リハビリでよく使われる温熱療法「極超短波(マイクロ波)の効果・特性、禁忌、使用方法など」

極超短波 マイクロ波 物理療法 機器


極超短波(マイクロ波)療法とは、深達性の乾性温熱療法の一種です。ホットパックと並んで、整骨院や整形外科などの臨床でも頻繁に使用されます。




極超短波(マイクロ波)療法とは

極超短波 マイクロ波 物理療法 機器
引用1)極超短波療法 機器

極超短波とは、マイクロ波・マイクロウェーブとも言われ、電磁波の一種です。この電磁波は通信関係でよく使われる、比較的周波数の高い電波です。

 

極超短波の周波数は2450MHz、波長は約12.5㎝であり、一般家庭で普及している電子レンジと同じ周波数です。

 

このマイクロ波を利用した温熱療法は操作が簡単で、手軽に行えることから、臨床の現場でホットパックと並んで使用頻度が高い物理療法です。

極超短波(マイクロ波)の物理的な特性

極超短波のエネルギーの約50%は皮膚で反射されます。

残りの皮膚を通過したエネルギーは、組織の分子を振動させ、分子間の衝突や擦れ合いが起こり、そこに摩擦熱が発生します。

これが極超短波の温熱発生のメカニズムです。

 

極超短波のエネルギーの深達度は皮膚表面から3~4㎝です。

これは数ある物理療法・温熱療法の中でも深達性の高い方です。

諸説ありますが、ホットパックは約1㎝程度、超音波は1MHzで約2.3㎝です。

 

極超短波は特性として光と似ており、直進・反射・屈折します。

そのうちの、屈折現象は組織密度の高いところでより著明に起こります。

よって、プレート固定などで身体内部に金属などがあると、その金属に向かってエネルギーが集まり、周囲の組織を異常に加熱してしまう可能性があります。

 

電子レンジでも、スプーンなどの金属を入れると発熱するのはみなさんご存じだと思います。

マイクロ波も基本的には同じ原理なので、金属に照射すると発熱し、危険です。

極超短波(マイクロ波)の生理的反応と効果

マイクロ波に限らず、温熱療法は組織の温度を上昇させることで、代謝を亢進させる作用があります。

組織の代謝率は、その組織温度が1℃上昇するごとに13%上昇すると言われています。

 

代謝の亢進は、加温された皮膚や筋膜及び筋の表在部の代謝率が亢進し、それにより新たな熱が産生され、やがて動脈の血管拡張が起こり、毛細血管の血流が増加するという機序で起こります。

この毛細血管の血流増加により、

  • 白血球
  • 抗体
  • 栄養素
  • 酵素
  • 酸素

などの供給が増し、代謝産物の浄化が促進されます。

これらのことより、

  • 鎮痛
  • 軽度の浮腫の改善
  • 局所栄養障害の改善
  • 筋スパズムの改善

等の効果があります。

極超短波(マイクロ波)の適応

適応する状態は以下になります。多くの他の温熱療法とほぼ同じです。

  • 疼痛(炎症症状が強い場合を除く)
  • 打撲
  • 捻挫
  • 骨折脱臼に伴う痛み
  • 慢性関節リウマチ
  • 変形性関節症
  • 肩関節周囲炎
  • 腰痛
  • 腱鞘炎
  • 骨粗鬆症
  • 筋・筋膜性の疼痛
  • 神経痛
  • 内臓異常による関節痛など
  • 筋緊張亢進・・痙性、筋スパズムなど
  • 知覚異常・・筋緊張亢進に伴うこわばり感など
  • 循環障害・・慢性炎症に伴う軽度の浮腫など
  • 運動療法の前処置として・・一時的に軟部組織の弾力性を増し、粘性度が低下することで筋緊張をある程度低下させることもできます。

禁忌

禁忌は以下になります。

  • 急性炎症のある部位
  • 湿布やテープ、絆創膏を貼った部位
  • 知覚脱失部位
  • 金属挿入部位
  • 妊婦の腹部
  • 小児の骨端部位
  • 生理中の女性の腰部及び・腹部
  • 眼球
  • 睾丸
  • ペースメーカー装着者、悪性腫瘍、急性の感染症

使用の際の注意点

使用前に、患者の生体内金属の有無、ペースメーカーの有無、知覚障害の程度などを確認します。

これらは上述の禁忌の中でも、見た目だけでは分かりにくいことなので、改めて確認を行う必要があります。

 

マイクロ波を照射する時、患者は椅子に座るか、臥位で安楽な肢位を取ることになりますが、その際に金属製の椅子を使うと発熱する可能性があるので注意が必要です。

 

照射する領域にネックレスや指輪などの金属類がなく、照射部位を直接的に観察し、問題がなければ衣服の上から直接照射しても構いません。


特に注意すべきなのは、金属糸を使った衣服の着用と照射中の衣服の下の発汗です。

照射時間の目安は、15分から20分の間が良いと言われています。

出力は50ワットから120ワットが目安です。患者が心地よいと感じる程度に調節しながら照射出力を調整します。

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私が臨床で実際に使ってみた感想

照射された患部がじんわりと温かく、患者さんには好評です。

特に肩に疼痛がある方などは疼痛が軽減したと言われる方が多いです。

 

ただ、照射出力の調節が難しく、弱すぎすとあまり効果を感じられない場合が多い様です。

熱くなり過ぎない程度に出力をできるだけ上げると効果が高まる印象があります。

深部の筋にも届き、特別難しい操作も必要ないので、あらゆる臨床の現場で使用されています。

家庭用 極超短波(マイクロ波)治療器

まとめ

街中の整骨院、診療所でも頻繁に極超短波療法は行われており、かなり身近な物理療法と言えると思います。

この記事を参考に、正しく理解し、適切に使用して下さいね。

引用1)株式会社 グリーンメディカル

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