転倒予防に効果的な4種類の体操を専門家が考案

転倒予防体操


転倒予防のための体操の方法について専門家である理学療法士が述べています。

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まず初めに伝えておきたいことは、厳密に言うと、転倒予防のために効果的な体操の方法は人によって違います。

その人がどんな身体状況で何の疾患に掛かっていて、どんな環境で生活しているかによって転倒しやすい要因も異なるためです。

参考) 転倒予防の基礎知識はこれを見ればOK!転倒予防ガイドライン・文献の要約 「療法士向け 評価・カットオフ値」

 

しかし、足の筋力と転倒の関連性はデータ的にも証明されており、筋力がないよりはあった方が良いことは間違いありません。

そこで、今回は足の筋肉を簡単に鍛えられる方法を以下にご紹介していきます。普段の生活の中でできるだけ簡単に行える運動を選んでご紹介します。

転倒しやすい体の状態とは?

まず、足の筋肉が弱っていると転倒しやすいことはお分かり頂けると思います。イメージ的には、足が弱っている方は歩くときに足先が上がらず、擦り足になるような感じでしょうか。

 

しかし、転倒予防のために重要なのは、重力に抗して足を持ち上げる筋肉だけではありません。

実は、支える方の足の筋肉がかなり重要です。

足を上げる方の筋肉は足の重みを持ち上げれば良いだけなので、少し筋力が弱っていても足を上げることはできますが、支える方の足は何十キロもある体重を支えなければなりません。

 

歩行動作では、片足立ちを連続で行う動作です。右足を上げる時には左足が全体重を支え、左の足を上げる時は右足が全体重を支えています。この時に体重を支持している足(支持脚)が弱っていると、足も上げにくくなり、転倒しやすくなります。

 

よって、足を上げる運動だけしていれば転倒しにくくなるという訳ではなく、足で地面を捉えて、歩行中に体をしっかり固定させることができるように、支持足としての足の機能を鍛えていくべきです。

転倒予防の4種類の体操

転倒予防体操

身体(背中)を伸ばして運動しやすい状態にしてから足を鍛える運動を行っていきます。

準備運動:背中を伸ばす

特に高齢者の方に多いですが、背中が丸まっているとそれだけで転倒しやすくなります。なぜかと言うと、背中が丸くなっている方は足を高く上げることが物理的に困難になるからです。

下の写真を見て下さい。

立位,ももあげ

私は背中が伸びているとこれだけ足が上がりますが、

背中を丸めるとこれだけしか足を上げることができません。

※)詳しくは簡単にわかる!転倒予防のために効果的な歩き方

 

人間が行う運動は全て全身が関係し合って発現されています。(運動連鎖)

足を上げる筋肉をひたすら鍛えれば上がるようになるという問題ではなく、まずは足が上げやすい体の状態を作っておくと良いです。そのためには背中が伸びやすい状態を作っておくことが先決となります。

背中を伸ばす体操

腰のストレッチ

四つ這いになって、両手をできるだけを遠くに放り出すように伸ばし、丸まってしまっている背中を伸ばします。コツとしては必要以上に力が入っているとストレッチ効果が薄くなるので、力を抜いて、背中が伸びる心地良さを感じながら背中を反らしていきます。

背中をほぐすストレッチ

こちらの方法は背中とは反対側の体の前面、大胸筋をストレッチする方法になります。

方法はごく簡単で、部屋の入口などの壁を利用し、壁に手を引っ掛けてグーッと体を前方へ移動させます。引っ掛けている方の胸を開いていくイメージです。この時に胸の筋肉である大胸筋がストレッチされます。

背中が丸まっている方は、多くの場合、体の前方の大胸筋(胸の筋肉)も凝り固まっています。このストレッチをすると気持ちよく胸の筋肉をほぐし、ストレッチさせることができます。

1.ふくらはぎを鍛える

上述の方法で背中と胸の筋肉をしっかりと伸ばしたら、いよいよ足を鍛える運動を行っていきましょう。

下腿三頭筋
下腿三頭筋

足のふくらはぎには下腿三頭筋という大きな筋肉があり、この強力な筋肉は動作中の足関節の制御に大きく関係しています。この筋肉が弱ると動作中に足首がグラグラしてバランスが悪くなり、転倒に繋がりかねません。

下腿三頭筋トレーニング

ふくらはぎを鍛える運動で手軽にできる方法では、壁に手を置いて、鍛えたい方の足を一歩後ろに出します。その姿勢で反対側の前にある方の足を挙上させます。5秒10セット程度で結構です。

この運動ではふくらはぎの筋肉を鍛えると同時に、歩行や立位時のバランス能力に大きく影響している足の指も鍛えることもできます。足の指を鍛える方法は”タオルギャザー”などの方法が有名ですが、ふくらはぎと同時に鍛えられるこの方法がおすすめです。

※)タオルギャザーについて詳細はこちら 足の指を鍛えてバランス能力改善!3つの効果的な足趾把持力強化トレーニング

また、タオルギャザーは負荷が弱くなりがち(体重を支える程の力を付ける運動になりにくい)ですが、この方法は”自重トレーニング”なので、自身の体重を支えるだけの筋肉を付ける丁度良い負荷になります。

2.段差昇降運動

次は支持脚を鍛えつつ、上げる方の足も両方同時に鍛えられる方法をご紹介します。

前脛骨筋トレーニング

踏み台昇降トレーニングです。巷ではスローステップ運動とも呼ばれる方法です。写真の方法では、左ばかりを踏み台に乗せる運動をした後に、足を反対側に変えて両足同じ運動を行っています。

コツとしては、

  • 上げる方の足先をできるだけ高く上げながら行う
  • 支持している足にも意識してしっかりと地面を踏み込む

ことです。

 

この運動を行うことで、体重を支える筋肉と、足先やふとももを上げる筋肉の両方を同時に鍛えることができます。

 

市販の商品ではこのような商品がスローステップの台として販売されています。高さ調節ができるので、階段などが自宅にない方は使ってみても良いかもしれません。

3.中殿筋の筋トレ

中殿筋 解剖

普段私が臨床でリハビリをしていると、お尻の横の筋肉”中殿筋”が弱っている方が非常に多いです。

実際、人体が立って歩くときにかなり重要な筋肉であるにも関わらず、意外と面積・ボリュームが少なく、弱りやすいと言われています。

そもそも、人が立った時に骨盤に重心があるので、骨盤を支え、固定させる役割を持つ股関節周囲筋は転倒予防のために非常に重要な筋肉です。

その中でも中殿筋を鍛えると、支持脚で体重を支える際に骨盤が安定するので、より安定した歩行が可能になります

鍛える方法で最も簡単なのは、サイドステップです。

サイドステップ
左方向へのサイドステップ(左中殿筋が鍛えられます。)

立った状態から、足を真横に開いて、開いた方の足に体重をぐっと乗せます。その後また元の姿勢に戻り、同じ動作を繰り返します。

中殿筋は、いわゆる”腰骨”と言われる部位のすぐ下にある筋肉なので、そこを自分で触りながらランジを行い、しっかりと収縮していることを確認しながら行うとより効果的です。

中殿筋の筋トレ ストレッチ
中殿筋の位置

10回程度行ったら反対方向へも同じ動作を繰り返します。

 

他にも中殿筋を鍛える方法はたくさんあるので、自分に合った方法を探してみるのも良いと思います。

 確実に伸びる、鍛えられる!中殿筋のストレッチと筋トレの方法 オススメ7種類

4.横・後ろ歩き

上述のサイドステップの応用ともいえる方法です。

方法はごく簡単で、横向き、あるいは後ろ歩きで歩くだけです。特に後ろ歩きを行う際は後方に障害物がないところで行い、転倒に充分注意して下さい。

 

横歩きでは、横向きに歩くだけで股関節外転運動が含まれるので上述の中殿筋を鍛えることができますし、普段とは違う姿勢制御を必要とするのでバランスのトレーニングにもなります。

 

後ろ歩きは、後方へ転倒しそうになった時に足を出して踏みとどまる練習にもなります。転倒予防ガイドラインでも筋力トレーニングだけでなく、バランストレーニングを複合的に行うべき、とされており、下肢筋力向上だけでなく、バランストレーニング的な要素がある運動を取り入れると転倒予防の体操として効果的です。

まとめ

転倒予防のための体操として、

  • 背中のストレッチ
  • ふくらはぎのトレーニング
  • 段差昇降
  • 中殿筋トレーニング
  • 横・後ろ歩き

をご紹介しました。転倒予防の方法は本来大変個別性の高いもので、その人に存在する様々な転倒要因を確認してひとつひとつ潰していかなければなりませんが、上述の体操であれば、比較的簡単に転倒予防に効果的な足の筋肉を鍛えたり、バランストレーニングができます。

 

>>次の記事は簡単にわかる!転倒予防のために効果的な歩き方

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