知ってて損はない!2016年に活発化しそうな最新の医療動向「シニアタウン、CCRC、Smart Wellness City」

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/ccrc/ccrc_soan.pdf


これからの日本の状況を考えると、医療と介護の分野はさらに加速度的に進化していく必要がありそうです。

2016年、始まったばかりですが、今年盛り上がりそうな医療界の話題を取り上げます。




気になるものはたくさんあるのですが、今回は介護分野でも注目されている地域活性化に関連する「まちづくり」のことです。

シニアタウンって?その歴史が意外と古い

外国では割と昔からあった発想の「まち単位での社会最適化」がシニアタウンです。

地域おこしとか、地域リハビリとかも広義のこのまちづくりに含まれます。

 

今後日本では人口減少による地方都心の衰退が懸念されています。

 

さらに医師の数の不足も問題となっており、高齢者が増えるのに、医師が減り、病気にでもなってしまったら遠い病院まで通わないといけないという可能性もあります。

 

それを補う対策として遠隔診療、介護施設数の増大が注目されたりしますが、これらの方法はいわば高齢者に向けた、あくまで社会の一部分の最適化です。

 

若い年齢層が少なくなり、高齢者が大部分を占めるようになると言われ、人口比率も今後大きく変わっていく日本では、部分最適よりも全体最適、つまり、社会の構造自体を変えた方が良いのではないか、という発想も出てきています。そこで考案されたのの1つが、このシニアタウンです。

 もともとアメリカでは1960年代から「CCRC(Continuing Care Retirement Community)(リンクは首相官邸日本CCRC構想 素案)と言われる構想があり、退職した高齢者を集めてまちを作る取り組みがなされてきました。

 

そもそも、日本と違って広大な土地を持つアメリカなどの大陸では、高齢者の一番の社会的ハンデになりかねない「移動」がより顕著にネックとなり、社会参加や生活に支障を来します。

日本だって土地が広い田舎に行けば行くほど車が必須です。もっと膨大な土地では、もう現実的に高齢者が何十キロ、何百キロも移動することはほぼ不可能と言えます。

 

それならば高齢者を一か所にまとめてしまえば、移動や物資の運搬のコストは抑えられて、効率が良く、安心して生活できるのではないか?

 

日常生活品を売る商店街や、娯楽施設、病院など生活に必要な施設を集めて街の中心部に配置し、わざと大きな規模にせず、少し移動すれば中心部に行けるような街をデザインし、そこに退職者や高齢者を集めて集団で生活する、というのがシニアタウンの構想です。

日本のいわゆる高齢者専用賃貸住宅も高齢者が集まり共同生活を行っていますが、もっとオープンにして規模を大きくして、社会自体を街の中に作ってしまおう、という発想です。

日本の都市モデル構想「Smart Wellness City」プロジェクト

しかし、最近出てきたのが、形だけまちの構造を変えるだけでなく、日本でも市政府が進める地方創生の動きと連動して、自治体主体での住民の健康づくり、まちの中に住む人に向けた高齢者のシステム改革を図る試みが登場しています。

 

 その先駆けともいえるのが、新たな都市モデル構想「Smart Wellness City」プロジェクトです。6つの自治体が協力し、参加者2100人で2014年12月から「健幸ポイント」の実証実験を開始しました。

「健幸ポイント」とは、健康増進のための努力をした市民にポイントを付与するインセンティブ(インセンティブ=目的を達成するための誘因となるもの)制度のことです。

 

実証では、参加者は歩数計を装着し、運動教室などに設置された体組成計で体組成を計測。データは中央管理システムに集めて分析し、努力や成果をポイントとして蓄積してきます。分析データは参加者本人もスマートフォンやパソコンなどから閲覧でき、日々の歩数増やBMI値の改善などのほか、指定の健康プログラムへの参加などでポイントが獲得できるそうです。ポイントはローソンなどで使える[ponta]に変換されたり、地元商店街の商品券になります。

 

実験開始から2016年で1年経ち、成果が表れてきているとのことです。

具体的には、プロジェクトの開始時、6市全体での参加者の平均歩数が6194歩だったのが、5カ月後に平均歩数は8174歩にアップしたそうです。

 

厚生労働省が出している「生活習慣病予防のために推奨する1日あたりの歩数」は8000歩以上なので、全体平均でその基準を越えています。

これは大きな成果と言えるのではないでしょうか。

介護予防にはインセンティブが必要?

しかし、逆に言うと社会保障費削減のために現在「介護予防」の概念が声高く叫ばれていますが、これくらいのインセンティブがないと人は自分の健康維持について自発的に努力できないということも言えるかもしれません。

改めて介護予防分野の課題が垣間見える気がします。

 

初期投資をして動いてもらうこと、それで初めて社会保障費削減に介護予防の概念が役立つのかもしれません。

 

また、このプロジェクトはまだ1年しか継続していないので、3年くらいすると平均歩数も元に戻ってしまっている可能性もあります。

 

人間「続ける」ってことは本当にモチベーションが必要なことで難しいです。

そして運動は続けないと効果が半減どころか元に戻ってしまいます。運動習慣を継続させることができて初めてこのプロジェクトの真の成功といえるのかもしれません。

 

他に特筆すべきことは、この取り組みは医療・介護分野だけに貢献するものではない、ということ。広い視野を持っています。

社会制度の中で「インセンティブの効果を立証する」という課題もあり、インセンティブによってどれだけ多くの人を継続的に動かせることができるか、と言う結果次第で、今後インセンティブ制度を取り入れた産業やシステムが成り立つことが立証できる可能性があると言われています。

 

何にせよ、医療従事者としては今後の経過に注目のプロジェクトであることは間違いないです。

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まとめ~リハビリ職として思うこと~

私は現在訪問リハビリで各家庭を回っていますが、もしシニアタウンで訪問リハビリをするなら、移動距離も少なくて済み、量的にも質的にも効率的にリハビリが出来ます。訪問医も訪問ヘルパーも恐らく同じことを言うと思います。

 

また、実際問題、訪問リハビリで週一回とかの低頻度でリハビリを実施してもかなり効果は限られてしまう、という現状があります。やっぱり特に地域でリハビリを行って早期にしっかりと結果を出すには、その人自身の頑張りがどうしても必要不可欠になってきます。

 

「早く良くなる」ことって社会保障費減の観点からも、患者さん自身からも必要とされていることのなので、「Smart Wellness City」プロジェクトをきっかけに、人々が健康維持・増進のために率先して取り組める(いや、取り組みたくなる)ような仕組みがどんどん世の中に出てくると良いですね。

 

実際、介護予防の概念は立派ですけど、それに本当についてこれる人って限られている気がします。

あれって、もとは社会保障費削減のために政府が打ち出したものですよね。

 

健康な人がその健康を維持するために運動しましょう!って呼びかけたり、その方法を教えたりするだけだと、なかなか人は動かないのではないかなと思います。

なぜなら、これは提示しているベネフィット(利益)が「健康で介護が不要な体になる」っていうことだと思うんです。

介護予防に取り組む人の多くにとってこれは「すでに得ているもの」です。

効果的なベネフィットとは言えないのではないでしょうか?

 

もし、この「Smart Wellness City」プロジェクトが3年続いて、それでも結果を出し続けることができ、継続性が証明されれば、インセンティブ制度が採り入れられる日がいつか来るかもしれません。

 

例えば、高齢者が介護度を1下げたら5万円支給、要介護状態から抜け出したら10万円支給とか。

介護度が増えていくことで増大するであろう個人にかかる社会保障費ーインセンティブ制度による支給額=社会保障費削減額となるので、実行の前に正確な試算が必要ですが、意外と効果的かもしれません。

 

もちろん政府に頼るだけではなく、一般企業も参入しても良さそうです。

超ブルーオーシャンです。

 

ちょっと考えてみたのですが、「自主トレをきっちりこなせたら患者さんに報酬を支払う介護予防リハビリステーション」とかおもしろそうですね。

収益化が難しそうですが、自主トレきっちりこなしてもらえるなら、訪問する回数を減らしてもそれなりに結果を出せるのではないでしょうか。

もちろん自由診療で、半年とかの単位での月契約。リハビリ職は評価・エビデンスに基づいた自主トレプログラムの提供のみを行う。

必要であれば動画配信でリハビリ指導を行うこともできそうですし。遠隔診療ならぬ、遠隔リハビリですね。

 

私が言うのも変ですが、今のリハビリのように、全ての患者さんにリハビリ職が付き添って毎回手取り足取り運動をしてもらわないといけない、ってことは絶対ないと思います。

今の高齢者でも若くてしっかりしていて、明確な動機さえあれば、「自分でちゃんとできる」人ってたくさんいます。この傾向は今後もっと顕著になってくると思います。

 

新しい時代に合わせた新しいリハビリの形、今後出てくるんじゃないかなと思います。

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