てんかん発作はなぜ危険か?てんかん発作による痙攣の対応の仕方、TODD麻痺について


少し前に、てんかん発作による交通事故がニュースで話題になり、その病態が社会的に広く認知されるようになりました。私が働く医療のリハビリの現場でも決して珍しい症状ではないので、てんかんについてリスク管理として知っておくことは重要だと思います。

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意外と多い医療現場でのてんかん発作

脳の機能が減少するか失われる時は麻痺、昏睡、失語症などの欠落症状がありますが、逆に脳の機能が異常に亢進した状態に近いともいえるのは、てんかんの際のけいれん発作です。

しかし真の意味で機能が亢進するのではなく、異常な電気生理学的な現象が充分に抑制できないためにけいれんが起こります。

 

典型的な全身の痙攣発作は初めて見るととても恐ろしいですが、必要以上に怖がることはなく、実はけいれんの重積(けいれん発作が連続して起こること)以外では転倒さえ防げればさほど危険ではありません。

むしろ、医療従事者が現場にいながら、けいれんの持続時間、その他の特徴を観察できなかったりする方が問題になることもあります。

 

てんかんによるけいれん発作では、通常は意識がなくなり、すぐに強直けいれんとなり、1〜2分位で四肢の規則正しい屈伸運動、すなわち間代けいれんに移行します。

この時に舌を噛んでしまうことがありますが、転倒による外傷などに比べれば危険は少ないとされています。
舌の噛傷はあっても縫合しなければ止血できない事は少なく、むしろ、タオルなどをむやみに口に押し込んで気道を狭めたり閉塞する方が問題である場合が多いです。image 急に全身けいれん発作に出会ったら、患者を転倒等による危険から守るのが第一に重要です。

発作中や発作の直後には患者はしばしば見当識も失われ、予想のつかない行動することもあり得ます。

もし、患者本人が一見まともにを応答しても、安心はせずに観察を続ける必要があります。

発作後にベットから転落して頭部外傷を起こすことも十分にあり得ます。

発作後、もうろう状態が1日以上続き、異常行動を伴なったり、精神科での手当てを要することもあります。

最近では抗けいれん剤がよく効くようになっているため全身痙攣ではなく、短期間の意識の消失ないしは意識の混濁だけの発作もよく見られます。

このような時でも交通事故の可能性や階段の昇降時の転落もあり得るので、常に危険の防止を考えておくことが大切です。

てんかんの重積発作はなぜ危険か

てんかん重積発作とは始めの複雑全般発作(いわゆる大発作)が終了しないうちに、次の発作が重ねて起こることを指します。

数回の発作が続けば、その間は無呼吸のままとなり、生命の危険があることになります。

そうなってしまうと、気管内挿管を行い、強い筋弛緩剤を用いて、人工呼吸下に経過を観察する必要があります。

てんかんの原因について

てんかんの原因は先天的な遺伝子の異常による代謝疾患もありますが、広い意味での周産期の異常による脳の低酸素症は重要です。

したがって脳性麻痺の症例などには、てんかんの合併は頻繁に見られます。

 

中枢神経系の奇形でもてんかんはよく見られます。

もとより原因の全く不明なものも多くあります。髄膜炎や脳炎のような中枢神経系の炎症の後にはてんかんは起こりやすいです。

特に、脳腫瘍の後にはてんかんは発生しやすいと言われています。

全身けいれん発作は、30歳以降に初発すれば、いわゆる真性てんかんではなく、まず脳腫瘍などの症候性てんかんを疑います。
他にも、

  • 動静脈奇形
  • 脳梗塞
  • 進行中の脳炎や髄膜炎
  • 脳の変性

などがけいれん発作の原因となります。

ごく稀にですが、寄生虫がけいれんの原因になることもあります。

 

60歳以上の初発のけいれん発作は、脳梗塞の後遺症が多く、くも膜下出血後や動脈瘤手術後にも見られます。
これらの疾患の後に必ずけいれんがあるわけではありませんが、リハビリの場では多い疾患なので、訓練中にでもけいれんに遭遇する可能性は充分あります。

私も臨床経験5年ですが、一度だけ遭遇したことがあります。

TODD(タッド)の麻痺

全身のけいれん発作ではなく、むしろJackson型のてんかん発作の後に多いのがTODD(タッド)の麻痺です。

Jakcson型のけいれんは、通常は意識の消失はなく、左か右の四肢部分のけいれんが最初に起こり、次第にけいれんが全身に広がっていくものです。

このようなけいれんの後に運動麻痺が起こるものを、「TODDの麻痺」といいます。

麻痺は数時間から数週間続く場合もあります。

 

リハビリ訓練中の、てんかんの既往のある患者において、急に運動麻痺が増悪した時など、このTODDの麻痺である可能性もあります。

また筋力の低下のみではなく、あらゆる神経機構においても、TODDの麻痺的な機能低下は起こりえます。

けいれん発作の後、精神的にも神経学的にも悪化することがある事は臨床ではよく見られます。

亢けいれん剤の副作用

リハビリを受けている患者の中に、てんかん発作のコントロールのため、亢けいれん剤を服用されている方も多いです。

亢けいれん剤の副作用による運動療法効果への影響も知っておくべきだと思います。

抗けいれん剤は、量が多ければ傾眠傾向が強くなります。

てんかんの重積発作は起きないが、眠気はとても強いということも多いです。

 

薬を変更してもらって、けいれんは止まり、眠気もなくなるのが理想ですが、実際にはなかなかそう上手くいかないことも多いです。

 

てんかん重積発作起こすのは危険ですが、反面、亢けいれん剤が強すぎてリハビリが十分にできないのも問題です。

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てんかん発作がある患者さんの活動について

てんかん発作のある患者の水泳や遠足の参加は、薬物などで発作がコントロールされている限り、むしろ積極的に勧める方が良いと言われています。

社会的な活動に参加することに対する充足感や適度な運動が、心身の適用力を高めるのかもしれません。

 

しかし、睡眠の不足と過労、水分の取りすぎは痙攣を誘発するかもしれないので避けるべきでしょう。

てんかん発作が起きたときの対応

参考までに、リハビリの現場で、自分がリハビリをしている患者さんに、てんかん発作によるけいれんが起きた場合の対応方法を記載しておきます。

 

まず、大声を出して、近くにいる人に応援を要請します。絶対に一人で対応はできません。

 

それと同時に、最も危険な転倒を防ぐために、近くにあるベッドなどに患者さんを寝かせます。椅子だとけいれん発作により転げ落ちる可能性が高いです。

近くにベッドが無ければ、床に寝転がってしまっても構いません。かならず頭を保護しながら行います。

ベッドに寝かせても安心はできず、けいれん発作が強い場合はベッドから転落する可能性もあります。

すぐに患者さんの体に手が届くところにいるようにしましょう。

 

応援に来た人にタンカーなどで輸送する準備をしてもらい、病院であれば医師・看護師に連絡し、自分はその間に患者さんの経過を観察しておきます。

観察しておくポイントは、

  • けいれんの広がり方(四肢から全身へなど)
  • 呼吸状態の変化
  • けいれん持続時間の計測
  • バイタルサインの確認

です。

初めから最後まで、けいれん発作を見ていた人は患者さんの横にいたあなたしかいません。

よって、上記のことを確認しておき、後に医師に初めから最後まで様子の経過を報告する義務があります。

 

自分は常に患者さんの横にいて、血圧計を取りに行く、タンカーを取りに行く、など患者さんから離れないとできないことは応援に来た人にお願いして下さい。

まとめ

意外とてんかん発作を起こす可能性のある患者さんは多いので、是非今回の記事を参考にしてみて下さい。

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