その肩・首のコリは頸肩腕症候群かも?頚肩腕症候群の治療・リハビリ

頚肩腕症候群


私は学生時代に個人経営の整形外科、いわゆる町医者でリハビリ補助のアルバイトをしていたのですが、その時に多かった患者さんが「頚肩腕症候群」の患者さんです。デスクワークをしている事務員さんがほとんどでした。

今回は頚肩腕症候群とは何か?その治療法・リハビリについてまとめてみました。




頸肩腕症候群とは

頚肩腕症候群は、あまり聞きなれない病名かもしれませんが、実は結構多い疾患です。

一般的に言われる「肩こり・首こり」の様な症状が特徴です。

広義には、肩や首、上肢に疼痛、コリ、しびれをきたす疾患群の総称を指す場合が多いです。

 

診断上は以下の様に定義されています。

頚肩腕症症候群とは

  1. 頸部、肩甲帯、上肢、前腕、手指のいずれか、又は複数に慢性の疼痛、しびれなどの自覚症状がある。
  2. 他覚的には明らかな異常所見は認められない。または、筋硬結、圧痛、放散痛があり、その部位と自覚症状に関連がみられる。
  3. X線画像、筋電図、血管造影、臨床所見に明らかな異常は認められない。
  4. 類似した以下の症状を鑑別、除外する。
  • 外傷性疾患
  • 先天性疾患
  • 脊椎、脊髄、軟部組織の腫脹
  • 頸部、背部、上肢の炎症性疾患・退行性疾患
  • 胸郭出口症候群
  • 末梢神経障害
  • 内臓疾患に伴う諸関連痛
  • 類似の症状を呈しうる精神医学的な疾患

参考文献)蜂須賀研二ほか:頚肩腕症候群の概念とリハビリテーション.P1-10

 

実情は、首や肩、手のしびれがあるが、レントゲン上特に頸椎・脊椎などに問題がない場合にこの病名が付けられることが多いようです。

症状

頚肩腕症候群、肩をほぐす

首・肩、上肢に、疼痛、コリが強くあり、

  • 手指のしびれ
  • 脱力感
  • 冷感
  • 発汗異常
  • 浮腫

など多彩な症状があります。

 

しかし、その症状は限定した場所を特定するのが困難で、自覚症状が強い割にはそれを裏付ける客観的診断に乏しい場合がほとんどです。

色々な検査を行っても一般的に異常を認められないことが多いです。

原因

原因としては、

  • 中枢神経説
  • 心因説

などがありますが、筋の慢性的な持続的筋緊張により筋内圧の上昇をきたし、筋虚血状態から炎症を生じ、その結果、繊維性変化をきたして機能障害を生じる、とする説が今のところ主流です。

 

私の経験から言っても、ハードなデスクワークを日常的に行っており、肩や首の周囲の筋肉が異常に緊張している方が多かったです。

 

頸椎から伸びている神経(腕神経叢)が肩を通って、上肢、手や指に伸びているので、肩や首周囲に筋緊張の異常な亢進などがあると、神経伝達を阻害し、結果、疼痛、しびれや冷感、脱力感を生じます。

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診断・評価

診断・評価では、腕神経叢の圧迫型か牽引型かに分類することが重要となります。

姿勢の特徴

圧迫型か牽引型かを判断する際に、姿勢も一つのヒントになります。

以下がその特徴です。

  • 圧迫形:筋肉質でいわゆる怒り肩、肩甲帯の不安定性は少なく、男性に多いとされています。
  • 牽引型:いわゆるなで肩で不良姿勢、肩甲帯の不安定性が強く、圧倒的に女性が多いです。

圧迫型と牽引型~症状の特徴による類型~

さらに、圧迫型と牽引型を判別するために、

  • 上肢を挙上させる、又は下垂(体の横に腕を付けて力を抜く。その状態から下方に軽く引っ張る。)させる。
  • 鎖骨周囲のトリガーポイントを押す。

などを行います。

 

類型の違いにより、以下の症状が出現します。

  • 圧迫型:上肢挙上時に症状の再現、増悪を認め、Morey point(鎖骨上窩部:下図の黄色丸部)に圧を加えると、症状が再現されます。(上肢から手指、背部への放散痛があります。)
  • 牽引型上肢下垂時に症状が強く、下方ストレス(荷物の保持など)により増悪、午前中より午後のほうが症状が強くなる傾向があります。上肢・肩甲帯を挙上・保持すると即座に症状の改善・消失があります。斜角筋三角上方部(下図の緑丸部)に圧を加えると症状が再現されます。

頸部のトリガーポイント

リハビリ・治療

頸肩腕症候群のリハビリ治療は、

  • 筋スパズムの軽減
  • 不良姿勢の改善
  • 肩甲骨帯周囲筋の筋力強化

を目的に行われます。

方法

治療法には、物理療法、日常生活指導、姿勢矯正(ストレッチや筋力トレーニング)などが行われます。

物理療法

筋力トレーニングの前処置としてホットパックやマイクロ波、温熱療法や筋スパズムの軽減のために超音波、低周波などを用いることもあります。

特に圧迫型の頚肩腕症候群には効果的です。

参考)ホットパックについてマイクロ波について

日常生活指導

症状を悪化させる動作の中止、特に荷物を下げる重量物を抱えるなどの動作を避け、同一姿勢での作業を長時間継続させず、姿勢の変化と休憩を入れるなどの工夫を促します。

具体的に特に効果的なのは、

  • デスクワーク(パソコン) 時に、腕や肩に力が入り過ぎないように環境を整備する。

ことです。

姿勢矯正

ストレッチや筋力トレーニングによって姿勢の矯正を図ります。

コンディショニング(全身調整)として行われます。

肩甲帯筋群のストレッチ

肩甲骨には17つもの筋肉が付着しており、頸部に連結する筋肉も多いため、肩甲帯をほぐすような運動を行うことで、血流が改善され、肩こり・首コリの疼痛が軽減します。

 

以下の運動は全て肩甲骨を大きく動かすことを意識して行うことで効果があります。

肩の上下運動

肩上げ下げ運動

肩回し運動

冷え性対策 肩回し運動

肩甲帯周囲筋群の筋力増強運動

姿勢保持筋群の筋持久力向上を目的に行います。低負荷、高頻度の原則に準じて行います。

しかし、症状によっては(特に圧迫型頚肩腕症候群の場合)、積極的な運動は逆に疼痛を強めてしまう場合があるので、様子をみながら行う必要があります。

壁立て伏せ

壁立て伏せ

その他

圧痛部位や可動域、自覚症状などを考慮して、椎間関節のモビライゼーションや筋筋膜ストレッチなども効果がある場合があります。

まとめ

頚肩腕症候群は一般的によくある症状ですが、少し生活を工夫したりすることで改善させることができます。

 

肩周りの筋肉は立っているだけで常に収縮が入っていて、緊張が高くなりやすい傾向にあるので、意識的にほぐす習慣を持つことが大切だと思います。

 

参考文献)森澤佳三ほか:肩こりに対する体操療法、山鹿眞紀夫ほか:頚肩腕症候群のマネージメント(別冊整形外科NO27)

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