
ふくらはぎを鍛える筋トレを行う目的というと女性の脚のスタイルアップが一番多いのではないでしょうか?しかし、実はふくらはぎを鍛えるとほかにも様々なメリットがあります。
簡単、手軽にふくらはぎを鍛える筋トレ方法とその効果についてご紹介します。
そもそも”ふくらはぎ”って?何?
下腿三頭筋という筋肉を俗称で”ふくらはぎ”と言います。
下腿三頭筋は腓腹筋とヒラメ筋という筋肉が合体した総称です。写真で確認してみましょう。まずふくらはぎから。

これを解剖図でみると・・

これが下腿三頭筋です。
ふくらはぎ=下腿三頭筋ってどんな筋肉?
下腿三頭筋は先ほど述べたように、腓腹筋とヒラメ筋の総称です。
それぞれ働きが少し違いますので説明します。
腓腹筋
上のイラストを見て頂ければ分かりますが、腓腹筋は膝関節より上から起始しており、腓腹筋が収縮すると足関節を底屈させる作用と膝関節を屈曲させる作用があります。
腓腹筋の特性① 2関節筋
膝関節と足関節のように2つの関節にまたがっているこのような筋肉のことを、2関節筋と言います。そのままですね。
2関節筋は、その特性上、立ったり、歩いたりするときに単関節筋(一つの関節にまたがり、一つの関節しか動かす作用がない筋肉)よりも過剰に働き、安定性を保つ役目をします。

なので、立ち仕事をされている方は、夕方に黄色丸部分(腓腹筋部)を指で押してマッサージして見て下さい。
ほぐされて気持ち良いはずです。
それほど、2関節筋は膝関節や足関節を安定させて動作をしやすくするように頑張っています。
腓腹筋の特性② 羽状筋
筋肉には様々な形状があり、その形状によって筋肉が持つ特性が異なってきます。
腓腹筋は羽状筋です。


この筋肉の形状、羽状筋は、収縮しても関節を大きな範囲で動かすことはできませんが、短い範囲で強く大きな力を出すことができます。
例えば、健康的な一般の人であれば、片足立ちをして背伸びすることができるはずですよね。
これほど重い全身の体重を支えて持ち上げることができるのは、腓腹筋が羽状筋であるためです。
ヒラメ筋

ヒラメ筋は腓腹筋が二関節筋なのに対し、単関節筋で足関節のみを動かす作用があり、収縮すると足関節底屈に作用します。
なので、座ったりして膝関節が屈曲した状態で足関節を底屈させると、腓腹筋ではなくヒラメ筋が主に働きます。
ヒラメ筋は・・・・腓腹筋ほど特筆すべきことはありません・・と思います・・。
私はリハビリの現場でそれほどヒラメ筋を意識してトレーニングすることはありません。
強いて言うなら、足関節が不安定な人は集中的に鍛えることで安定性を向上させることができるくらいでしょうか。
ふくらはぎ(下腿三頭筋)を鍛える効果
ダイエット目的でふくらはぎをシェイプアップして美しく見せる以外に、下腿三頭筋を鍛える効果は以下になります。
筋トレの効果を理解しておくと、トレーニングを続けるモチベーションになるので、確認しておくと良いと思います。
長時間立っていたり、歩いても疲れにくくなる!
上述したように、ふくらはぎ(下腿三頭筋)の腓腹筋は、足関節及び膝関節を安定させる効果があります。よって長時間立っていたり、歩いたりしても疲労感を感じにくくなります。
立ち仕事をしている方で、夕方になると足が疲れて辛い・・という方は、ふくらはぎをしっかりと鍛えてみると良いかもしれませんね。
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足のむくみが取れる!
立位姿勢を取っていることが多いと、どうしても血液が下の足の方に溜まってきます。
この状態を続けていると、むくみの原因になります。
人体の構造上、特にむくみやすいのが、このふくらはぎです。
上述のように、羽状筋であるふくらはぎの筋肉は大変強い収縮力を持っていますので、後述する下腿三頭筋トレーニングを行うことで、筋ポンプ作用により、静脈血が押し上げられて、むくみ予防・解消に効果があります。

筋肉がぎゅーっと収縮することで血液を上に押し上げる作用のことを言います。静脈が流れる血管の中には弁があり、押し上げられた血液が筋肉が弛緩した後も戻りにくい仕組みになっています。人の体って本当によくできていますよね。
歩行速度が上がる!
歩行では、立脚後期と言って足が後ろに来た時に速度が加速されます。
その時に良く働く筋肉が下腿三頭筋です。
アクセレーションとも言います。
下腿三頭筋を鍛えると地面を蹴る力が強くなり、歩行速度が上がると思っている方がいますが、実際はそうではありません。
実際は、立脚後期を安定して作れることで足を振り出す速度が上がり、歩幅が大きくなるために歩行速度が向上します。
※股関節を後ろに大きく伸展することができない方は、下腿三頭筋を鍛えると同時に、股関節伸展のストレッチを行い、まずは股関節の可動域を確保することが大切です。
この話を詳しく知りたい方は、過去記事、専門家はリハビリで歩行動作をどう見ているか?に記載しています。
ふくらはぎ(下腿三頭筋)の筋トレ方法
ふくらはぎ(下腿三頭筋)のトレーニング方法を3種類ご紹介します。
カーフレイズ

カーフレイズです。
下腿三頭筋のオーソドックスな筋トレ方法で、背伸びをするだけ。
つま先に雑誌を踏んでやる(要するに踵を浮かせた状態でカーフレイズをする。なので、雑誌だと高さが丁度よい場合が多いだけで、厳密には雑誌でなくても構いません。)と少し負荷が上がり、片足で行うとさらに負荷量が上がります。
回数としては20回程度が目安です。
カーフレイズの良いところは、自重を利用したトレーニングである点です。
先ほど述べたように、下腿三頭筋は人体の筋肉の中でも非常に強力なパワーを持つ筋肉です。
椅子などに座って足先をヒョコヒョコ上げるだけでは負荷量が少なく、効果的な筋力トレーニングとは言えません。
そのような運動でも足首の柔軟性向上・血流量の増大には役立つでしょうが、筋力増強目的の筋力トーレニングにはなりにくいです。
よって、下腿三頭筋を本格的に鍛えたいなら、立って自重を使う運動が効果的であることを頭の片隅に置いておいてください。
体前倒れ運動

こちらの筋トレがおすすめです。理学療法士の私が、歩行速度を上げたい患者さんに臨床で多用する方法です。
必ず壁や手すりなどを把持して、体を前に倒して(足より前に骨盤がある状態にして)、前にある足を地面から浮かせて下さい。後ろにある足が鍛えられます。
これは歩行の立脚後期を模した筋トレで、歩行速度の向上に抜群の効果があります。
筋トレをして何らかの動作能力を上げたいなら、特異性の原則を考慮する必要があります。
ただやみくもに背伸び(カーフレイズ)をしていても、動作の中で使える筋肉を付けれなければ意味がありません。

筋力が強い=動作が上手くできるという事であれば、プロレスラーが野球でバッターボックスに入れば、ホームランを連発するはずです。人気選手も筋力テストをして、ドラフトで取り合うことになります。しかしそんなことはないですよね。そういう事です。
つまり、目的とする動作に近い状態で筋トレをした方が、神経と筋肉との協調がうまく行え、より使える筋肉に育つという原則のことです。
リハビリの臨床ではとても重要な原則です。筋肉ばっかり付いても動けないと効果的とは言えません。
さらに遠心性の収縮であるため(下腿三頭筋が伸ばされながら収縮する=より筋肉への刺激が強く、負荷として強い。)
目安としては20回程度前の足を上げ下げすると良いと思います。
登り坂をはや足で上る
これも私がリハビリの現場でよく使うふくらはぎ(下腿三頭筋)のトレーニングです。

やり方は、登坂をはや足で歩くだけ。走れる方は走った方が効果的です。
やってみれば分かりますが、推進力が普通の道よりも強く必要なので、立脚後期が延長され、その分蹴りだす力=足関節を底屈する力が要求されます。
坂道では、平地を歩くよりも地面をしっかりと後ろに蹴りだす力がより強く要求されるため、下腿三頭筋のトレーニングとして有効です。
慣れてきたら歩速度を上げるとより強く蹴り出す力が必要なため、負荷量が増大します。
はや足で歩くようにしてみましょう。
これも歩行動作に即した(特異性の原則を活かした)トレーニングなので、歩行速度向上効果は大変高いです。
できるだけしっかりと足先で後ろに地面を蹴り出すことを意識して行うとより効果的です。
市販のふくらはぎストレッチグッズ
ふくらはぎの下腿三頭筋は強力である分、ほおっておくとすぐに筋肉が固くなってしまいます。
こういった商品で毎日しっかりふくらはぎを伸ばしておくと、足の疲れが取れやすいと思います。参考までに。
昔はそっけない木の板のような商品が多かったですが、最近はダイエットでもふくらはぎが注目されているので、この商品の様に女性向けのお洒落なものもたくさんあるようです。
一度通販サイトを覗いてみると面白いかもしれません。
まとめ
人体が立って、走って、跳んでと、重力の働く地球上で自由に活動できるのは、地面にしっかりと足を付けていることができるからです。
足部の役割はすべての動作において非常に重要です。その足回りの筋肉の中で、最も強力で、人体の活動を陰で支えている筋肉がふくらはぎ=下腿三頭筋です。
ダイエットだけでなく、鍛える意味は無数にあり、足を踏ん張って行う全ての動作に関係していると言えるくらい重要な筋肉です。
実際にふくらはぎ(下腿三頭筋)を鍛えて頂ければ分かると思いますが、1日の終わりの夕方・晩に足が重い・・と感じにくくなってくると思います。
下腿三頭筋を鍛えると、膝関節と足関節がグラグラしにくくなり、タフに立ち仕事をこなせたり、長距離の歩行が苦にならなくなります。ぜひお試しください。