”リハビリテーションのカタチ”をアップデートする『リハビリテーション2.0』プロジェクト

リハビリ2.0


私の運営しているコミュニティ「The Arth」でリハビリそのものを新しくアップデートする企画が挙がっています。今回はその企画、「リハビリテーション2.0」のお話です。




この前、アクティブ・ブレイン講習を受講した際に、TheArthコミュニティに参加して頂いているナカヤマさん(会社経営をされています。ナカヤマさんのブログ「リハビリ2.0. UXリハデザイン」)と直接お会いし、『リハビリ2.0構想』がスタートしました。

打ち合わせも何もしていないのに、「こんなことが世の中にあるのか!!」レベルで同じことを考えていてびっくりしました笑。

以下にその概要をお伝えします。

リハビリの臨床で感じる違和感とは?

まずは、現存のリハビリの臨床で感じる違和感について。

私は理学療法士なので、臨床では患者さんの身体を主に診させて頂きます。しかし、身体がある程度良くなっても、その方の生活や人生を変える難しさを強く実感します。

そもそも、初めから終わりまで「セラピストと患者」というスタンスで介入しているので、リハビリ内容がどうという以前に、その関係性を構築した時点で依存関係になってしまっている気がしてなりません。

私たちは、リハビリの内容に対する答え(治療主義や各種介入方法など)を探しがちですが、そもそも、リハビリテーションの根底的な概念自体のアップデートが必要ではないか?という視点に立ってみると、臨床のリハビリで感じる漠然とした違和感が解消されます。

何ごとも自分でやらなければ改善しない

昨今ではイノベーションだ何だと目まぐるしく世の中が変わりますが、それゆえに、既存の社会によって生み出された「型」が、すぐに肌感レベルの実情に合わなくなって来ているように感じています。

20年前とガラッと世の中が変わるご時世に、50年も前のやり方が通用しなくなっても何らおかしくありません。

 

実際、在宅分野でのリハビリは、地域包括ケアシステムが謳われるようになってから注目され始め、どんどん裾野を広げています。

実際に在宅分野(訪問リハビリ)で働いていると、「身体は多少良くなっても、心や生活は思ったほど良くならない」ということを実感します。急性期や回復期が主なリハビリのフィールドだった過去から、そのフィールドを在宅や地域に広げて行くにあたり、そもそもの「治療者と患者」という古い医療の根本的な構造が適していない気がしています。

 

在宅では基本的に週1回や2回しか介入できないことが多いため、私たちの介入を得て最適化された”その人自身の普段の頑張り”が非常に重要になります。だから、熱心に自主トレーニングをお勧めしたりしますが、ほとんどの方がそれを自主的に継続して行うことができません。

これは私の伝え方が悪い、能力がない、と言われればそれまでですが、私だけなく、他のセラピストからも良く聞く話です。

 

原因を考えると、「患者が悪い、いやセラピストが悪い」とかいう二元論的な話ではなく(そういった話はもうされ尽くしているので、今更議論する意味はあまりないと思っています)、自身の胸に手を当てて深く感じてみれば、何ら不思議ではなく「当然のこと」だと思うのです。

自分(私たち)だって、ダイエットのための運動も継続できないし、ブログだって、良好な人間関係ですら、継続することは本当に難しいですよね。

誰かに言われてやるものでもないし、努力を継続できるものでもない。結局は自分自身でやらなければならないのです。リハビリに限らず、何事もそうです。

多様な価値観を認める社会とは何か?

病院で一生懸命セラピストの指示に従いリハビリをしても、家に帰ってからずっと寝てテレビを見ていれば、また身体能力が低下して当然。

だから、「何か目標を持って社会活動に参加しましょう!」と高齢者に言ったところで、じゃそういうあなた(セラピスト)は、

  • 「何か明確な目標を持って生きているの?」
  • 「仕事以外に積極的に社会活動を行なっているの?」

と思われているかもしれません。

どうでしょうか?

あなたの周りを見渡して、はっきりとした明確な人生の目標を持ち、夢や希望に溢れ、毎日を活発に生活している人がどれほどいるでしょう?

 

結局、すべての年代の人間が積極的に前向きに、活発に毎日を謳歌して生きるなんて土台無理なことです。

まず、それを認めなければ、この先前に進めない気がしています。

もし、誰もがそういう風に生きることを強制されるなら、それは逆にすごく窮屈で生きにくい社会になると私は思うのです。

 

人間の多様性や個別性を受け入れることがリハビリ職として最低限の資質だとしたら、「しんどいから自主トレをしない」という決定も間違いなく尊い本人の意思であり、それはその人にとって「より良く生きるための選択」であるかも知れないのです。

なぜなら、「より良く生きる」の言葉の意味が人によって、立場によって違って当然だからです。

時代の変遷と価値観の変化「長生きへの渇望がオワコン化」

1945年頃には50歳前後だった平均寿命が、2016年には男女ともに80歳を超えています。平成生まれ世代は50%以上の人が100歳以上まで生きるとか。

また、地域・社会全体の保険・生活水準を指し示す指標の一つであるといわれる、乳幼児死亡率を見てみると、1955年には39.8%だったのが、2016年には2.0%と激減しています。

私たちが地域で訪問リハビリをしている実感としても、「これ以上長生きしたくない」と話す高齢者がどれだけいることか。

古代、人類は不老長寿に憧れていましたが、それも、平均寿命が短く、乳幼児死亡率が高い時代だったから、かも知れません。今の世の中、「長生きをしたい!」という欲望ですら「オワコン」なのです。

 

実際、私は、自分の将来を考える時、自分が「100歳まで生きたらどうしよう…」と思ってしまいます。

生物は皆本能的に長生きしたいと願うでしょう。しかし、人間は考える生物であり、社会的なことも無意識に思慮しながら自身の行動や意思を決定しています。

私も、皆が言うように、「年を重ねても体が元気だったらなんとかなる!」とは思うものの、やはりたとえ体が元気でも働き先がなくてお金の心配が絶えないかも知れないし、子供に迷惑を掛けるかも知れない…と不安になります。

また、実際にそれらの問題で苦しんでいる高齢者の方々を地域で実際にたくさん見ていると、「寿命はそこそこで良いのではないか」と思ってしまいます。

あなたはいかがですか?

「長生き」は、皆が渇望する人類の永遠のテーマであり続けるのでしょうか?

 

私たちはリハビリ職として、身体や心のことには留意し、ひいては患者の生涯にも範囲を広げて熱心に考えますが、それとセットで必要なはずである、お金のことは全く考慮していません。お金を自分で稼ぐ方法も知らないし、考えたこともない。お金が何なのかも分からない。

どんな形にしろ、より良く社会生活を送るために経済的な問題は必ず付いてまわります。

それを一切考慮せずに、

  • 「社会参加しましょう!」
  • 「活動しましょう!」

というのは、あまりにも建て前の押し付けのように感じてしまいます。

 

これだけSNSやネットで生の声が聞けるようになってくると、建て前と本音の乖離が著しくなってきているように感じます。

自分の本音が一体何か、自分でも分からない人が、周りが言っているから、偉い人が言っている、職業倫理としてそうすべきだからという理由で社会参加や活動を促しても、果たして相手の心に響くものでしょうか?

私はかなり疑問に思います。

人は基本的に合理的に動くものではないという事実

体が健康になるからこれをしなさいといっても、人はそもそも頭で考えて動くものではなく、感じてから動き、それから理屈を作ります。自身の行動を振り返ってみても理由や理屈は後付けの場合が多いはずです。

理屈で説得しても、その場では相手の望むように動いてるように見せているだけで、説得している人がいなくなったら継続できないのが普通でしょう。「しているADLとできるADL」という言葉があること自体がそれを表しています。

 

ではどうすれば良いのか?

医療やリハビリの根本的なベースとなる思想、哲学から変えないといけないと思うのです。患者対治療者(医療従事者)という根本的な構造自体から見直し、現代の肌感に合ったリハビリテーションにバーションアップする必要があります。

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新しいリハビリの形『リハビリテーション2.0』

リハビリテーション2.0ではリハビリテーションの方法論や概念そのものをアップデートして、感覚先行型のリハビリを行います。

セラピストを「リハビリ空間クリエイター」と再定義し、プロジェクションマッピングや実物のオブジェなどを使って、「計算された、体を動かしたくなる空間」を作ります。アフォーダンス(環境が人に意味を与える)の概念をフル活用します。

「リハビリテーション哲学」を大切にし、生産段階から常にリハビリテーションを意識して作品を作ります。例としては、データの作成が複雑な場合は、障害のあるプログラマーなどにお仕事を依頼します。

厳密には「リハビリテーション哲学」なる学問は現存しませんが、リハ2.0では私たちが生の臨床で得ている感覚を重視、本物の臨床家が患者に接する時に常に持つ、基本的かつ真摯な気持ちや態度を「リハビリ哲学」と定義します。これを1.0(旧来のリハ)より受け継ぎ、大切に守ります。

リハビリテーションには、旧来より「サイエンスとアート的側面」があるとされていますが、近年サイエンス寄りだったリハにアートの要素の比重を高めてアップデートする新しい試みです。

また、その名を「2.0」としているところもアップデートを意識し、表面の形にはこだわらず、常に改革、変化して行くことを前提としています。

キーワードは、
  • 「動作・運動」
  • 「空間」
  • 「心地よい感覚」
  • 「リハビリテーション哲学」
  • 「個別性」
  • 「一体感・自己効力感」
  • 「感動体験」

 

例えば、子供が遊ぶ遊戯や玩具はヒントの宝庫です。

子供は頭で考えて論理的におもちゃを選んでいるわけではありません。「感覚的に楽しそう」だからそのおもちゃを手に取り、「身体を使い」遊んでいます。そして、それ自体が「活動」になっています。

誰からも強制されずに、主体的に、楽しむこと=生きることになっています。

リハビリ2.0「クローズ」

 

これは自宅で寝かし付けの際にホームシアターで絵本の読み聞かせが出来る子供向けの商品です。

いわば、自動読み聞かせ装置。

うちにもあるのですが、これを買ってから、普段は「まだ遊びたいから」と寝るのを嫌がる子供が、自主的に布団に入るようになりました。

「パパ、早く寝よー!」と毎日言う始末です。

それまでは「もう9時だから寝なさい!」と無理やり布団に寝かせていたのに、です。

これをヒントにすれば、高齢者向けのホームシアターを作り、天井に投影させると、認知症で夜中に徘徊する高齢者を強制的に寝かせるのではなく、能動的に、楽しく、生活リズムを整えることが出来るかもしれません。

 

クローズではリハビリでの最重要要素である、”個別性”を最大限考慮してプロジェクトを企画します。例として、患者さんの昔の家族の写真をお借りして、それをプロジェクションマッピングで部屋に投影する、という案も出ています。

リハビリ2.0「オープン」

イベント会場などの敷地を借りて、オブジェクトなどを設置し、高齢者のテーマパークのような空間を作ります。
 
遊んでいるだけで気持ちよく、リハビリ(運動)ができる空間を提供します。
 
InstagramなどのSNSで画像・写真を中心に「楽しく美しいリハビリ」として宣伝します。もちろん、予防的観点から中高年層にもアピールもできます。あえて地方の土地でイベントを開催し、地方創生と絡める案があります。
 
チームラボのこのようなイベントがイメージに近いです。(※チームラボのアートは、アートと人を切り離すのではなく、人が関わり、アートに干渉することで全体の一部となる。個=全体という統一感を大切にしたアートです。)
 
リハビリ2.0
画像引用)https://www.team-lab.com/news/iwate-kenmin-kaikan2016 人がボールを叩くことで色が変わり、アートが完成する。

一緒に「リハ2.0」を形にしていきませんか?

現在、私が運営するコミュニティ「The Arth」には、

  • 訪問リハビリのスペシャリスト
  • 社長
  • 学会発表やセミナー経験が豊富な療法士
  • 最高月10万PV以上のブログを個人で運営している療法士
  • イラストレーター
  • 不動産など異なる業界に転職した経験を持つ療法士

などの方々が参加して下さっています。

加えて、

  • 研究分野に長けたセラピスト
  • ITやデザイン関係に詳しい方

などなど、リハビリ分野だけでなく、特に異分野の技術や知識をお持ちの方を募集してます。

 

ちなみに、今月までコミュニティへの参加は月額課金制(荒らしやモラルハザードを防ぐため)にしていましたが、現在は特別に無料にしています。

なぜなら、今はコミュニティを拡大して、リハビリ2.0を形にしていく(もちろんアースの第一の軸である”情報発信”も行いながら)必要があり、そのためには、もっと沢山の方々の力が必要だからです。

 

現在の進捗状況としては、ナカヤマさんが商標申請を行ってくださり、地方創生会議に出席、リハ2.0の案を発表することが決まったところです。

 

アースでは、社長も学生も職業も、何も関係ありません。みんな肩書きや資格なんて1mmも気にしません。はっきり言って表の形なんてどうでも良いです。

過去に興味はありませんし、それは重要ではありません。

「あなたはこれから何がしたいのか?」それだけが重要です。

 

確実に言えるのは、これからは、こういったゆる〜い関係の横で繋がったチーム単位のプロジェクトが世の中を変えるきっかけを作っていくだろう、ということです。

今のうちからそれを経験しておくことはすごく貴重な経験になることはだけは間違いありません。

一緒に「リハ2.0」を形にしていきましょう!

「The Arth」は「Fever」にエントリーしています。

リハビリ2.0活動を行うにあたって、資金が必要です。「The Arth」はコミュニティの価値を売買できる「Fever」にエントリーしています。事前投票で500票近くを集め、全国約100組の中で15位にランクインしました。

 

 

参加者募集!

■リハビリ2.0及びコミュニテイ「アース」にご興味がある方は、こちらから友達登録して頂き、個別に私までメッセージをお送り下さい。

 

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