
療法士として、熱心に勉強会に参加し、治療技術を向上させたところで収入は増えません。
もちろん患者さんにはその技術を還元することができますが、それですぐに給料が上がるとかはまずないのです。ではどうすれば良いのでしょうか?
療法士に成りたての頃の私はあまりにも社会を知らなさ過ぎた
私は療法士になって3年目くらいまでは、勉強してリハビリの知識を付け、技術を高めることが専門職として当然の姿で、専門性を向上させることが患者さんのため、ゆくゆくは自身のためになると思っていました。
これは間違ってはいませんが、全て正しい訳でもないと今になっては思います。
当時その考え方をしている間、少ない給料でも”これは下積み期間だ”と思って頑張って生活していましたが、家庭を持ち、自分に子供ができるとそうも言ってられない状況になりました。
子供たちは生まれて3年すれば幼稚園に行きます。
その時に、どうしても私の療法士だけの給料だと心許なく、将来が不安で堪らず、押し潰されそうな気持ちで毎日過ごすようになりました。
「この子たちの教育費を捻出するだけの生活の余裕が、果たして今後できるのだろうか?」と。
妻が働けば良いのですが、私の住む地域では保育所もいっぱいで簡単に子供を預けることができませんでした。
そこで、もういてもたってもいられなくなり、このブログで副業を始めました。
それから2年経った今では、少しは余裕のある生活が送れており、不安な気持ちよりも、前向きな明るい将来への希望を持つことができるようになりました。
「子供が大きくなったらどうしよう・・・」という不安から、間違いなく「将来はもっと良くなる!」という希望が持てるようになったのです。
療法士のキャリアは「技術向上と収入アップはイコールではない」
今振り返ると、療法士に成りたての頃の私は、いつかは治療技術の向上が自身の収入アップに繋がると勝手に思い込んでいたところがあります。
業界の構造も何も分かっていなかった、無知が故だと思います。
若い療法士のみなさんに知っておいて欲しいことは、当たり前かもしれませんが治療技術を学んだところで診療報酬は一律のため、簡単に収入は増えない、ということです。
療法士としてすぐに収入を増やしたいのであれば、歩合制のところに転職してひたすら1日に診る患者さんの数を増やすしかありません。
(私も実績しています。給料を増やしたいのであれば訪看への転職は非常におすすめです。詳しくはこちら経験者が語る理学療法士の訪問リハビリへの転職「働きやすくて給料が良い訪問看護ステーションの選び方」)
こういうことって、すごく大切なことなのに、普通は先輩や上司も教えてくれません。
給料やお金のことはあまり話したがらない人が多いですからね。めちゃくちゃ大切なのに。
聞いてみても「専門職は患者さんのために専門知識を向上させて当たり前だろ。自分のことは二の次だ。」とかいう話になりがちです。
それは間違いないです。でも、それって、本当にきちんと自分の頭で考えた上での言葉でしょうか。
誰かに言われたことをそのまま言っているってことはないですよね?
どっかで聞いたことある様なことばかり大真面目に言ってくる先輩は大概ほとんど何にも考えていない説。
たぶん人に言われたことをそのまま後輩に言っているだけ。
自分の責任において、苦労して経験して考えたオリジナルの言葉かどうか、後輩は分かっている。
若者の感覚は鋭い。
— 西野 英行 (@PT50139040) July 24, 2017
そんなテンプレみたいな言葉を素直に聞いていると、ひと昔前の療法士と違って、これからの療法士はだんだん自身の生活が苦しくなってくるのは目に見えています。
新しい知識や技術を人から学ぶには対価が必要です。
お金がなければ勉強会にも行けませんし、本だって買うのが難しくなります。だから余計に勉強しにくい環境になってくる。結果、患者さんにもきちんとしたリハビリが提供できない。
まさしく悪循環です。先細りの将来像しか私には描けなかったんですね。
セミナーを開催しているような凄腕療法士も、そのようなことはあえて言わずに、むしろ専門職としての治療技術のスキルアップを推奨するでしょう。その方が彼らのお客さんが増えるのですから。
そして、意識的ではないかもしれませんが、結果的には治療技術が上がれば収入もいつか上がるだろう、という淡い幻想を見続けさせようとするでしょう。
(この「意識的ではない」というところに闇の深さがあります。つまり、セミナー主催者側もその幻想を信じている人も多いのです。)
賢明な方はもう気付いていると思いますが、治療技術の向上はあくまで患者さんのためだけであり、自身の将来のためには他の方法を探す必要があるということです。
それらは完全に分けて考える必要があるんですね。絶対に一緒に考えてはダメです。
エビデンスを確立してもっとリハビリの重要性を社会に認知させるという話もありますが、おそらく数十年単位の気の遠くなるような時間が掛かります。
その間にも私たちの生活も変わっていきます。結婚し、子供は成長し、出費も増えていきます。(もちろん人によりますが。)
とても間に合わないし、業界全体としては必要なことですが、個人の生活レベルでは雲をつかむような話で全く現実味がありません。
選挙に行くことは大切だけど優先順位は高くない
分かりやすくするために、少し視点を変えて話をすると、「若者は選挙の時にちゃんと投票に行け」という話があります。
基本的にこれは大切なことです。
しかし、投票したところで1年後には自身の生活が大きく変わるなんてことはありえません。ましてや簡単に短期間で給料が増えて生活が楽になるなんてこともありえません。
それよりももっと、自分にできる身近なことを優先してこなしておくべきです。周りの人が言うからと、自分で今すべきことの優先順位の高い位置に投票をおくと、とてもおかしなことになります。
政治や周りの環境にばかり文句を言って、自分では何もしていない人になってしまうかもしれません。世の中にはそういう人が溢れている気がします。
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治療技術を向上させながら、違うところからも収入を得るのが今後の目指すべき道
普通の療法士は、治療技術の向上と自身の給料や将来は分けて考える方が無難で自然です。
治療技術を向上させて、専門職として知識を付けて、ゆくゆくは開業・起業するなんて、みんながみんなできる訳がありません。研究分野でも同じです。
そんなことはみんな考えることだし、将来的には競争が激しすぎて生き残る人はごくわずかでしょう。
これは誰も言っていないかもしれませんが、紛れもない事実です。
療法士は専門職として勉強会に通いながら、サイドビジネス(副業)でもして、自身の生活や将来・人生と、療法士として患者さんを診ることを同一線上で考えないようにした方が絶対に良い、と自身の経験から思います。
療法士を続けながら少し余裕のある生活がしたいと思うなら、収入源を複数持つことを目指していかなければなりません。
参考)診療報酬に依存しない自立したセラピストを目指すためのキャリアプラン 「今時自費で開業なんてしなくても良い」
もちろん反対意見もあると思いますが、これは私個人の意見として後輩には必ず伝えていることです。
そして、今後そんな考え方をする療法士が増えてくるのは間違いないと確信しています。
むしろそれが自然なことです。社会の流れが明らかにそっちを向いていますから。
こういった話をすると、「専門職としての専門性が疎かになる」という話が出てくることがあるのですが、それは古い従来のキャリアモデルでしか考えることができていないからです。
なんでもそうですが、思考停止すると結局今まで通り、旧来のやり方を続けよう、という結論になります。
まとめ
時代は変わったのです。
今は個人のスモールビジネスで比較的簡単に少しのお小遣いくらいなら、ほとんどリスクなしで稼げる時代です。本業でひたすら労働するしかなかった時代の考え方はもう昔の話です。
むしろ今後は、本業一本でやっていって、勉強会に行ったり書籍を買うお金の余裕が無くなる方が専門性が疎かになるはずです。
永続的に、患者さんの役に立つより良い療法士でいるためには、まず自身の収入源をしっかり確保することが先決でしょう。
これからのリハ職は確かに収入面に関しては厳しい。
でも、ネットを検索すればすぐガイドラインが参照できる。先輩も昔ほど気難しくなく親切に教えてくれるし、エビデンスも整いつつある。
古参リハ職よりも断然整った環境がある。これは武器。
「社会貢献」という視点で見れば後発組は有利— 西野 英行 (@PT50139040) July 25, 2017
能力をマネタイズし、お金を生み出す事が出来る人こそがプロ。https://t.co/Z2KtmieQpt
— 西野 英行 (@PT50139040) July 25, 2017
社会貢献だけしかできないのではプロではないとだけ付け加えておきたい。
— 西野 英行 (@PT50139040) July 25, 2017
「自分のことは二の次」でいつまでもやっていける療法士バブルの時代はもう終わったのです。ごく当たり前の話ですが、現実をちゃんと見ないと現実に適切に対処することはできません。
私はそう考えています。
もし良ければ参考にしてみて下さい。