介護保険サービスの自己負担額など、療法士として介護保険について最低限知っておくべきこと


療法士として働いていると、患者さん、家族さんから介護保険のサービスについて様々なことを質問されます。

介護保険については学校でほとんど教えてもらえないので、療法士新人の方はとまどってしまうのではないでしょうか。

患者さんや家族さんに介護保険に関することでよく聞かれることのQ&Aを作ってみました。

介護保険について、療法士として最低限知っておくべきことをまとめていますので、参考にして下さい。




Q:ヘルパーさんに来てもらったらいくらかかるの?(介護サービスの自己負担額の目安)

介護サービスの自己負担額を患者さんに尋ねられることがあります。

大体でよいので把握していると患者さんから好印象です。

 訪問介護 (ヘルパー)

 身体介護   20分-30分未満 254円
 生活援助   20分-45分未満  190円
 訪問入浴介護   1回1250円
 訪問リハビリ   1回305円
 居宅療養管理指導  550円
 訪問看護 
 病院・診療所から  550円
 訪看護ステーション から  830円
 通所介護(デイサービス)

 一日 690円~1271円

通所リハビリ(デイケア) 一日 671~1271円
短期入所生活介護(ショートステイ)  609~993円

特に聞かれやすいのは、

ヘルパー 身体介護 30分250円、生活介護30分200円、

デイサービス・デイケア 1回700~1200円程度、

訪問リハビリ 1単位305円です。

 

ちなみに、上記は2015年現在のもので、市町村によって少し違うし、消費税増税で上がります。あくまで目安として下さい。

Q:車いす以外は何が借りれるの?(福祉用具貸与について)

①手すり(工事しないもの)

②スロープ

③歩行器

④杖(T-caneは自費購入です。松葉杖、4点杖など特殊なものがレンタル対象です。)

⑤車いす

⑥車椅子付属品

⑦特殊寝台

⑧特殊寝台付属品

⑨床ずれ防止用具

⑩体位変換器

⑪認知症老人徘徊感知器

⑫移動用リフト

⑬自動排泄処理装置

要介護度によって借りれないものがある

要介護1以下(要支援1.2、要介護1)の方は、⑤車椅子、⑨床ずれ防止用具、⑩体位変換器、⑪認知症老人徘徊感知器、⑫移動用リフトは借りることができません。

 

なぜか?

 

介護保険施行当時(2000~2008年程度まで)は、介護度に関係なく何でも借りることができました。

しかし、要介護1で杖を突いて歩ける方が、普段車椅子を全く使わないのに、「もし、なんかあった時の為に・・」などと借りることがあり、さらに業者も利益の為にそのようにしてレンタルすることを勧めたりしていました。

 

また特殊寝台(電動ベッド)は、自宅で背上げして寝ながらテレビを見たいから、と言う理由で借りる人もたくさんいました。

特殊寝台はだいたい月1.500円程度(業者によって価格は異なります。)の自己負担額でレンタルできるので、そういった発想で借りようと思う方も当然出てきますよね。

国としては介護保険の理念から外れた方向で制度が利用されることが多いため、法改正で規制を掛けた結果、現在のように介護度によってレンタルできないものが出てきました。

つまり、要介護1以下(要支援1.2、要介護1)の方は、⑤車椅子、⑨床ずれ防止用具、⑩体位変換器、⑪認知症老人徘徊感知器、⑫移動用リフトを国の税金を使って基本的に借りる必要性はない、と厚生労働省は判断したわけです。

 

もちろん、介護保険の理念から外れないちゃんとした自立支援のための理由があれば、その旨を医師に意見書を書いてもらう、もしくは、サービス担当者会議で必要性が検討され、関係者の合意が得られた時にケアマネージャーを通じて市町村に申請をすれば認められます。

詳細は、公益財団法人テクノエイド協会のホームぺージを見ると、様々な福祉用具についての情報を得ることができます。

 

また、福祉用具をレンタルすることに対して、不潔なイメージを持たれる患者さんも多いです。

「前の人が使ってたんやろ?レンタルするんだったら買うわ」と言われる方も多いですが、絶対レンタルの方が良いです。後ほどその理由を詳しく説明します。

Q:シャワーチェア・ポータブルトイレ欲しいんだけど・・(特定福祉用具の種類)

肌に直接触るものは衛生的・心理的な問題により、保険給付により原則1割負担(2015年8月より2割負担の方もいます。)で購入することができます。

①腰掛け便座

➁特殊尿器(自動排泄)

③入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴用介助ベルトなど)

④簡易浴槽

⑤移動用リフトのつり具部分

①はいわゆるポータブルトイレです。

詳しく聞かれることが多い(需要が多い)のは、

①ポータブルトイレ、③シャワーチェアです。

種類が色々あるのでカタログを見ておくと良いのではないでしょうか。

Q:玄関に手すり付けたいんだけど・・(住宅改修について)

住宅改修は以下の項目が対象となります。

要介護度に関係なく原則1割負担(所得によっては2割負担)で、上限20万円まで保険給付を受けることができます。

最大の自己負担額は2万円ということですね。

①手すりの取り付け

➁段差・傾斜の解消

③滑りにくい床材・移動しやすい床材への変更

④扉の取り替え、撤去

⑤和式から洋式便座への取り替え

⑥そのほかの付随する工事

住宅改修にはビス止めが必要です。

福祉用具貸与でも、手すり、スロープはレンタルすることができます。

では、住宅改修の手すりとスロープとどう違うのか?いまいちパッとこない方もいらっしゃると思います。

 

介護保険の住宅改修で重要な点は、ビス止めすることが介護保険に適用されるための要件に入っていることです。

例えば、狭い玄関で、上がり框に踏み台を設置する場合、家族が通る時に邪魔になるため踏み台を退けるからビス止めしないで置いておくだけ、という場合、住宅改修として認められず自費になってしまいます。

スロープも置くだけはダメで、ビス止めする必要があります。

限度額の考え方(リセットされる場合、要介護認定を受けている夫婦二人で同一世帯の場合の限度額)

限度額の20万円は分割して使うこともできます。つまり、1回目の工事で10万円、2回目の工事で10万円、合計で20万円、という使い方もできます。

さらに、限度額がリセットされる場合が特例で認められています。

①引っ越しした場合

➁要介護度が一度に3段階上がった場合

です。

 

同一世帯に夫婦二人で要介護認定を受けている場合は、20x2=40万円までの限度額となります。

住宅改修の申請方法

住宅改修の申請には、施工前の写真とケアマネージャーの理由書、工事の申請書が必要で、それらを役所に業者が持っていきます。そのあと、市町村の審査会で審査が降りると工事の許可がおります。

施工後も写真を撮り、市役所に申請することで、給付がおります。(各自治体によって若干違う可能性もあります。)

要するにダブルチェック=2回の申請が必要な仕組みになっており、 施工後の写真にビス止めしていることが確認できないと給付はおりなくなってしまいます。

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手すりの取り付けは、場所によっては困難な場合もある。

ユニットバス

手すりの取り付けに関しても、ユニットバスの壁には取り付けないという業者も多いです。

なぜかというと、ユニットバスは壁の裏が空洞のため、手すりを強く引っ張ると取れてしまう可能性があるからです。

もし、それで患者さんが転んで怪我をしたら、指定業者取り消し、最悪会社が潰れてしまいます。

業者によっては取り付けの際に壁の裏に補強をしたり、”アンカー”と言って壁に埋め込む受け手を入れたりして対応してくれるので、聞いて見て下さい。

患者さんにとって福祉用具をレンタルすることのメリット

療法士としては福祉用具を購入するよりも、貸与(レンタル)することをお勧めしましょう。

なぜなら確実に患者さんにメリットがあるからです。

①費用が安い。

車いすだったら購入したら安くても10万円前後します。機能・品質も価格相応ですが、レンタルであれば高級で機能性の高いものが月500~1000円程度のレンタル料で借りれます。(業者によって価格に差があります。)

➁実はかなりキレイ。

消毒・清掃は国指定の機関で行っているため、当然ですが、感染症対策としても、ちゃんと掃除・消毒していないものは業者は貸出しできません。

よって、汚いとかありません。もし、汚い商品が届いたら、綺麗なものに変えてもらいましょう。

③要らなくなった時にすぐに回収して貰える。

業者によりますが、不要の旨を電話で連絡すると、だいたい1週間以内には取りに来てくれます。

自分で買った場合、多くの人が車椅子など捨て方が分からないか、面倒だからと軒先に放置されているのを良く見かけます。

要らなくなった時のことも考えて福祉用具は用意しましょう。

④購入商品は修理が大変!

私が経験した例で言えば、歩行器で押し車をレンタルしている場合、毎日買い物に使う方で、ブレーキを頻繁に掛けながら使っている人がいました。その人の歩行器のタイヤは1年でデコボコに変形していました・・・。

恐らくブローキを掛けながら、地面にタイヤを擦るようにして使っていたのだと思います。

そういった場合、レンタル商品であれば、故意にしたのでない限りは無料で交換してもらえることも多いです。

購入した商品の場合、商品を郵送して、修理してもらって・・という手順で時間もお金もかかります。さらに、修理してもらっている間は買い物に行けなくなります。しかし、レンタルなら代替え器を貸してくれたりします。

 

もちろん業者さんによるし、一概には言えませんが、購入した場合よりも確実に融通が利きます。

まとめ

療法士の仕事は介護と医療の間を行ったり来たりする面があります。

介護保険制度は、自宅で過ごす患者さんにとってなくてはならないものです。

特に環境調整という面において、福祉用具・住宅改修の知識は療法士としては必須の知識です。

ぜひ参考にしてみて下さい。

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