「様々な使い分けができる」7パターンのハムストリングスの筋トレ・ストレッチの方法

ハムストリングス ストレッチ 筋トレの方法


ハムストリングスは大腿部の後面に付着し、膝関節を屈曲させる主動作筋です。また二関節筋であり、股関節の伸展にも作用します。有名な筋肉である大腿四頭筋の拮抗筋ですが、意外と存在感の薄い(意識されにくい)筋肉でもあります。




円背

このような姿勢、特に高齢者の方によく見かけますよね?

リハビリでこのような姿勢を修正したい場合、どのようにアプローチすると良いでしょうか。

 

 

もちろんしっかり評価を行って原因を追究してからアプローチすることが鉄則ですが、やみくもに評価するのではなく、的を絞って評価をしていくと効率が良いです。

 

この場合評価の的を絞るために理解しておくと良いことは、姿勢(骨盤・体幹)を制御する仕組みです。

 

バイオメカニクス的には先ほど述べた「いわゆる円背」の場合、ハムストリングス・大殿筋を鍛えると骨盤は後傾し、腸腰筋、大腿直筋を鍛えると前傾しやすくなります。(起始停止を考えると理由が分かると思います。)

 

大殿筋と腸腰筋を鍛える人は多いのですが、意外とハムストリングスの存在を忘れていて、鍛えていない人が多いです。

 

忘れられがちなハムストリングスですが、実は重要な役割を持っています。

ハムストリングスとは?

ハムストリングスは大腿二頭筋と半腱様筋、半膜様筋の3筋の総称です。

  • 大腿二頭筋

大腿二頭筋

大腿二頭筋 停止

大腿二頭筋の短頭は大腿骨の粗線外側唇から起始し、長頭は坐骨結節より起始します。腓骨頭に停止します。

支配神経は短頭は腓骨神経、長頭は脛骨神経です。作用は、股関節の伸展・外旋、膝関節の屈曲です。

  • 半腱様筋

半腱様筋

image4

半腱様筋は坐骨結節、仙骨結節靭帯(大腿二頭筋の長頭の起始と合体する)から起始し、脛骨粗面内側部に停止します。

支配神経は脛骨神経(L5-S2) で栄養血管は下殿動脈です。作用は股関節の伸展と膝関節の屈曲です。

  • 半膜様筋

半膜様筋

半膜様筋は、坐骨結節から起始して、脛骨内側顆、斜膝窩靭帯、膝窩筋筋膜に停止します。

支配神経は脛骨神経(L5-S2)で、栄養血管は大腿深動脈、殿動脈、作用としては股関節伸展と膝関節の屈曲です。

 

ハムストリングスのその他の大きな特徴として、二関節筋である、ということが挙げられます。

二関節筋とは?

二関節筋は人体にある筋肉の中で多くの筋肉が一つの関節をまたいでいる(単関節筋)のに対して、二つの関節をまたいでいる筋肉のことを指します。

二関節筋はハムストリングスの他に、下肢では、

  • 大腿直筋
  • 薄筋
  • 縫工筋
  • 大腿筋膜張筋
  • 腓腹筋

などがあります。

 

上肢では、

  • 上腕二頭筋長頭
  • 上腕三頭筋

が代表的な二関節筋になります。

二関節筋の特徴

これらの二関節筋は筋肉の長さが比較的長い傾向にあり、細長い形状をした筋肉が多いです。筋長(レバーアーム)が長いと言うことは短い筋肉よりも力学的に有利で、パフォーマンスに大きな影響を与えます。

重力に抗して作用する力は少なく、どちらかうと言うと巧緻性動作に影響を与えやすいです。

イメージとしては単関節筋が運動時に中枢部を固定し、二関節筋が末梢の動きを制御したり、微調整を行っています。

 

例えば、ハムストリングスの場合、歩行時には足の降り出しの際に適度に収縮して振出し速度をコントロールする働きがあります。

 

小脳性の運動失調の方、脳卒中片麻痺で弛緩性の運動麻痺がある方は歩行時の足の降り出しの際に足を地面に接地させる位置がバラバラで安定しないことがよくあります。

 

そういった場合にはハムストリングスが正常に収縮できていないことが原因ということも多いです。

 

筋の長さが大殿筋よりも長く、二関節筋であるハムストリングスは、同じ股関節伸展の作用を持ち、人体最大の筋面積を持つ大殿筋ほどの収縮力(筋出力)は出せませんが、長さを活かした微調整が得意である、といえます。

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ハムストリングスの筋トレの方法

それでは具体的にハムストリングスを鍛える方法を5種類ご紹介します。

自宅で一人でできる方法

  • うつむせ膝曲げ

ハムストリングス 筋トレ1

腹臥位で膝関節を屈伸させるだけです。負荷を上げたい場合は、足首に重錘などの重りを巻きます。最もスタンダードなトレーニング方法です。

  • 応用お尻上げ(バックブリッジ)

お尻上げ

ちなみに普通のお尻上げはこんな感じです。

お尻上げ2

普通のお尻上げは大殿筋をターゲットにすることが多いですが、足部をわざと遠くに置くことで、意図的に大殿筋よりもハムストリングスを優位に働かせることができますもちろん大殿筋にも働くので、股関節伸展筋群をまとめて鍛える方法でもあります。

 

さらに、お尻を挙げた状態で保持すると等尺性の収縮となり、負荷も強くなります。

自宅で一人でできる運動でやや高度

  • フォワードランジ

フォワードランジ2

フォワードランジはハムストリングスを鍛える場合、できるだけ遠くに足を出すようにすると効果的にハムストリングスを鍛えることができます。

CKCの運動なので、神経筋を協調させて鍛えることができ、動作の中で使える筋肉に育てやすいのでオススメの運動です。

 

そのまま少し足幅を縮めるとハムストリングスよりも主に大腿四頭筋の収縮が強くなります。

バランスが不安定になりやすいので転倒の心配がある方は横に手すりを持って実施するようにして下さい。

ランジのやり方は他にもサイドランジなどがあります。

リハビリの臨床で便利な方法

  • 逆SLR

SLR(Streight Leg Raizing)は仰向きで寝て足を真っ直ぐ延ばし、足を上げるこのような運動のことを言いますが、SLR

これを下の図の様に逆に行います。股関節伸展筋を鍛える方法

これが逆SLRです。

この運動は一人ではできないので、自宅で一人でやるには不向きですが、リハビリの臨床ではストレッチをして背臥位から肢位を変更せずに行えるため大変便利で、私は多用しています。

  • 上向きで寝て、足を枕に押し付ける

ハムストリングス 筋トレ

背臥位で寝て、足首の下に枕やタオルを丸めたものを入れ、おへそを天井に向けて上げるようにお尻を地面から浮かせます。上げたまま維持することでハムストリングの持続的収縮(等尺性収縮)をトレーニングしやすいトレーニング方法です。

ハムストリングスのストレッチの方法

先ほど二関節筋の特徴として”筋長が長いこと”を挙げましたが、逆に短所としてはその分切れやすい=肉離れになりやすい筋肉ということです。

 

特にジャンプをよくしたり、走って急激にストップするような動作をするスポーツではハムストリングスに過大な負荷が加わることも多く、肉離れを起こす可能性があります。

競技の前にストレッチを入念に行うことで肉離れのリスクを軽減することができます。

  • 長座位

ハムストリングス ストレッチ

長座位で体幹を屈曲させます。

下図の様な形でも構いません。長座位 ストレッチ

どちらの方法でも、膝が曲がらないように注意しましょう。また骨盤を倒すという意識を行うことでより効率的にストレッチできます。おへそを地面に向けるように意識して行うことで、骨盤が倒れることを抑制できます。

まとめ

ハムストリングスは走る時にも大切な役割を持つ筋肉です。日常生活で頻繁に使う筋肉ではなく、二関節筋のため、短縮しやすく、萎縮も起きやすいです。また骨盤に付着するハムストリングスは骨盤の位置調整による姿勢制御に重要な役割を持ちます。

 

その分、適切なケアが必要とも言え、効果的にストレッチ・筋トレを行う必要があります。是非試してみて下さい。

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