考えて原因になりそうなことをピックアップしておきます。

 

そうすれば、「土俵」(プラットホーム)に寝て頂いたら、すぐに足首の筋肉はどれくらい動くのか、膝はちゃんとまがるのかなど確認ができ、歩きにくい原因を追究することができます。

 

多分多くの理学療法士がそのような方法を取っていると思います。

歩行を見たら動作分析が理学療法士の基本です。職業病です。 

9:00~12:00 絶賛リハビリ中、合間に電子カルテをパソコンで入力

患者さんを一人40~60分で3人程度リハビリをします。

 

自分が受け持つ担当患者さん以外も診ます。

代診といって、その日休んでいる理学療法士の担当患者さんです。

 

担当理学療法士が書いた申し送り書に普段行っているリハビリ内容や、リスク(例:心臓に疾患がある、頸部骨折で禁忌肢位があるなど)が明記されているので、それを参考にリハビリをします。

 

足の裏なども触る仕事なので、感染予防の観点から、毎回患者さんを診た後は必ず手を洗います。なので、理学療法士は手が荒れている人が結構います。女子は気になるでしょうね。

 

20分程度合間が開くときが日によってはあるので、トイレに行ったり、電子カルテに診た患者さんの記録をパソコンで入力します。

 カルテ記入について

カルテにはSOAPと言う書き方で患者さんの状態や行ったリハビリ内容を書いていきます。

新人は一人の患者さんのカルテを書くのに10分位かかりますが、

臨床3年目位になれば、リハビリしながらカルテにはこれ書こう、みたいに考える癖ができるので、3分位で書けるように大体なります。

 

 

人間の慣れってすごいですね。

 

SOAPとは ■S(Subject):主観的データ。患者の話や病歴など。今日はしんどいわ。など口語の場合が多いです。 ■O(Object):客観的データ。身体診察・検査から得られた情報。理学療法士としての専門的な意見を書く。 ■A(Assessment):上記、SとOの情報の評価、考察。 ■P(Plan):上3者をもとにした治療方針。

 

実はこのカルテの記載は重要な理学療法士の仕事のひとつです。ただの事務仕事とあなどることなかれ。

 

 特に回復期の病院では患者さんの身体状況は回復していき、みるみる変化していきます。

状態を明確に捉え、訓練に素早く反映させることで、後々のリハビリの効果が変わってきます。

 

なので、良い理学療法士ほど患者さんのモニタリング(日々の変化を捉えること)ができていると私は思っています。

 

さらに、病院側としても万が一訴訟が起こった時に証拠としてカルテが必要になる可能性があるので、しっかり記録しておくことは大切なことです。

 

12:00~13:00 昼休み

リハ室を締切、くつろぎの昼休みタイムです。主に話をしながら弁当を食べます。

私の実習先では「土俵」で寝ている理学療法士もいました。うちの勤務先ではそれはありません。

しかし、大半の人は弁当食べてすぐにカルテの記載をしながら話をしています。

 

休み時間も仕事です。早く帰るためには仕方ありません。

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13:00~16:00位まで 続・絶賛リハビリ中

 夕方まであと3~4人程度リハビリをします。夕方になると患者さんも疲れていて、「もうしんどいからリハビリ辞めとくわ。」などと言われたりします。

 

正直私達も夕方には疲れていて、「あ、そうですか。わかりました。」と言いたくなることもあります。

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でもそこで、「何を言ってるんですか。この位で疲れてたら家に帰ってもすぐに疲れますよ!頑張りましょう!」と言えるかどうかが、理学療法士の仕事で大切なところです。

 

私はまだ臨床5年目ですが、本当に人を励ますことができたり、奮い立たせることができる人は絶対に良い理学療法士だと思いますよ。

 なぜかというと、モチベーション低く運動しても、運動学習が進まないことは科学的に証明されているし、意欲の低い患者さんはリハビリの効果が低いって文献もあります。

 

だから、これから理学療法士になる人は、リハビリテクニックよりも、色々な出会いや経験をして、人との心のやり取りの仕方を学んでおいた方がいいと思います

 

だって、患者さんに嫌われたら、どんな良いテクニックだって使わせてくれないこともあり得ますからね。

17:00~17:45(定時)

カルテを書いたり、明日の予定調節を行います。

他には、院内で行う勉強会の準備をしたり、ストレッチの方法や触診の方法を本を見ながらみんなで練習したりしています。

研究をしている人は研究のデータ取りやその処理などをしています。

 

 

理学療法士ってリハビリ業務以外も意外と事務仕事は多いです。

 

国が記載を義務付け付けているもの、診療報酬に加点されるものなどは書類化しておかないと証拠になりません。

 

また、患者さんに自分でストレッチをしてもらいたい場合はパソコンで書類を分かりやすく作ってお渡ししています。

 

番外編 アフターファイブ

 

飲み会は月に1回程度チームであります。大体20人位参加しているかな?強制ではないので、行きたくなければ用事があることにしておけば大丈夫です。結構みんな仲良いですよ。

 

正直理学療法士同士で仲悪い職場ってあんまりないんじゃないかな?

もしあったら最悪でしょう。

人のリハビリに文句付けようと思ったらいくらでも言える仕事ですからね。

答えがないので。

 

理学療法士は積極的に遊ぶ人が多い気がします。人と関わるのが好きな人が多いです

 

休みはうちの病院は完全週休2日です。

正直あまり残業もないし、休みも多いし、有給も比較的簡単に取れるので「社畜」と呼ばれる方々からは羨ましがられるのではないでしょうか。

後は、外部の勉強会!

新人の頃は皆んなでこれ行こう!みたいになってほとんどの人がむやみやたらと参加します。

しかし、就職して3年目くらいになると、いかない人は本当に行かなくなります。

 

費用が高い、行っても自己満足するだけで臨床に活かしきれない、などのデメリットもあることに気付くからです。

特に、家庭持ちは簡単に費用が捻出出来ないので、安い勉強会ばかり狙って行きます。(私のことです。)

正直、理学療法士の勉強会の費用は医師と同じレベルで設定されてるんじゃないか!?って疑いたくなるくらいです。

給料は恐らく4倍位違うんじゃないかな?なのにです。

 

さらに、何回も通わないと完結しない勉強会もあって、コースで数万円、高いのだと数十万円とかします。

その分患者さんに確実に還元できるなら、どこの病院も費用出して行かせたいくらいでしょうけど、そうでもないところが悩ましいところです。

 

正直、「資格ビジネス」の類のニオイがプンプンすると思うのは、私だけでしょうか?

まあ、でも一生勉強し続けなければならない仕事だとは思いますよ。

でも、これは他のどの仕事でも同じなのであまり気にしなくて良いと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。

理学療法士はブルーカラー(肉体労働者)+ホワイトカラー(知的労働者)どちらの要素もあることがお分かり頂けたと思います。

 

やりがいは充分で大変良い仕事です。

 

私がこの業務で一番好きなところは”創造性”です。

 

工場で流れ作業をしていたり、多くの他の仕事は多くのことが上司とか他人に決められていて、それを淡々とこなすことが仕事である場合が多いと思います。

 

リハビリは、人によっても、日によってもその場に合わせたリハビリを自分で考えて創造していかなければなりません。

 

要するに、リハビリに関しては自分がほとんど決定権や裁量を持って進めていけるのです。

その代り、大きな責任が伴います。

 

それを自覚した上で、リハビリを慎重に進めていく。

 

その結果、患者さんに感謝してもらえる、それが理学療法士の仕事の醍醐味だと思います。

 

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