これからの療法士に必要なことは「専門スキルを横に展開させていくこと」


専門職は専門分野だけを一つの場所で極めるという時代はもう終わろうとしています。今後は専門スキルをどう展開させていくか、それを個人でも十分に考えて行かなければならないと思っています。




以前の記事、先輩や上司は教えない「療法士の治療技術・知識の向上は収入にほとんど関係しない」という事実でも書きましたが、この時勢の中、療法士の専門職としてのスキルをだた向上させるだけだと、ほとんど収入は増えていきません。

そして、収入が増えていかないと勉強する機会が徐々に減っていき(知識を得るには対価が必要です)、結果的には患者さんに貢献することができなくなってきます。ジリ貧です。

もちろん、私たち療法士の社会的使命は「患者さんの健康とより良い生活に貢献する」ことです。これはマストで外せないし、いくら時代が変わってもこの軸がブレてはいけません。

 

では、私のようにこのリハビリの仕事が心から好きな療法士は、自身のスキルも高めながら、患者さんに永続的に役立つ知識を得るために、今、何をすればよいのでしょうか。

実は尊敬する先輩であろうとも”決定的にズレている感覚”もある。

まず、お金の話を少ししたいと思います。すごく大切な話なので、しておかなければならないと思います。

私が療法士として働き始めたのは約6年前の2011年。

当時の私の月収は全国の療法士の平均給料なみの手取り23万円程度でした。私の先輩たちの話を聞いていると、過去には療法士バブルともいえる時代があり、私が働き始める、さらに5年ほど前は歩合制の訪問リハビリで土曜日も休まず出勤して月収100万円稼いでいる療法士もいました。

これは本当の話です。

そこから数年のうちに診療報酬がどんどん下がり、今では伝説のような話になっています。

 

一方で、私たちは無意識に先輩の話を参考にして、自分たちの療法士としてのなりたい将来をイメージしているはずです。

先輩が将来の理想像のモデルケースになるわけです。あんな先輩みたいになりたいな~って思ったことがあると思います。

 

私の先輩たちは、先程のように、診療報酬がまだ高い時代に療法士としてやってきたので、実はそれほど収入や将来に不安感を持っていなかったりします。危機感が私たちと全然違う場合も多いのです。

なので、給料について聞いたり、療法士の将来が不安だって話を先輩にすると、

優しい先輩には、

  • 「専門職としてスキルを磨いていれば何とかなるよ!」
  • 「実力があれば生き残れる!今はそんなこと考えないで、とにかく実力を付けたほうが良いよ。」

と言われたり、

厳しい先輩には、

  • 「自分のためだけでこの仕事やっているなら、向いてないから辞めろ。」
  • 「実力もないくせに、将来がどうのとか給料がどうのとか生意気なこと言うな。」

などと私は言われました。

 

これ、どれが正解だと思いますか?

私は正直、尊敬する先輩方でも「あまりちゃんと考えてないんだな、、」と思ってしまいました。はっきり言うとどれも答えにすらなっていません。

なぜだろう?と考えると、やはり危機感が全然違うんじゃないか、という結論に達しました。尊敬する先輩方は深く考察するに至るほど経済的な危機感を持っていないんですね。

月収100万も稼ぐ必要はありませんが、それでも療法士をしながら家族を持って、定期的に勉強会に行ったりするためには、月収23万やそこらでは厳しく、生活に余裕がありません。

私は当時、貯金など一切できませでした。その日暮らしです。友達の結婚式に参加するなんて贅沢はできませんよ笑。

当時私がどんな生活を送っていたのかは、こちらの記事に詳しく書いています。

 ”結婚して子育て中,共働きしていない理学療法士の生活の具体例

 

共働きをするか、自身の療法士としての給料を増やすともっと生活に余裕が出ます。しかし、共働きができない、あるいは子供のためにもしたくない家庭もあるでしょう。うちがそうです。

 

これも過去に責められたことがあるのですが、過去の職場で上司に給料が低いから生活がしんどいって話をしたら、

  • 「嫁を働かせたらいいやん!なに文句言ってんの?みんなそうしてるやろ?」
  • 「共働きしたくないとかわがままや!」

と言われたりしました。

これは家庭の問題であり、そういったことの選択権は私の家庭にあるのであって、当然上司にはありません。言うまでもないことですが、私は自分の給料がどうにかなりませんか、と相談に行ったのです。

話をすり替えています。これでは相手の意向を汲んだ解答にはなり得ません。

まともに普通の話もできない上司や先輩もまれにいるので、ガン無視しましょう(笑)

共働きするも、しないも全くの自由です。選択権はあなたの家庭にあります。

でも、共働きしないと家庭で話合って決めたのなら、違う方向で考えて動いて行かなければ、生活はいつまでも苦しく、環境に文句ばかりを言って何もしない人になってしまうかもしれません。

それが私はどうしても嫌でした。

で、結局は給料の良い訪問看護ステーション転職しました。すごく幸せになりました。

(※給料を上げたい方は参考にして下さい。 経験者が語る理学療法士の訪問リハビリへの転職「働きやすくて給料が良い訪問看護ステーションの選び方」)

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いつでも時代の流れを考慮し、”自分で”考える。

社会の変化はどんどん早くなっていているのはご存知の通りです。さらに私たちの業界は診療報酬の変化が収入に影響します。

私たちは、時代の流れ+診療報酬の変化で、さらに加速度的に早く、気付かない程に早く、自分たちの給料や将来の収入が外的な要因で変化する、経済的にリスキーな業界にいると自覚しておいたほうが無難だと思います。

なので、5年も前の先輩のそれらに関する意見や経済的な危機感は、正直、化石のようなものだと思っておいた方が良いのかもしれません。

私が実際に聞いて回った感覚では、あまり的を得た意見は得られませんした。

もちろん、従来通り専門職としてのスキルを磨いている先輩も多いので、自分が「この人は!」って人にはその面では大いに信用して付いて行けばよいと思います。でも、それと同じように将来の給料についての意見を鵜呑みにしはいけません。

この記事、 「リハビリ職の認定専門資格は本当に必要?」リハ職”キャリア弱者”のための最強キャリアデザイン戦略でも書きましたが、これからは専門的スキルを磨いた人などではなく、自分で考え、主体的に動き、成果を得る人が生き残ります。

先輩の話を鵜呑みにしているということは、実質は思考停止しており、自分の頭で考えることを放棄している状態です。それではこの先はとても厳しいと思います。

 

5年前の先輩の将来の給料に対する考えが化石化する程の早さで変わっていく療法士業界人は、今後は特に、経済的にリスクが高い状態にいることを常に自覚しておく必要があるでしょう。

それでは実際に何をして経済的なリスクを安定させるのか。

よって、今までは専門的スキルを磨くという縦方向の成長が推奨されていましたが、今後は、スキルを磨きつつ、それをどう横方向に展開し、収入につなげていくか、という発想をしていかなければならないと思います。

今後も療法士として安心してリハビリに取り組むためには、まずは個人的に収入源を複数持って、しっかりと経済的基盤を築いておくことをお勧めします。

 

私の例でいうと、先ほど書いたその日暮らしの極貧生活から、このブログをはじめ、訪問看護に転職し、1年半後には年収が約2倍になりました。

まだまだ成長途中だと思っていて、今後もっと増やしていく戦略を考えていますが、専門技術のスキルというよりも専門知識を横方向にブログで展開することで、ある程度本業一つの収入源に頼っている経済的リスクからは免れることはできたのではないかと思っています。

もちろんいつブログがダメになるか分かったものでは無いので、全く安心はしていませんが。

だからこそ、常にこうやって考えて、個人的に戦略を練り、色々試しています。

 

私の場合は文章を書くことが大好きなので、ブログという横方向に展開させましたが、専門知識というより、専門技術のスキルが高い人はセミナーをネットで開催しても良いでしょうし、必死で情報収集すれば色々と展開する方法は考えられると思います。自分が続けられそうなことをまず見極めることが最も重要です。

 

私も他にも横展開する方法を探っている途中なので、まだ詳しくは語れませんが、基本的に専門知識にレバレッジを利かすことを考えることがコツです。というかまずはそれしかありません。

それを試して無理そうであれば、自分の趣味などの分野の知識を活かす方法を考えるのが効率的です。(一般的に言って、専門分野から外れると競争がより激しくなるため、その分野で収入を得ることが難しくなります。)

土日など休日にアルバイトで療法士としてリハビリをする、というはレバレッジが効いていないし、結局収入源を分散できていないので、その場限りのわずかな収入を得るだけで終わってしまいます。さらに体力も自分の時間も消耗するので、私はあまりお勧めしません。

 

ブログでは1つの専門的記事をちゃんと時間を掛けて書けば、ほおっておいても、何年にも渡って、何千人の人に読まれます。これが専門知識にレバレッジが効いている状態です。

療法士は患者一人に対して自分の時間を切り売りするような経験ばかりを過去にしているので、レバレッジを利かす発想が苦手な気がしています。

 

また、本業で療法士を続けながら、隙間時間で他の収入源につながることをするには時間的制約もあります。よって、特に複業業をしたい人は、効率よく収入源を分散させ、レバレッジを利かせる方法を徹底的に探る必要があります。

 

レバレッジを利かせて、かつ収入に直結させるためのツールとしてはやはり、「ネット」が鍵を握っていると思います。

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まとめ「周りの環境のせいにする前に、自分で今、すぐにできることを全力でやる」

療法士業界は社会の変化と診療報酬の改定が相まって、特に経済的にリスキーな状態にあることをそろそろ自覚しておいたほうが良いと思います。

こればっかりは自分たちはあまり関係なく、外的要因、つまりは国の方針でコロコロ変わるからです。

診療報酬を上げるための取り組みなどで声を上げるよりも、まずは自分が今、すぐにできることに焦点を当てて、コツコツ活動をしていきましょう。

1~2年くらいの短期間でちゃんと成果を出せることに注力しないと、その間にも社会は変わっていくため、何もなりません。短期~中期決着を目標としましょう。

その時には、今まで培った専門知識を横方向に展開することで収入に直結しやすいでしょう。また、そのためのツールとして「ネット」はレバレッジを利かせやすく、非常に有効です。

 

この考え方の素晴らしいところは、個人がこうやって横方向に専門スキルを展開していけば、個人だけでなく、業界全体も良くなる可能性が非常に高いことです。

ネットでリハビリや療法士について一般の方に知ってもらい、興味を持ってもらえるチャンスが増えます。いわば、「療法士の宣伝」になるわけです。専門知識を広めることで、療法士のブランディングに一役買う可能性があります。

そうなれば、業界全体もお客さんが増えるだろうし、予防分野に裾野を広げていける可能性も高くなるし、テレビに出演するような療法士も増えてくるでしょう。

もちろん、そのためには当たり前の話ですが、個人がきちんと誠意を持って情報を発信し、嘘偽りのない内容で知識を伝えなければなりません。

協会などはこういった方向に進んでしまわないか、要するに「ネガティブなイメージを宣伝してしまわないか」ということを心配しそうだな、と個人的に思います。

 

しかし、これもそれほど心配ないと私は思っています。なぜなら、嘘偽りやくだらない内容をネットで発信しても、やがて誰も見向きもしなくなることが目に見えているからです。数年もすればきれいさっぱり無くなり、自然淘汰されるのです。

 

ネットでは今、マーケティング4.0の時代と言われています。

・マーケティング1.0:製品中心主義(Mind)

・マーケティング2.0:消費者志向(Heart)

・マーケティング3.0:価値主導(Spirit)

・マーケティング4.0:自己実現(Self-Actualization)

詳しくはググってもらえば分かりますが、今ネットでビジネスをするならば、その商品や情報によって”自己実現の欲求が解消されるか?”というのが重要になります。

ネットで情報発信をしたり、専門スキルをセミナーなどで販売するのであれば、「お客さんにとっての自己実現とは何か?」を常に考え抜かなければいけません。

これは嘘偽りや下らない情報で簡単に達成できるレベルのものではありません。

そういった視点からも、私は療法士自身がネットに進出したときに「ネガティブキャンペーン」になってしまう可能性は低いと思っています。

 

だって、”自己実現を目指す”って、リハビリテーションの概念そのものですよね。

すでに本業で、毎日のように患者さんの自己実現を願い、胃に穴が空く程考え抜いてきている療法士が、ネットに土俵を変えたところで、真剣にやれば、そこらのマーケターには決して負けないと思うんですよね。バーチャルではなく、リアルな経験を伴う思考の研鑽を充分に積んでいますから。

ここでも時代は私の思う方向に向いてきているな、と確信した次第です。

 

私は療法士が大好きなのでそう固く信じていますし、きっと、皆が主体的に動き出せば、そうなることはほぼ間違いないと思っています。

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