
仕事をしていると、楽しそうに仕事に取り組む、いわゆる「できる人」と遭遇することがあります。
自分の仕事に楽しんで取り組めている人は世の中にどれほどいるでしょうか?
あるいは、これから社会に出ていく前に、働くことが喜びに溢れていることとして捉えている人がどれほどいるでしょうか?
生きていくうえで働くことをどう捉えるかで人生は大きく変わります。それほど重要なことなのに、働き方についてはあまり言われることが少ない気がします。楽しく働くために、どう働いていけばよいのでしょうか?
働け!と言う人たちはたくさんいますが、こう働くべきだ!と言う人たちはまだまだ少ないと思います。
働け!と言う人に限って、働くことが大きな喜びを持つことだとは思っておらず、世の中の慣習や自分が若い時に言われたことを繰り返しているだけということが少なからずあるように思います。
仕事は義務や苦役であり、単に金銭を貰うための手段としか捉えていない。
朝の通勤ラッシュの電車に乗ればすぐに実感できると思いますが、暗く、どんよりとした空気、それが世の中での仕事に対するイメージと思ってほとんど間違いないでしょう。
本当はみんな完全燃焼したい
新人の頃は自分の実力を社会で試したいとか、仕事に対する意欲に燃えていることも多いと思います。
しかし、年数を重ね、現実を知り、自分の実力を知り、上には上がいるという現実を突きつけられると、だんだんその意欲は無くなっていきます。
やがて仕事にも慣れ、全力で取り組まずともある程度の結果、つまり新人の頃の成果くらいは出せるようになってきます。
多くの人はここで、自分は成長した!と実感し、余った時間・労力を有効に活用しようとはしなくなり、徐々に楽をすることを覚えることになります。
仕事を楽にこなしてしまうことは、エネルギーの残りカスを自分の中に留めておくことを意味します。
これは最も仕事の楽しさから離れた状態です。
仕事の本当の爽快感は、楽にこなしてしまうと決して得られないものなのです。
スポーツをされる方なら体感として理解して頂けるでしょうが、スポーツって全力でやらないと気持ち悪いですよね?余計疲れませんか? 仕事も同じです。
実は、エネルギー出し惜しみすることは人間にとって、人生にとって有効ではない場合がよくあります。
不完全燃焼でエネルギーをヨドませるな
無機物は使えば使うほど、エネルギーを消費すればするほど、消耗し、使い物にならなくなっていきます。
しかし、人間のような有機物は、使えば使うほど、エネルギーを消費すればするほど、より使いやすく、より強力な力を発揮する様になります。筋肉しかり、脳しかり。
仕事を効率よくこなせるようになり、成長した!と思ってしまうのは実は勘違いです。
知らずに手を抜いて、エネルギーを抑制することで、澱み(ヨドミ)が自分の中に貯まっていきます。
そのヨドミは、自分の中に留めておくことは決してできず、仕事への不満や上司への悪口などになって発散されることになります。
本当の自由は一生懸命働くことの先にある
仕事をしないことで自由を得られると思っている方も多いでしょう。私の友達でも、社会の歯車になりたくない、と就職活動をしないでフリーターになった人がいます。
しかし、その友人は全く幸せそうでもなく、自由とは程遠い生活を送っていました。
自分の人生をデザインするのはその人自身だと思うので、他人の私が口出しすることではありませんが、自由を得るために正社員で働かない、と言う手段はあまり良い手段ではないような気がします。
社会の中で本当に自由を得たいなら、他者に働きかける術を一つでも二つでも多く持っていることこそが自由だと思います。
スーパーで食材を買う、それだけで人は社会と関わりを持っていることになります。社会で生きている以上、社会と接点が薄い存在でいることは恐ろしく不自由なことだと思います。
どうすればエネルギーを完全燃焼できるか?
皆疲れています。忙しい現代では、少しでも早く、多くと仕事を要求されます。
「癒し」ばかりが注目されますが、実はエネルギーの発散がうまくできていないことが本当の問題だと思います。
ヨドミがたまり、自分を湿らせて、それを疲れと認識してしまう。
そこで必要になるのは、自分を完全燃焼させる方法を知ることだと思います。
自分の外側にある、強力なエネルギーに満ちたものを見つけ、起爆剤にすることができる人が、仕事にやる気を持ち続け、やる気の歯車を回し続けることが出るようになります。
画家のピカソは、自分のことを雄牛の怪物ミノタウロスとしてイメージしていた、というエピソードがあります。

雄牛の怪物として自分をイメージしている者と、疲れたサラリーマンのイメージしか自分に持っていない者が対峙した時に、どちらがエネルギーがあるか、どちらが自分を完全燃焼させられるかは言うまでもないでしょう。
ピカソは最も多くの作品を残した作家としてギネスブックに載っています。一日中絵を描き続けていたため、ピカソの腕は炭鉱労働者の様に太かったと言われています。
自分を牛の怪物だと思いこんでいるからこそ、このようにエネルギー溢れる創作活動が行えたのかもしれません。
つまり、ピカソにとっての起爆剤は怪物ミノタウロスと自分のイメージを重ねることでした。
何てことはない、ただの思い込みですが、こういう何でもないことを起爆剤にできる人はめちゃくちゃ強いです。
日常生活において、仕事においても、最もあなたのエネルギーをヨドませるものは、「消耗」です。
何気ないことが延々と続く、それが日常です。いわば「消耗」との戦いです。
何もない中で、どうやって自分を爆発させるか、その手段と方法を心得ている者だけが、突き抜けたエネルギーを発揮することができます。
何でも食い物にするモンスターを自分の中に飼う、まずなにか起爆剤となるものを見つけ、自分にとって嫌なことでも、楽しいことでもなんでも徹底的に自分を爆発させる素材として食い尽くすというイメージが必要です。
一つの成功体験があれば、「自分は天才だ、自分はできる!」と思いこみ、一つの失敗がれば「次こそはやってやる!」と起爆させる材料にするくらいの思い込みが必要です。
できる人は皆思い込み上手です。
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仕事を好循環にもっていくための秘訣
できる人は、人との関係性を構築するのが上手です。仕事は必ず人との関係性の上に成り立つからです。
他者がより良く動いてくれると、それは自分の仕事の成功を意味します。
他者との信頼が増幅し、連鎖していく関係こそが仕事の好循環に持っていく秘訣です。
つまり、仕事を好循環に持っていくためには、「みんなのため」と思えるかどうかが重要です。
走れメロスは、「私は信頼されている。信頼されている。」と繰り返しながら友を助けるために命を懸けて走り抜けました。
人間は実は、自分で自分をやる気にさせるよりも、誰かが信頼してくれている、期待されていると思うことで巨大な力を出すことができます。
仕事は自分の生活のためとか、お金の為に頑張るという人も多いですが、それではやはり限界があると思います。頑張れてもたかが知れているのではないでしょうか。
そう思っている時点で働く動機づけとして弱いと思います。
自分の将来のためとかキャリアの為とかいう人もいますが、それでもいつか燃え尽きてしまうのではないでしょうか。
自分の為に働く時代は終わりました。
これからは世のため、人のためと思って働く人が日々の生活から消耗を免れ、いつまでも爆発し続けることができます。
何のために仕事をしているのか聞かれた時に、「みんなのため」とクリアに即答できる人が一番強い時代になっていきます。
仕事を100倍楽しむ具体的な方法3つ
仕事ができる人になるために、仕事が嫌になったら以下の3つのことを意識して下さい。
仕事を楽しめることが、できる人になるためのコツです。
1.仕事をミッションにしてしまう
ミッションとは、一般的に指令をこなすことと解釈されますが、ここでいうミッションとは、現在取り組んでいる仕事を「自分の人生の使命だ」と思って考えることです。
できそうにない仕事の量が来ても、ミッションと思えば頑張ることができます。
ミッション感覚があれば、電車の中刷りや何気ない会話の中でもうまく仕事に役立つヒントを見つけることができるようになります。
いつでも燃え立つ、仕事に対する高い志があれば、仕事は桁違いに楽しくなります。
エネルギーを不完全に燃焼させるから疲れるし、嫌になります。
仕事で爽快な完全燃焼を得たい、仕事を自分を成長させる機会にしたいなら、このミッション感覚はなくてはならないものです。
2.パッションを持つ
仕事をしているとネガティブなことは山のようにあります。不快なことやストレスもたくさんあるでしょう。どんなに屈強な精神の持ち主で、できる人でも自尊心が傷つけられて自己否定の渦に囚われることがあります。
この不愉快なネガティブな体験をエネルギーの起爆剤に変えてしまうことこそがパッションです。
実は、人はポジティブなものだけで火が付くとも限りません。ネガティブなもので火が付くことも実に多いのです。
夏目漱石の逸話で、ロンドンに留学した時に、西洋の文化にすっかり萎縮してしまい、引きこもりになってしまった、とあります。後に、漱石にとって、このネガティブな体験は大きな財産となります。
今までは自分は何なのか探すために様々なことをしていました。しかし、このロンドン留学で行き詰り、探すことそのものが間違いだったと気付くのです。
周りに自分の求めるものがあるのではないかと探すのではなく、「自分本位」という事を発見します。これは今でいう自己中とは少し意味合いが違い、「自分で決める、源泉は自分だ」と悟ることです。
「この時より私は、文学とはどんなもであるか、その概念を自分で作り上げていくよりほかにないのだ、それ以外に私を救う道はないのだ。」
と思い知ることになります。
哲学者フランクリンもユダヤの強制収容所で同じように「自分本位」を悟っています。
その経験以降、二人とも、後世に名を残す道を猛然と進み始めます。
人はどこまでも自分に甘く、緩い環境で生きていると、燃えたぎるような情熱を燃やすことは難しいようです。ネガティブな経験こそが爆発するきっかけとなります。
追い詰められた時こそがチャンスです。自分のミッションをパッションに混ぜ合わせ、爆発的に加速することができます。
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3.ハイテンポでこなす
私は高校時代に、ゆっくり話す先生の授業が退屈で堪りませんでした。
人に物を教えるときでもテンポはすごく大切だと思います。少し分かりにくくても、テンポよく話してくれる先生の授業は良く聞いていた記憶があります。
仕事ができる人は仕事が早いと言われます。私が思うにはこれはテンポが速い、つまりハイテンションで仕事をしているという事だと思います。
ハイテンポはハイテンションを生み、それが判断の速さ、仕事を処理する速さに繋がっていると思います。
私は仕事柄、経営者の方ともお話をさせて頂いたこともありますが、成功する仕事とは何か聞いて見たことがあります。
みなさん、「勢い」とか「時代」が一番大切だとおっしゃっていました。
いくら良いものでも、勢いがないものは時代の波に乗れないという事です。
この勢いはいわばハイテンポのことです。
ポンポンポンとリズム良くこなす、この感覚が仕事を楽しくこなすコツです。
私には子供がいますが、子供達はとにかくこのハイテンポの達人です。
遊びに夢中になっている時、子供達は、体からもっとやりたい!、面白い!という熱気がムンムンと発揮しているのを感じます。
ハイテンポを習得し、子どものように仕事に取り組めれば、間違いなく仕事は楽しく、もっとやりたいものに変わると思います。
また、私は仕事は単純に量に比例して質が上がっていくものだと思います。いわば、仕事は経験値がすべてと言ってもいい。
経験値を多く積むにはできるだけ早く、できるだけ多くの仕事をこなすことが必要です。そこでもこのハイテンポは非常に有効です。
これにはちゃんと理由があり、卓越した職人はその作業をしているときに無意識でこなしている範囲が未熟な職人と比べて多いと脳科学の観点からも言われています。
才能があると言うよりは、自動化している部分が増えて、より他の色々な部分に力を注ぐことができる容量が増えた、という解釈が正しいようです。
これが狭い範囲、小さい容量で起きているのが、日常生活で「慣れ」といわれているものの正体です。
ミッションを定めるところからスタートし、逆境であろうが、良いことであろうが、それを糧にパッションを燃やし、ハイテンポで仕事を進めていく、これが仕事を楽しむためのコツです。
まとめ
時代が自由を求めるようになり、仕事を選べる範囲は拡大してきていますが、まだまだ自分のやりたいことをさせてくれる企業や組織がそうそうあるわけではありません。
仕事を選ぶという観点は大切ですが、実際のところ選べない現実もあるし、選んで就職しても自分のやりたいことをやらせてもらえないことも多いです。
自分がやりたいことでないから仕事を変える、転職するというのではなく、今やっていることを自分のやりたいことにどう寄せていくか、が大切だと思います。できる人はこの工夫が上手です。
人に頼まれたり、期待されてどのように答えるか、それを考え抜くことで本当に自分にとって価値のある仕事見つける近道になることがあります。
やりたいか、やりたくないかは置いておき、頼まれたらやってみる。その姿勢が実は自分のキャリアを構築するスタートになるのです。
一番まずいのは頭の中で自分の本当にしたいことはなんだろうか、と考えて行動しないことです。
自分の中に答えがあるならすぐに出ているはずです。
人の為に何かをしよう、その純粋な気持ちを持ち続けることのできる人だけが、ご褒美として爽快な仕事の楽しい感覚を味わい尽くすことができるのではないでしょうか。