脊柱の解剖と役割・機能について

脊柱の解剖・機能と役割


脊柱は人体にとって大切な機能を持っています。解剖学的特徴と、その機能についてまとめました。




脊柱とは?

脊柱には32~35個の椎骨があります。

 

脊柱を各部部分に分けると、

  • 頸椎:第1頸椎C1~第7頸椎C7
  • 胸椎:第1胸椎T1~第12胸椎T12
  • 腰椎:第1腰椎L1~第5腰椎L5
  • 仙椎:第1仙椎S1~第5仙椎S5
  • 尾椎:第1尾椎Co1~第3~6尾椎Co3~6

胸椎は肋骨及び胸骨と共に胸郭を形成し、他と比べて少し特殊です。

尾椎はCo1~3~6を全体として「尾骨」と呼ばれることが多く、臨床で意識することが少ないですが、忘れやすいからこそ是非覚えておきましょう。

脊柱

脊柱を前額面で見てみると、ほとんど垂直で彎曲は見られませんが、矢状面では頸椎前彎、胸椎後彎、腰椎前彎、仙椎・尾椎後彎の生理的彎曲があります。これは「姿勢」を決定する重要な要素です。

後彎要素は胎児期から存在し、頸椎の前彎は首が座って、座位ができるようになってから後天的に獲得されます。

椎骨について

椎体

椎骨は椎弓と椎体に分けられます。その間に椎孔があり、全体としては脊柱管を包み、脊髄を納めています。

椎骨の前面部分は円柱形で、椎間円板を介して隣の椎体と連結しています。

椎弓は、上関節突起、下関節突起、棘突起、横突起、肋骨突起で形成されています。

椎間孔について

上下の椎体で椎間孔を形成して、脊髄から出る神経根の通路となります。

椎間孔は頸椎と腰椎では大きく三角形で、胸椎はそれに比べて小さく円形です。

神経根の面積は20~30%で、残りは血管や脂肪、リンパ管で占められます。

椎間板について

椎間板は椎体間にあり、繊維輪と髄核からなります

  • 繊維輪

繊維輪はコラーゲン繊維を多く含む、結合組織性繊維層で、上下の椎体を連結する役割をしています。

  • 髄核

髄核は繊維輪の中心にあって、ゼラチン様物質で、中に脊索が含まれています。(これは胎児期の残留物と言われています。)

髄核の中身は80%が水分となっており、血管や線形は存在しません。

椎間板の役割・機能

椎間板は脊柱にとって重要な役割を持ち、上下の椎体の連結、脊柱の可動性、体重の緩衝作用(クッションの機能)を果たしています。

椎間板のみで緩衝作用をしていると思いがちですが、実は髄核も衝撃を25%程度負担しています。

 

運動時には椎間円板の変形に対しては髄核が繊維輪内を移動したり、垂直に圧が加わった場合には髄核の水分が出たり入ったりして圧を緩衝しています。

 

安静臥床時よりも垂直に立位を取った時には全脊柱で約2㎝の短縮が起きると言われています。寝転がって身長を図ると2㎝背が伸びるということですね。

 

椎間円板のうちでも最も荷重が掛かりやすく、最も可動性が必要とされるのは、L5~S1の椎間円板です。早い人では20代でこの部分に変性が起きると言われています。

そのため、髄核が繊維輪から飛び出す、椎間板ヘルニア(ヘルニア=飛び出すの意味)はこの部位が好発部位となっています。

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脊柱はどのように動くのか?

脊柱の動きは主に、屈曲、伸展、側屈、回旋で、運動の自由度は3です。

脊柱の動きは股関節の動きを伴うことが多く、脊柱の動きを考える時に、股関節の動きを考慮することは臨床上大切なことです。

 

脊柱で一番屈伸が可能な部位は、L5~S1で、参考角度は20°、側屈は最もC3-5の角度が大きく、参考角度は11°、回旋角度が一番多いのはC1~C2で47°も回旋します。

私は先輩から腰椎は回旋しない、と聞いたのですが、腰椎もごくわずかですが、2~5°程度回旋するようです。

 

 

脊柱のうちで最も大きく可動性があるのは頸椎です。また、圧に耐えるために最も大きい椎体は第5腰椎です。胸椎は胸郭と連結しているため、可動性は比較的小さいです。

脊髄の神経について

脊柱の管内にある脊髄は実は長さが全然一致していません。

成人では第二腰椎の高さ以下に脊髄は無く、脊髄神経の前根と後根が走行する馬尾になります。

脊髄を横断面でみると、前側面から遠心性(運動性)の前根が、後側面からは求心性(感覚性)の後根が左右対称に出ています。この前根が運動性、後根に感覚性の神経が出ていることをベルマジャンディの法則と言います。

 

前根と後根は合体して混合神経となり、前枝と後枝に分かれて体節構造に一致して走行します。これを髄節と言います。

髄節は31髄節あります。

  • 頚神経は8対(C1~8)
  • 胸神経は12対(T1~T12)
  • 腰神経は5対(S1~5)
  • 仙骨神経は5対(S1~5)
  • 尾神経は1対(Co1)

です。

まとめ

脊柱の解剖を理解していると、姿勢を整えるようなリハビリにも活かせますし、椎間板ヘルニア、変形性股関節症、腰痛などのリハビリにも活かせ、大変活用できる知識になると思います。

 

私が学校で習ったときはあまり興味が湧かず、熱心に勉強できませんでしたが、臨床に出てから後悔して勉強し直しました。人体にとって、かなり重要な機能を持つ脊柱、是非理解しておいてくださいね。

>>次の記事は「ローテーターカフ(回旋筋鍵板)の解剖、機能と役割」です。

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