
- 子供が言ったことをやってくれない
- 職場で部下が言ったことをやってくれない
と悩んでいませんか?実は簡単な解決方法があります。
指示の出し方は”具体的に”
私はリハビリで、数百人の高齢者の方に関わってきました。そして、自ら運動する習慣を確立することを促してきました。しかし、「この運動やっておいてください」と言っても、ほぼ100%の方がやってくれません。
何故かとずっと悩み、何年も色々と試したのですが、出た結論が1つあります。
それは人は、指示をより具体的に出されると行動しやすくなると言うことです。これは育児でも同じで、リハビリの現場だけではなく、会社や組織など、他人に何かをやってもらう場合にすごく有効な方法です。
曖昧な指示には曖昧な答えしか返ってこない
例えば、「今日の体調はどうですか?」と患者さんに聞くと、ほぼ100%「ボチボチです」とか「普通です」と答えが返ってきます。
しかし、「この前おっしゃっていた、膝の痛みですが、この前の痛みが10段階のうち10の痛みだとすると、今日はどれぐらいの痛みですか?」と具体的に聞くと、「膝の痛みは3です」とほぼ全ての人が具体的に答えてくれます。
一方、会社でも、上司から部下に「これやっといて!」と書類を渡すだけという仕事の与え方、または指示の仕方をしていると、お互いにとって良くありません。
指示が曖昧すぎると答え(成果物やレスポンス)も曖昧なものしか返ってきません。ところが多くの人は自分の指示の出し方が悪いにも関わらず、相手が悪いと思い込んでいる場合があります。
「影響力の輪、関心の輪」の話でもお伝えしましたが、他人を変えることはできません。他人が変わることを期待するのではなく、先に自分が変わる、というのがこの世の鉄則です。
会社で書類を部下に作成させたいのであれば、最低限、
- 目的
- 期限
- やり方・方法
- 途中での確認の方法(進捗確認)
など具体的に部下に指示する必要があります。
「この書類をこの雛形を参考にして、10日間で私のところに仕上げて持ってきてください。半分できたら一度私に見せてください。わからなければ、〜〜さんが既にその仕事を前にやっているので、聞いてください。」
と言うふうに部下に指示を出せば、部下も何をどうやればいいのか明確であるため、余計なことで悩む必要はありません。
また上司の方も、曖昧な指示をすると、自分が思っていたのと違う形で仕事が仕上がってくるため、再度やり直しをさせたり、修正させたりする必要があり、余計な仕事が増えるだけです。
私の提唱するウェルビーイングな生き方は、できるだけ無駄なことを排除し、その分の時間や労力を自分の好きな時間に充てるという生き方をすることです。
同じ完成度の仕事であるならば、できるだけ早く、労力が少なく、悩む時間も少ないほうがより良い生き方につながっていきます。
子供にも具体的な指示を
これは子供に対する育児でも同じです。
子供に指示を出すときに「あれやっといて!」などとざっくりと指示を出すと、子供は、
- 何を
- どのように
- いつやれば良いのか
わからないため、後回しにしてしまったり、悩みながら遂行するため、完成が遅くなってしまって、やるのが途中で嫌になってしまったりします。(子供の集中力は長く続きません。)
特に、今まで会社や組織で上司として指示を出した経験がない親が、子供に指示を出すと、大体ほぼ全員が曖昧な指示を子供に出します。
結果、親は、子供が「ちゃんと言ったことをやらない(子供が悪い)」と判断します。しかし実際は、親の指示の出し方が曖昧であるため、子供は悩み、指示内容を完遂できないのです。
誰に対しても同じで、コミニケーションは丁寧にすれば丁寧に帰ってくるものです。逆も然りで、雑にすれば雑に自分に返ってきます。
雑な上司には質問を駆使しよう
仕事でも家庭でも、「忙しいから具体的な指示を出してる暇がない」と思う人もいると思いますが、忙しいならなおさら的確な指示を出し、1度の指示で完結するようにするべきです。
また、会社や組織において、こういったことを知らない上司はたくさんいます。当たり前ですが、上司だから仕事がデキるとか、上司だから仕事を円滑にこなすコツを心得ているとも限りません。
世の中には、適当に指示を出し、毎日部下から曖昧なリターンが返ってこないため、毎日不機嫌と言うような上司はたくさんいます。そして部下が無能だと思っています。しかし実際は上司が無能なのであり、指示が雑なことが原因です。
もし、そんな上司が自分の上にいるなら、上司の無能さを責めても何も変わりません。お互いがお互いのことを無能だと思って責め合うことほど不毛なことはないのです。
私たち部下がすべき事は、「質問」です。
目上の人に「これやっといて」と抽象的で雑な仕事の振り方をされたら、
- いつまでにでしょうか?期限はありますか?
- 途中で一度見えもらっても良いですか?
- すでに違う人が同じような仕事をしていますか?
- 雛形になるようなものとか参考になるものはありますか?
などなど、こちらから積極的に質問をして指示を具体的にしてあげる必要があります。
まとめ
本来、他人に自分の代わりに動いてもらう、ということ自体が本来かなり強引で恐縮すべきことです。
しかし、親でも上司でも毎日のように指示を出し、子供や部下など誰かに動いてもらっていると、それが当たり前のようになり、ありがたみを感じなくなります。それどころか、動いてくれた人に対して文句を言うようになります。人間は、誰しもこのようにして増長していってしまうものです。
他人を動かすための最低限のマナーが「丁寧に、かつ具体的に指示を出す事」です。
そのためには、自分がその仕事について具体的に理解している必要がありますし、相手の性格や特徴なども把握している方がより指示を完遂してもらいやすくなります。
普段から部下や子供とコミニケーションを取り、相手の特徴をつかみ、自分でもその仕事について理解を深めるという、絶え間ない意識がすごく重要になります。