
「勉強会に最近行けてない・・」って悩んでいませんか?なんか専門職として自信無くしちゃいますよね。でも、実質タダで高額な勉強会に行きまくれる方法があるんです。
まず、地域包括ケアシステムの「自助、公助、共助、互助」の概念はご存知でしょうか。これって実は将来に不安を持つ療法士にとって結構活かせる概念なんです。
「生き残る療法士を目指す」なんて古い競争前提の価値観はもう捨てましょう。今後数が増えて行く専門職同士、競争するのではなく、お互い支え合って励んで行くべきでしょう。数の利を活かすべきです。セラピスト内でも地域包括ケアの概念の「互助」は使えます。
— 未来のPT (@PT50139040) April 4, 2017
地域包括ケアにおける「自助・公助・共助・互助」とは
地域リハの分野でいわれている地域ケアの概要が「自助・公助・共助・互助」です。

- 自助・・自分のことを自分ですること
- 公助・・税による公の負担のこと
- 共助・・介護保険などリスクを共有する仲間の負担のこと
- 互助(ごじょ)・・”相互に支え合っている”という意味で、費用負担が制度的に裏付けられていない自発的なもの(例:ボランティア・地域の助け合い)
さて、今後、財政難の日本で、地域包括ケアシステムでは、自助と互助の存在が大切になってくるといわれています。
つまり、自分で何とかするか、地域住民同士で何とか助け合って下さいということです。結構、国は地域に丸投げです。笑
それだけ財政が苦しいということでしょう。
この概念をセラピストの世界に当てはめて考えてみると、
- 自助・・・自分で専門知識を勉強すること
- 公助・・・診療報酬
- 共助・・・セラピスト同士の助け合い(例:職場での先輩・後輩指導)
- 互助・・・自発的な支え合い(例:同期での支え合い)
基本的にセラピストが今まで経済的に頼ってきたのは、公助(診療報酬)ですね。これは考えてみると、地域包括ケアシステムと同じです。
でも、それがだんだん望めなくなってきている現状があります。だからセラピストはみんな将来に不安を持っている訳です。
どうすれば、公助(診療報酬)が減少したセラピストの世界で経済的に自立していけるのでしょうか。
”セラピスト経済”でも「互助」を活用しよう
私はPTなので、PTの数で言うと、現在年間およそ1万人ずつ増えていると言われています。これを良い風に思っていない人も多くて、
- 「競争が激しくなるからもう増えないで欲しい」
- 「セラピストの質が落ちる」
などと思っているPTが多いそうです。
まぁ、普通はこう考えるかもしれませんが、先ほどの地域包括ケアシステムの概念を当てはめて、逆に考えてみると、互助の力が拡大していくという風にも取れる訳です。
数が多ければ、お互いを支えやすくなりますから、これは非常に大きなメリットとなります。
競争して潰し合いをするよりもそっちに目を向けた方が絶対良いです。「もう増えないでほしい」とか思っていても無駄です。意味ありません。当たり前ですが、いくら文句を言っても現実は変わらないのです。むしろ、現実に合わせて自分たちを変化させていきましょう。
公助が減って収入が減っても、セラピスト同士で支え合って経済的苦境を乗り切っていこう、というのが今回の記事の主な趣旨になります。
具体的なセラピスト経済での”互助”の例
例えば、勉強会です。
セラピストが実力をつけて臨床に自信を持って臨むためには、やはり定期的に勉強会に行かないと心許ないですよね。
でも、この前の記事セラピストの勉強会が「投資」ではなく、ただの「出費」になっている件でも書きましたけど、セラピスト向け勉強会はだいたい高額なんですよ。
だから行かないというか、行けない人も多いのです。一馬力の家庭持ちの人なんて普通は行けなくても仕方ないでしょう。
そうなると、なんだかセラピストとして自信持てなくなってきて「もうリハ職辞めようかな?」と思い始めることもあるんですよね。よくわかります。私もそうでしたから。
でも、私は本当にこの仕事が好きな人は、ぜひセラピストを続けて欲しいと思っています。まだまだ未発展のこの業界、やる気のあるあなたの力が必要です。
勉強会に行きたくても行けない、悩んでいる人のために「高額な勉強会に何とかしてタダで行ってやろうぜ!」という構想を練りました。是非参考にしてみて下さい。
以下のシステムを組織内で循環させれば、勉強会の金銭的負担を互助の力を使って「実質0円」にできます。
高額勉強会にタダで行くためのセラピスト互助システム”タダ勉”の概要
まず、所属する組織内で、同期(臨床経験が同じ年数の人同士)から、勉強会に参加する人(以下:代表者)を除いて、みんなから3000円(仮)を徴収します。もちろん任意で、嫌な人は出さなくて構いません。その代わり残念ですがタダ勉はできません。
この金額は勉強会の質(価格帯)や同期の数、参加するセラピストの経済事情を考慮して適宜調節して下さい。
1人3000円徴収すると、同期が5人の場合、総額1万2千円(代表者はお金を払わないので、3000x4=12000)になります。
そのお金で、同期の内一人の代表者(この人はタダで1万2千円の勉強会に行きます。)に、新たに勉強会に行ってもらいます。どの勉強会に行くかは、みんなで選んで決めると良いでしょう。
勉強会に行った人は、帰ってきてから勉強会の内容を他の出資した同期に伝達します。いわゆる伝達講習をするわけです。
出資者は他の同期なので、テキトーに伝達したら次からはお金を出してもらえなくなるかもしれません。
きっちりとレジュメも人数分コピーし、スライドなども使って最低3000円分の価値がある伝達講習をしなければなりません。
勉強会に参加する代表者も勉強会に1人で来ている時とは責任感が全然違うはずです。
一字一句見逃さないように聞かなければなりませんし、帰ってから他の同期に得た知識を即アウトプットするので、内容が頭に叩き込まれ(勉強はインプットよりもアウトプットが大切です)、勉強会に行ったけど3カ月もすれば内容を忘れている、などということがありません。
また、後輩にどう教えたら良いのか分からない、と指導方法に悩んでいる人も多いので、知識を増やし、他の人に教えるための勉強にもなり、一石二鳥です。
こうすれば、一回3000円払うだけで、1万2千円する価値の専門知識・技術を同期のみんなで共有(シェア)できることになります。
今は何でもシェアですよ。笑
このサイクルを同期の5人で順番に回せば、5回に1回は1万2千円の勉強会にタダで参加できます。5回の内4回は3000円を出費して、1回タダで1万2千円の勉強会に行けるので、実質タダと言っても良いのではないでしょうか。(単純に出費だけを見ると1人1サイクルで1万2千円は払うことになりますが。)
従来通り、普通に勉強会に個人で全額支払って行っている人よりも、同じ金額で5倍もの知識と技術を吸収できます。
長い目でみたら桁違いの勉強量になることは間違いないですね。
こうやってセラピスト経済を循環させていけば、セラピスト個人はあまりお金をつぎ込まずに、定期的かつ永続的に勉強会に参加し、知識とスキルをアップさせていくことができます。
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”タダ勉”実施時の注意点
臨床経験が同じ同期内で”タダ勉”を行うのには訳があります。臨床経験に応じて、勉強したいことの差や、理解度、適した勉強会の難易度があると思うからです。
このセラピスト互助システム「タダ勉」の要は、「ちゃんと循環すると、誰も損をせず、元が取れる」というところにあるので、途中で誰かがそのサイクルから抜けてしまうと、誰かが損します。よって同期5人で始めた場合、最後まで抜けないでちゃんとサイクルを回し、全員が勉強会に行く必要があります。
また、毎月これをやると経済的にも体力的にも厳しいかもしれないので、3カ月に1回程度皆で出資して勉強会に行く位が良いかもしれません。
3カ月に1回出資して5人で始めるなら、全てのサイクルが終わるまで15カ月掛かります。1年と3カ月の間に同期が組織から退職してしまうリスクもあるので、状況に応じて(出資する金額や参加する人の数によります。)2カ月に1回(10カ月で1サイクルが終わります。)など柔軟に実施して下さい。
(退職してしまっても、同職種内の転職「回復期→訪問リハなど」とかであれば、連絡さえ取れるようにしておけばサイクルを続けることも可能だと思います。)
タダ勉は、実際に直接勉強会の主催者に質問をしたり、微妙な実技のタッチや感触などは伝達することはできない欠点もあります。でも、私は、セラピストってまずは概念をたくさん知っていることが大切だと思っています。
足底板の方法論やボバース、PNFなど、それぞれの概念や概要を知っているだけでも臨床での考え方が全然違ってきます。タダ勉では、浅くでも良いので、広く色んな概念を吸収していくことを目指すと良いと思います。(OT、STさんでも基本的に同じだと思います。)
そこから、自分がこれだ!と思うものがあれば、そのジャンルの勉強会に個人で行っても良いし、ボバースならボバースを勉強したい人を職場で集めて”タダ勉”をすれば良いと思います。そこで微妙なタッチや感触の違いを直接勉強会で学ぶのです。リハビリにおいて”感覚”ってすごく大切ですからね。
また、タダ勉を上司に相談、許可を貰い、所属する組織の管理内で行うこともできますが、許可が出ないとか、相談するのが面倒な場合、同期で勝手にやれば良いのではないでしょうか。別に誰にも許可をもらう必要はありません。その代わり、当たり前ですが、全て自己責任になります。
タダ勉のメリット
このシステムの大きなメリットの一つは”大きな組織の力を借りる必要がない”ことです。
互助とは本来そういう概念ですから。
これを同期で回していけば、みんなに主体性が身に付きます。つまり、自分たちで創意工夫、管理してシステムを回していく必要があります。私が上で提示したのはあくまで考え方であり、自身の周りの環境を考慮して、それにフィットする形に落とし込まなければなりません。
これが今後のセラピストに最も必要な資質だと私は思っています。主体性です。
療法士が診療報酬や組織、病院や施設に守られていた時代は終わろうとしています。組織でできないから無理、組織の力がないと無理、と諦めるのではなく、私たち自身で何とかならないものか?と頭を捻って実際に動いてみる。
主体的に考えて動く、そしてちゃんと成果を出す。実は、所属する組織がどうのってことはあまり関係ないんです。
患者さんの自立を促しながら、自分も組織から自立して行くことを目指さなければなりません。
そういったセラピストが増えてくると、今後どんどん面白いリハ業界になっていくと思うんですよね。
例えば、このタダ勉のシステムを大幅に改良して、今はまだ需要が少ないかもしれませんが、今後年間1万人以上も増えていく業界なので、ネット上でプラットホームを構築し、マッチングサービスとして、格安で勉強会に行けるセラピスト向けのスモールビジネスができるかもしれません。(誰かやってください笑。というか協会がやってくれれば良いのに・・・。)
同じようなシステムが、”あいあい自動車”という「高齢者の乗り合い送迎マッチングサービス」で既にあります。
参考)高齢者の便利な屋外移動手段の考察「リハビリして歩けたら,また好きな所に行けるようになるのか?」
今後、セラピスト経済では余計な支出をどう減らすかも重要
セラピスト経済において、本当は収入先を増やすことが最も重要なんですが、それは簡単にはいかないことでもあります。なので、まずは支出を減らす取り組みを考えるのも一つの手でしょう。その時に上述の互助の概念が役立ちます。月1万円節約できれば、年間で12万円給料が増えたのと同じことです。
合理的に考えると、同じ勉強会に同期で誘い合わせて行く必要が本当にあるでしょうか?私は少し疑問に思います。もちろん、その方が安心できて楽しいのは分かりますけどね。
セラピスト経済も家計が厳しい家庭と同じですね。まずは無駄な支出を減らす。給料が少ないと嘆いてばかりいないで、まずはそこから初めてみてはいかがでしょうか。
おまけ
ここからは少し余談ですが、今回の記事の趣旨に付随する私の意見です。
旧来のセラピストの価値観では、根性論的な曖昧なものが横行しており(前の記事で書いた、専門職なら身を削ってでも勉強しろ!とかですね。)、リハビリ内容には最新のエビデンスの重要性を説きつつ、後輩には戦時中か!と突っ込みたくなるほどの根性論を突きつける人も少なくありません。
そして、それに流され、それが正しいことだと思って、後輩にそのまま教える人がどれだけいることでしょう。専門職ってこんなもんなんだ!とある意味素直に受け取ってしまうんですね、きっと。そしてそんな人こそ、本当は素直な優しい人だからこそ、無理をして、心を鬼にして後輩に向き合う内にクタクタになってしまう。
そして、その根性論に合致しない人は「資質がない、向いてない」とか言われたりします。これは寂しいことです。
でも、根性で1人でひたすら勉強会に足を運ぶより、上述のタダ勉の方法でみんなで仲良くコミュニケーションを取りながら、知識を共有するほうが楽しいし、続けられるし、何倍もの勢いで成長できると思いませんか?
旧来の価値観から脱して、自由に構想を練れば私でもこれくらいのことは思い付くので、賢明なみなさんならもっとたくさんの便利で素晴らしいアイデアを出せると思います。
そのためには、まず「専門職独特の思考体系の枠から一歩出ること」が必要です。専門職を辞めろという訳ではありません。専門職でありながら、専門職の考え方に染まり過ぎないことです。
そのために必要なのは、まず「何が枠なのか」を認識することでしょう。
旧来の漠然とした価値観をまずは疑って、それを一旦自分から外すのです。そのためには外の世界を知ることが必要でしょう。「自分がどんな枠の中にいるのか」を認知するために比較する対象が必要ですから。
専門外の世界に目を向けましょう。
それが今、セラピストが大きく進化するために、時代に求められていることのような気がします。
私が考える“セラピストが外の世界に目を向けるための具体的な方法”を、次回は記事にしたいと思います。