
私は理学療法士の専門性として、「PTプロセス」を熟知していること、つまり問題点を解決する方法論を毎日実績していることが挙げられると思っています。
しかし、PTプロセスで考えているが故のデメリットもあって、対象をどうしても患者さんのことに絞ってしまいがちです。
そこで、今日は理学療法士が自分の強みとか人生を考える上で使える、PTプロセスの応用とも言える考える技術「チャンキング」をご紹介します。
チャンクとは
チャンクとは「かたまり」のことです。
例えば、「dogseacan」という言葉を覚えたいとしましょう。
その時にチャンクごとに分ける(チャンキングする)ことでより覚えやすくなります。
例題で言えば、dog、sea、canと区切れば、すぐに覚えることができます。
チャンキングは、この様に物事を分割して理解しやすくすることができます。
主に記憶術として紹介されることが多いのですが、問題解決の手法としても活用することができます。
チャンキングの種類
では、実際にどのように問題解決の手法として活用するかご紹介します。
チャンクアップ
対象の枠を広げていく方法です。イメージを掴んだり、客観的な視点を持ちたい時に有効です。
わざと対象から離れていく技法です。
例えば、「私」をチャンクアップすると、日本人、理学療法士、男性などの概念が上位にあります。
チャンクダウン
チャンクアップと逆に枠を狭めていく方法です。より拡大して対象を見ていく虫眼鏡の様な技法です。
物事がより具体的になっていくので、本質を探る時に有効な方法です。
例題で言えば、私の中に何があるか?を考えていきます。
「私」で言えば、文章を書くことが好き、考えることが好き、などです。
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水平チャンク
横方向に視野を広げることです。問題解決のヒントになることが多い使い方です。
世の中のことで、大体の事には似た様な例があります。
そこから学ぶ方が解決策を一から考えるより早い場合が多いです。
例えば理学療法士の業界で給料が問題になっているとしたら、それを介護職ではどうか、と関連する方向に視野を広げていきます。(私はかなり似た経緯を辿っている様に思えます。)
木を見て森を見ず
例えば、職場で過剰な残業が問題になっているとしましょう。
仕事の効率を上げたい、という時に「定時で帰れ!」と怒号をあげるだけでは、問題が解決する訳がありません。
未だにそういうレベルのことが平気で行われている職場も多いと思いますが・・
これは森を見て木を見ていない状態です。
チャンクダウンして、「何が問題でみんな残業をしなければならないのか?」という問題提起をすることがまず必要です。
もし、書類の確認に様々な部署を通さなければならなくて、それに時間がかかっているということが一因として分かれば、さらにチャンクダウンしていきます。
より問題が具体的になり、具体的な解決策が挙げやすくなります。
逆に、書類の手間が問題だと仮定して、より本質に迫るため、チャンクアップも同時に行っていきます。
そういった時間のかかる無駄な手順を踏まなければならない会社の構造(システム)に問題があるのかも知れませんし、果ては法の規制(コンプライアンス)とか、日本のシステム自体に問題があるのかも知れません。
これがチャンキングの基本的な使い方です。
理学療法士は専門職なだけあって、理学療法以外はあまりよく知らないことが多いと思います。
このチャンキングによって、視野を広げ、専門外の分野に興味を持つきっかけになればと思います。
チャンキングは日常生活の問題解決や理学療法でも使える技術ですので、是非皆さん使ってみて下さい。