
私は理学療法士になって臨床に出始めてから6年が経過します。
今後セラピストの働き方は確実に変わっていく。理学療法士の動作分析なんてすごくネットと相性が良い。需要もあるし、バリバリの専門分野。ハンズオフの自立支援もできる。旧来の専門知識を縦に積み重ねるよりも、今までの知識を横に広げる方が早い。
— 未来のPT (@PT50139040) April 27, 2017
初めの頃は右も左も分からないで、がむしゃらに周りの人が良いという手技やなんやらを勉強したりしていましたが、今は自分が良いと思うものしか勉強しなくなりました。良いのか悪いのかわかりませんが(;^_^A
さて、リハビテーションって非常に奥が広く、完全に理解するのは簡単ではないなぁと皆さんも思っておられると思います。
教科書的な定義などは頭で理解していても、実際にじゃあどうなの?と言われると、きちんと説明できません。
国家資格を取得し、リハビリの仕事に就いて、「この道を極めるんだ!」と突き進もうとする人は多いですが、実はストイックになればなるほど視野狭窄に陥っていく気がしています。
もちろん全てがそうではありませんが、特に専門外の世界を知らない人はほとんどと言っても良いくらい視野が狭い気がします。
成長とは”変化する”こと
私は、成長することは変化することだと思います。
変化するためには、何が必要でしょうか。
ストイックにひたすら勉強を続けることでしょうか。実はそうでもない気がします。
もちろん、それも大切ですが、強烈に成長する決め手にはならないように思います。
時代の変化が速くなっている昨今の世の中では、急激に成長していく必要があります。
個人が変化するために重要なことは、
- 多くの人との出会い
- 厳しい境遇に立つこと、そしてそれを何とかしてやろうと一生懸命試行錯誤すること
などがあると思います。
しかし、一番大きく成長するための要素となるのは、「過去の自分の価値観を一度壊すこと」だと私は思います。
何かを捨てなければ何かを得られない
人の身体は知れば知るほど神秘に包まれています。
どこまでも合理的で、身体のことを勉強すればするほど驚愕するものですよね。
無駄なものが一切ない、究極にデザインされ、完成した存在が人の身体だと思います。
あたなたが、人生で何かをその手に掴みたい、何かを得たいと思っているとします。
この時はあなたは成長したい、変化したいと思っています。
その時に、あなたの両手には今までの人生で得てきたものがしっかりと握りしめられています。言ってみれば、手をグーにして離すまい、としている状態です。
でも、新しいものを得るには、両手を一度パーに開いて、今まで持っていたものを一度捨てなければなりません。
新しいものを得るためには、古いものを捨てなければならない身体の仕組みになっているのです。これは何か真理の一つのように思うのは私だけでしょうか。
人は多くのものは持てないんですね。
大きく成長するためには”捨てる”こと
旧来の価値観を一度壊さないと新しい発想は出てこない。
— 未来のPT (@PT50139040) April 27, 2017
カッコつけた言い方をすれば、創造の前の破壊ということになるでしょうか。今まで信じてきたものを捨てる、それこそが大きく個人が変化し、成長するために必要なことだと私は思うのです。
特に、捨てるものが今まであなたが特別にこだわって、大事にしていたものであればあるほど、人はより大きく成長します。
参考)私が成長するために捨てたもの職場でいじめられていた理学療法士が上司と先輩に復讐した話
リハビリテーションの教科書的な定義は曖昧なところがあります。この本意はきっと、「相手に合わせてその定義を考え、変えていくべきものだ」ということだと私は思っています。
カッチリ定型に決まっていない方が伸びしろがあるのです。
伸びしろがあるということは、変化する余裕があり、相手や時代に合わせて成長できるということです。
プラットホームやベッドの上だけでなく、実はリハビリはどこでも、誰にでもできることです。私たち専門職にしかできないことではありません。
実際にソーシャルビジネスを展開しているNPO法人なんて、専門家である私たちよりも効果的にクライアントの自立支援を促していると私は思っています。
参考)地域高齢者の深刻な”生きがい喪失”問題・・社会問題解決に挑む「ソーシャルビジネス」とは?
旧来の治療者対患者の関係性のままでは、いつまで経っても自立を促すことは難しいかもしれません。治療者=与える者と患者=対価を支払い、サービスを享受する者、という構図を一度取っ払わないと、効果的な自立支援は行えないのではないでしょうか。
ハンズオフのリハビリが自立支援にとって非常に有効なキーになることはみなさんも気付いておられることだと思います。
ちょっとしたことで自分の身体の変化を知ってもらうこと、できる、という経験をしてもらうこと、それが自立支援につながります。
身体が思うように動いた!という経験。これを継続的に経験させられれば、自立を促すことも難しくない。
— 未来のPT (@PT50139040) April 28, 2017
今後、国も今までのように財源が確保できない中で、リハビリを継続させるには、今までのやり方を脱していかなければなりません。もっと多様化した方法を取らないと、とても従来のままでは継続していくことはできないでしょう。
古い価値観を一度手放して、新しいリハビリテーションをもう一度見直す時期に来ていると思います。
今後のリハビリの形を考える
ネット通販が社会の流通システムを大きく変えたように、テクノロジーの進化は人の生活を変えます。そして、今まさしく、世界の人々の働き方がネットにによって大きく変わろうとしています。
今後の自身の働き方を考える上で、戦略は非常に重要です。戦略の本質は、費用対効果を最大化することです。
人生で最も貴重な”時間”というリソースをできるだけ少なく使って、最大の効果を得る方法を考えることが戦略的に働くことだと思います。
世の中の仕事は大原則として、市場での需要と供給の関係性で成り立つので、自分の仕事の持ち味を需要のある方向に磨いていくことがキャリアデザインの本質、ということになります。
セラピストのキャリアデザインの方法論として、旧来からある、専門職の学会発表、論分などももちろん良いですが、これからの時代はネットで個人の1セラピストが瞬時に目立つことも不可能ではありません。
ネットを使えば、爆発的にレバレッジを利かせることができます。しかも、競争がほとんどありません。
少し前には考えも付かないし、できなかったことなので、旧世代のセラピストにはこのような発想は少ないように思います。みんなが考え付くようなことはすでに飽和しているので、その分野で目立とうと思うとかなり厳しい戦いになることは容易に想像できます。
競争が少ない分野を選び、そこで「私はこれは誰にも負けません!」というアピールができれば、かなり強力な訴求力になります。ちゃんと市場から求められものが何か知っている人で、それを効果的にアピールできれば、それは社会的にもすごく価値のあることです。
そのためには、常日頃から自分の武器をしっかりと磨いて、いつでも求めに応じて使えるように磨いておかなければなりません。
セラピストの働き方は確実に変わっていく
今後の働き方を考える上でマストとも言える書籍が「ワークシフト」です。既に読まれた方も多いと思います。読んでいない方はぜひ読んでください。読まずに自分の仕事に対する将来の不安を拭うことはできないと私は思います。
いつの時代も人類が生み出したテクノロジーがいつしか人類を教育し、人の生き方を大きく変えてきました。産業革命しかり、です。
ネットの普及、AI、ロボットの出現、価値観の多様化。
それに伴って人々の働き方がどう変わっていくのか、この書籍では詳しく語られています。
ここでも変化を繰り返して社会が成長してきたことが良く分かります。歴史は嘘を付きません。正確には過去の1つ1つの物事に嘘は含まれているかも知れませんが、一定のパターンを経て社会が進化していることに偽りはありません。
このワークシフトの中には、様々な未来の出来事に対する解決策が提示されています。
平均寿命が延び、年金制度の実質的な崩壊が目前に迫っている昨今、私たちはどうやって今後自身の老後を考えるべきでしょうか。
この書籍において、未来の働き方では、連続した専門性を取得し、生涯で2つ以上の職業人生を送ることを想定しておかなければならない、とされています。
また、幅広い知識を持つジェネラリストのライバルはウィキペデイアやスマホとなり、それよりも、専門分野に特化したスペシャリストを目指した方が良いと書かれています。
これを読んだとき、「よし、セラピストはスペシャリストで専門家集団だから安泰だ!」と私は思っていたのですが、よくよく考えるとそうでもなさそうです。
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視野狭窄になると時代に取り残される
もちろん、人生において「これをすれば安泰だ」なんてことは本来ありえないと思いますが、スペシャリストな専門家にもデメリットもあります。
冒頭に書いたように、視野狭窄に陥りやすいことです。
「あばたもえくぼ」という言葉がありますが、恋をすると人は盲目になります。これはみなさんもきっと実体験をお持ちだと思います。
専門職が自身の専門分野に恋をしているような状態だと、周りが見えなくなります。
私たちの業界で、リハビリに熱心でストイックな人ほどこの傾向は著明な気がします。熱中するとは、まさしく視野を狭め、一点集中することに他なりません。
仕事は需要と供給が一致してこそ世の中に存在します。しかし、視野狭窄している人は市場の需要を自分の都合の良いように歪めて解釈する傾向が強くなります。
いったい、リハビリは今後、どんな風に社会的に必要とされるのでしょうか?
求められないことは当然、必要とされません。供給過多となり、仕事として成り立たなくなるでしょう。
当たり前だが、先輩の言うことが絶対ではない
仕事熱心なのはもちろん本来は良いことです。
専門技能を高めようと努力することはもちろん必要なことで、熱中することは素晴らしいことです。
しかし、今後は、旧来の方法で連続的に一本の道を行くのでは、いつか行き詰ることがあると思います。なぜなら、今後はさらに昔の何倍ものスピードで社会が変わっていくからです。
ストイックの”方向性”を変えていかなければならないのです。
何度も言いますが、仕事の本質は需要と供給です。供給は私たちが提供するもの、需要は社会が求めること。進化が早い社会では、需要がどんどん変わっていきます。それも昔では考えられないスピードで。
未だに日本はアジア1の先進国だと思っている人も多いかもしれませんが、2012年に日本は中国に国内総生産(名目GDP)で追い抜かれています。

本来これは人口の差を考えると当然の事で、日本が勝っていた今までが異常ともいうべき事態ですが、知らなかった人もいるかもしれません。
うかうかしていると付いていけないくらい社会は劇的に変化しています。
5年前の常識はもはや常識では無い世の中になっているのです。
私は何でも先輩が偉いと思われている医療業界で、先輩の言うことを絶対に鵜呑みにしてはいけない、と思うことが、自身のキャリアデザインだと思います。なぜなら、5年も前の先輩のキャリアデザインはあなたには通用しないものだからです。
世の中が変わって、社会が求める需要も、それを満たす供給をするためのシステムもすっかり変わっているのですから。
日本の将来も安定はしていない未来、常識を保ち続けるのではなく、自身の中の常識を周りに合わせて常に変化させて行くことが今後さらに重要になってきます。
5年も前に言われていたことをするのでは、全く実情に合っていないということを肝に命じる必要があると思います。
ここらのことを意識していないと、旧来のやり方をひたすらストイックに続けるような”昔の美学”を推奨し続ける周りに合わせて、自分もそれを信じ込んでしまうかもしれません。
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ストイックな人は全く関係ない仕事を本気でしてみると良い
昔は共働きなんてあり得なかったけど、もはやスタンドード。次はダブルワークとか副業、復業がスタンダードになっていくと思います。
— 未来のPT (@PT50139040) April 18, 2017
↑「スタンドード」になってますが、「スタンダード」の間違いです(;^_^A
上述のように、「連続した専門性を取得し、生涯で2つ以上の職業人生を送ることを想定しておかなければならない」とワークシフトには書かれています。
それでは、実際に、具体的に私たちはどうしていけばよいのでしょうか。
結論から言うと、私は複業をお勧めしています。
複業を単に「お金稼ぎ」と捉える人が多いのですが、今すぐに儲かるとか儲からないとかいう話は重要ではありません。(もちろん、上手くやれば稼ぐこともできますが。)
今やっている本業を辞めることはしたくない人も多いと思います。キャリアが一度途絶えるのは確かに望ましくありません。それなら、辞めないで違う仕事を始めてみると良いのではないでしょうか。
そして、今から専門性を連続して2種類育てるキャリアデザインの戦略を取っていくと良いでしょう。私は理学療法士とこのブログ運営で2種類の専門性とキャリアを育てています。もちろん、診療報酬が下がる将来へのリスクヘッジも兼ねています。
また今後、リハビリはネットで需要を満たしていく方向に発展していくのではないかと思うので、今のうちにネットでの動き方を模索しています。これはパラレルキャリアという言い方で呼ばれることもあります。
パラレルキャリアのメリット
まず、ストイックに一つの専門を極めるよりも、圧倒的に視野が広がります。
リハビリとはどういうものか、社会的に何を求められているのか?それを知るためには、外から俯瞰して眺める視点が不可欠です。
人は自分自身のことが一番分からないものです。これはみなさん思い至るところがあると思います。もちろん私にもあります。
なぜなら、自分のことは余計な感情が入ってしまって冷静に分析することができないからです。バイアスも働きやすい。他人のことは至って冷静に判断し、客観的に捉えることができるのに、です。
これはストイックなリハ職にもすごく当てはまることではないかと思います。
患者さんの人生や生活のことにはすごく心を砕き、理解しているのですが、一方で自分の人生設計はあまり真剣に考えていなかったりします。
また、パラレルキャリアや複業を実践することで、私のように副収入を得ることもできると思います。
過去には共働きは一般的ではありませんでしたが、今でもはや当たり前です。
終身雇用制度が実質崩壊し、昇給もごくわずかな時勢で、日本のサラリーマンの平均給料は年々低下傾向にあります。これもごく僅かずつ変化していることなので、気付いていない人も多いかもしれません。

そのうち、共働きでも生活が苦しい家庭が出てくることは容易に想像が付きます。 実際、介護職同士の夫婦の場合、現に今でもそういった環境に近いと思います。
今後はそういった家庭は共働きをしながら、複業も始めるはずです。そして、それが一般化していく。こうやって複数の専門的キャリアを同時進行で育て、将来に備える人が増えていくでしょう。
私たちは死ぬまで”幸せに”働き続ける世代である
年金制度も崩壊し、平均寿命も延びた未来に生きることが分かっている私たちは、一生働き続ける世代になっていくでしょう。
若い時にパラレルキャリアで複数育てた専門性を駆使しながら、老後も働き続けることになります。
共働き+複業。これがスタンダードになると、日本の生産性は上がるし、残業なんてみんなしてられなくなる。「どんだけ働かせるねん」って今の働き方の価値観だと思っちゃうけど、もっと働き方はくだけたフランクな形になっていく。リモートワークで家で子供と遊びながら、とかね。
— 未来のPT (@PT50139040) April 18, 2017

”死ぬまで働く”というのは何か良い言葉のように感じない人も多いと思います。
しかし、全然絶望することはありません。
働き方もそれに合わせて変わっていきます。これからは、本当に好きなことを仕事にする人が成功する世の中になっていきます。
嫌々やる仕事がどれだけ効率が悪く、生産性が低いのか、みなさんよくご存じだと思います。笑
効率的に生産性を高めようと思うと、必然的にそうなっていくはずです。
例えば、複業の手始めに自身でブログを作り、そこで自分が趣味で好きで書いていた小説を投稿する。複業なんて大げさに考えなくても、現在はこれくらいのスタートで充分です。
次第に読者から反応が返ってくるようになる。
そうなってくると、もっともっと小説を書くことが好きになり、楽しくなっていくでしょう。やがて、ファンが付いてきます。そうなれば、マネタイズしてブログ内で電子書籍化して販売していくということができれば、それはもう立派な複業です。
そのあとは、編集者に自分からブログ内での販売実績をアピールしながら、出版の企画を持ち掛けても良いし、アイデア次第で色々スモールビジネスとして展開させていくことができます。
これが将来の私たちの新しい働き方です。
フランクな働き方がスタンダードになると、旧来の縦型の組織ではなく、横型のチームで動くような組織が活躍し、専門性をシェアしあって仕事をする。よって、複数の専門性を持つ人がより広くの場所で活躍するようになる、と思う。
— 未来のPT (@PT50139040) April 18, 2017
つまりは、楽しいこと、趣味や好きなことの延長上にそれぞれの仕事を持つようになります。そして、そういったことを続けていくことが、専門性を複数連続して育てていくことに繋がるのです。
今では死ぬまで働くというのは決して良い意味に捉えられないと思いますが、縦型の指示命令系統で動く組織ではなく、好きなことを極めた専門家が横で繋がり出し、仕事を生み出していく未来では、自分の好きな得意分野で社会貢献できる素晴らしい働き方をしている人が増えているので、悲観的に捉える必要は全くありません。
むしろすごく喜ばしいことです。
現在のように、高齢になって定年退職することは果たして幸せなことでしょうか。
私はリハビリの現場で、定年退職して、仕事をしなくなってから生きる気力を無くしてしまった方をたくさん見てきました。
参考)地域保健福祉は「ないものだらけ」。地域包括ケアを構築するために重要な価値観の転換とは?
誰だって、得意なことで褒められて、社会貢献できて、報酬ももらえるなら、それは大きな生きがいになるはずですよね。
人はいつだって、何歳になっても、認められたいし、他者から必要とされたい。そして、人に貢献したいし、それを実感したいのです。これは不変的な人間の欲求です。
そのための方法として、”働くこと”はすごく理に叶っていると私は思います。
みんな、嫌々働くのではなく、したいことに集中して幸せに働ける世の中が目前にまで迫っていると私は感じています。