
褥瘡(床ずれ)の発症は医療介護の現場ではよくあることです。臨床の現場でも、誰に主に相談すれば良いのか、比較的クリアではない領域だと思います。そこで、今回はTwitterで「褥瘡の専門家は誰?」という質問をしてみました。
褥瘡発生要因 3つ
そもそも、なぜ褥瘡は発生するのでしょうか?
主な褥瘡の原因は大きく分けて3つの要因があります。
皮膚における原因
- 皮膚の局所的圧迫・乾燥、ズレ
- 汗や失禁などによる皮膚の汚れ
- ふやけ
全身的な原因
- 栄養不足
- 痩せている
- 持病がある
- 薬を使用している
- むくみがある
社会的な原因
- 介護力の不足
- 情報不足
褥瘡の専門家は誰?
褥瘡は、
- 様々な要因が関係して発生すること(生活習慣、栄養、湿潤、ベッド周りの環境、介助方法などなど)
- 長期的な関わり(ケア)が必要なこと
から、誰を中心に情報を共有すれば良いのか曖昧になりやすい分野だと思います。
- ベッド上でポジショニング指導をリハ職がやっているんだから、リハ職(理学療法士・作業療法士)じゃないの?
- 治癒のための処置を主にするから看護師?
責任を押し付け合うためではなく、より効率の良いケアをするために、この職種には絶対情報を共有しておいた方が良い、という職種があった方がスムーズだと思いました。
そこで、Twitterで以下の質問をしてみました。
【褥瘡の専門家は誰??】
今日の勉強会で疑問に挙がったのでお聞きしたいのですが、床ずれの専門家は誰だと思いますか??
— 西野 英行🌎@セミフリーランスPT (@PT50139040) 2019年1月23日
回答としては、「看護師」が一番多い結果になりました。
専門家はいない!
アンケートに対するコメントがこちらです。素晴らしいコメントばかりです。ご回答下さった皆さん、ありがとうございました。
ICU勤務していた時にも思っていたが、何が大切かって最優先事項をチームで共有して患者さんのケアをしていくことだと思う。その指揮をとるのはやはり医師であると思うがコメディカルが各分野の専門家としての自覚を持ち意見をいうのがチームとして必要不可欠。要するに全員専門家でなくてはならない。 https://t.co/WmTc8eszZF
— Ryuki Kondo@留学情報発信中🌎 (@hotchoco999) 2019年1月24日
対策委員としてチームで関わってますが直接的な治療はWOCNS、皮膚科医師、リハ職はポジショニングが多いです。
ガイドラインに載ってはいますが低周波治療器を当てた事はまだ無いです汗 https://t.co/2LYhwIlkwQ— こーお。3児の母×PT (@4_o8k) 2019年1月24日
看護師と回答しましたが、
誰でも良いと思います。医療的処置については
医師や看護師。
体位変換やエアマットなどは
リハビリや看護師。
日々の状態確認や湿潤ケアは介護士。
栄養は栄養士。でも、トータルコーディネートするなら看護師かなー。 https://t.co/qoS6uj0uCT
— 橋本康太@理学療法×VR×街づくり (@hashimoto721) 2019年1月23日
褥瘡と摂食・嚥下
ここの分野は今後、ますます需要が増してくると思います。なので、
僕はこの分野でポジションを取りたくて、特養を職場にしています。
そして、この分野は多職種協働が必ず必要になります。
コミュニケーションをとるのに重要な共通言語です。 https://t.co/qoS6uj0uCT— 橋本康太@理学療法×VR×街づくり (@hashimoto721) 2019年1月24日
この質問をするときに、実は答えやすいようにあえて余白を作るため、「専門家は誰?」という書き方をしました。(隙がある質問の方が突っ込みを入れやすいため。)はっきり言って、褥瘡は〇〇が専門家!などと思っていてはダメだと思います。誰もが意識高く関わることが必要で、私たちリハ職であれば、ポジショニングを通して積極的に関わるべきだと思います。
上の回答にあるように、みんなが自分の専門性を発揮する事で良いケアが実現できるのではないでしょうか。
まとめ
ちなみに、リハ職は褥瘡に関するケアの専門知識を学校で習っていないので、一般的な見解としては「専門家ではない」と思います。主に私たち理学療法士が習うものには、
- 「解剖学」
- 「生理学」
- 「病理学」
- 「運動学」
- 「物理療法」
- 「整形外科学」
- 「神経内科学」
があります。
学校で習っていない分野の知識を卒業後に独学で勉強し、「専門家」と自分で思っているリハビリ職も多いですが、私はそれは少し違うのかな?と思っています。独学では、あまりにも個人差があり過ぎるのではないでしょうか。
結論として、「褥瘡は誰もが専門家!」と思って、意識高く積極的に情報を共有する事が必要だと思います。上の意見にもありましたが、褥瘡は他職種連携のためのコミュニケーションを取るための共通言語になるもの、という認識を思っておくと良いのかもしれません。
※発生要因やケアについてより深く学びたい方は、「日本褥瘡予防学会」のホームページが参考になります。