白癬の予防とガイドラインに基づく治療方法~感染症とリハビリ~

白癬の予防方法とガイドラインに基づく治療,リハビリ


私達リハビリ職は人の身体(肌)に直接徒手で触れて筋肉のストレッチなどを行います。

そういった仕事をしている方に感染リスクが高い、「白癬」について自身の経験を踏まえ解説します。

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不特定多数の人の身体に直接触れる仕事

  • 医療・介護職

医師・看護士や介護士。療法士、柔道整復師など

  • 美容士・理容士

など。

 

特に私が現場で「大丈夫かな?」と思うことが多いのは、介護の現場です。

  • おむつの排せつ介助を素手で行っている。
  • 手袋をしていても排せつ介助を行った手袋でそのまま車椅子のハンドルを握ってを介助している。

などの場面を本当によく見かけます。

 

確かに私の専門学校時代にも感染症についての授業がなく、全て職場の先輩に教えて貰ったか、自分で学んだ知識です。

恐らく介護職の方も同じように、きちんと習った経験がなく、うっすらと感染症を意識はしているけど、実際はよくわからない、ということが多いのではないでしょうか。

直接身体に触れる仕事は感染症のリスクが高いことを常に意識する必要がある

私達療法士は特にターゲットを筋肉としているので、手で身体に触れて収縮を確認したり、緊張が亢進している箇所や程度を把握することも重要な仕事のうちの一つです。

基本的には手袋などを付けたくないのが本音です。

しかし、そうは言ってられません。

 

私が知っているケースでは、病院勤務時代に遭遇した介護士から勉強をして資格を取り、看護士になった方は、おむつの方の排せつ介助を素手で行っていました。

本人からすると、

  • いちいち手袋をするのがめんどくさい
  • 直接汚物に触れなければ良い
  • 手をしっかりと洗えば問題ない

という認識があるのかもしれませんが、これはかなり独りよがりの間違った考え方です。

 

「感染症対策に手袋をしましょう」

と言われているのは、ちゃんと根拠があって言われていることであって、上述のような考え方をする方は大きな勘違いをしています。

 

感染症に感染すると、自分が苦しむだけでなく、自分の家族や親しい周りの人が苦しむことになる、ということを忘れてしまっているのではないかと思います。

自分が感染症に感染することは、自身が「感染症の保有者(キャリアー)」になることを意味します。

ちょっとした自分の不注意で自分が苦しむだけならまだしも、周りの人たちにまで感染させて苦しめる可能性があるということです。

感染症についてちゃんと知識を持つことは、自分を守る、ひいては自分の周りの人たちも守ることにもなります。

 

なぜ学校できちんと教えないのか不思議です。

これから高齢者が増え、介護職が増大するであろう日本では、感染症に対する知識を教え、皆が持つことは非常に重要ではないでしょうか。

最も身近な感染症「白癬」について

白癬菌

画像引用)1

一言で感染症といってもその種類は星の数ほどあります。

まずは最も身近にある感染症から知識を得ていくと役に立ちやすいと思います。

白癬(ハクセン)は簡単に言うと、水虫の原因となる真菌(カビの一種)です。

白癬が皮膚に付着すると、約24時間かけて徐々に角質の奥まで侵入し、それがいわゆる”水虫”の症状である、

  • 痒み
  • ただれ
  • 水疱

などの症状を引き起こします。

水虫というと足にできる、というイメージがあると思いますが、足に限らず実はどこにでも白癬菌は寄生します。

  • 頭部に寄生すると頭部白癬・毛髪白癬
  • 股間部に付着すると股間白癬(いんきんたむしとも呼ばれたりします)

などのように、寄生する部位によって呼ばれる名前が変わってきます。

白癬は角質層に寄生する

それでは、白癬は皮膚のどこに寄生するのでしょうか。

以下の知識は白癬菌に感染した水虫の予防と治療にも重要な基礎知識となります。

肌の構造

画像引用)2 白癬菌は角質層のタンパク質(ケラチン)を栄養として繁殖する。

白癬菌は角質層、つまり皮膚の中で最も表面に近い部分に寄生します。

皮膚の構造から説明すると、上の図の通り、皮膚は表面から順に、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

に分かれています。

さらに表皮は上から順に、

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

に分かれています。

白癬菌は角質層よりも深くまで侵入することはありません。白癬菌(真菌)は死んだ細胞の中でしか活動できないからです。

真菌はたんぱく質(ケラチン)を栄養源に活動するため、豊富な角質層のみに繁殖します。

感染源は?白癬菌は至る所にいる

いわゆる「垢(あか)」は角質と皮膚分泌液が混ざったもののことです。

垢は人が裸足で歩くだけで周りにまき散らしていることになるので、白癬に感染している人が家にいる場合、至る所に白癬菌が潜む角質が落ちている状態になります。

特に裸足で使うことの多いもの、例えば、

  • スリッパ
  • 脱衣マット
  • 靴下
  • 爪きり

などが感染源となります。

白癬は感染しやすく、治りにくい

白癬は感染しやすく、治りにくいことが特徴的です。

無症状型という病型があり、真菌が角層のごく表層にとどまり生体が認識しない場合や生体反応が微弱な場合には、症状も病変も存在しません。

 

また「痒み」が少ないと白癬とは認識せず、病院に通って治療しようと思わない人が多いです。

これは、無自覚なキャリアーが多数存在することを意味します。

 

私達がリハビリをしていて、患者さんの足の裏や足部周囲の肌を直接触った場合には、白癬の症状があるなしに関わらず、必ず前腕まで手を洗う習慣を持たなければなりません。

 

また、治療に関しても、冬になって気温が下がると痒みなどの症状が治まるため、治療を中断してしまう方が多く、完治していないことが多いです。

 

そういった方も同じように無症候型のキャリアーとなります。

白癬の予防

白癬の予防方法とガイドラインに基づく治療,リハビリ

とにかく、毎日お風呂に入ろう!

手首から上腕も注意して手洗いしよう!

 

白癬菌が角質から新い角質に乗り移り、深層まで到達する期間が丸1日、約24時間と言われています。

タイムリミットはおよそ24時間、ということです。

 

手洗いができない場合(訪問リハビリなど)でも、一人の患者さんを触ったら、最低アルコール消毒だけでも行いましょう。

 

その間に入浴するなどして、感染した角質を洗い流せば感染しない、といわれています。

もちろん、この時間も絶対ではなく、肌の状態(角質層が薄くなっていると時間が短くなります)などにより変化します。

感染源に触れた、と思ったらできるだけ早く洗い流すようにすべきです。

 

また、上述の感染源となる可能性の高い物品、

  • スリッパ
  • 脱衣マット
  • 靴下
  • 爪きり

などをこまめに取り換えたり、洗濯することで感染を予防する上で大切です。

特に注意が必要なのは、不特定多数の方が使うマットやスリッパです。

施設やジム、入浴施設などに行った時にそれらの物品に触れたときにはほぼ白癬菌が付いていると思った方がよいでしょう。

すぐに洗い流しましょう。

 

療法士の場合は、足のストレッチなどをするときに、頻繁に患者さんの足の裏を触ったり、足の裏を前腕の上や肩に乗せたりします。

療法士が着るケーシーは手首や腕も簡単に洗えるように、冬用でも半袖のものがほとんどです。

白癬菌感染を予防するために、手を洗うことはもちろん必要ですが、手首から上腕も必ずセットで洗うようにして下さい。

白癬菌にアルコール消毒は効果ある?

私達療法士は基本的に患者さんのリハビリが終るたびにアルコールで消毒、もしくは手を洗っています。(はずです・・。)

 

疑問に思われる方も多いと思いますが、白癬菌にアルコール消毒をすると効果はあるのでしょうか?

結論から言うと、予防には効果がありますが、治癒にはほとんど効果がありません。

 

どういうことかと言うと、確かに真菌にはアルコールは有効です。

そもそもアルコール(エタノール)がなぜ消毒作用を持つのかというと、主に、

  1. 脱脂作用を持つため
  2. 細胞に対して脱水作用があるため

です。

 

細胞膜を溶解し、エタノールは非常に揮発性の高い液体なので、細菌の細胞内部に入るとすぐに揮発して蒸発します。

この時、細胞内部の他の液体もろとも蒸発するので、細胞内部を乾燥させてダメージを与えます。

 

そして、この効果は真菌にもあります。

 

しかし、この効果及ぶのは角質の表面まで。

つまり、既に内部の深層にまで寄生してしまった真菌を殺菌することはできません。

よって、白癬菌が角質に付いたすぐあと、まだ角質の表面に付着している状態でアルコールで消毒すれば、白癬菌は死滅し、白癬予防効果があります。

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白癬の治療とガイドライン

白癬の治療には、大きく分けて

  • 局所療法
  • 全身療法

があります。

 

ネット上には様々な水虫治療の方法がありますが、ガイドラインを参照しておけばまちがいありません。

局所療法

局所療法はその部位のみに治療を施すもので、主に外用薬(主に塗り薬)が処方されます。

ガイドラインには、その他にも温熱療法の方法が記されています。

使い捨て懐炉などで,耐えうる限りの温度(通常 40℃ 以上)で一日最低 2 時間前後病変部を熱する.

引用3)皮膚真菌症診断・治療ガイドライン

しかし、

  • 特定の部位しか行うことができない
  • 低温火傷の危険性が高い

ことから、補助的に行うことを推奨しています。

全身療法

全身療法は経口抗真菌薬による 内服療法が中心です。

  • グリセオフルビン
  • フルシトシン 
  • テルビナフィン

などがありますが、長くなるので、これらの薬効はググって下さい。ここでは割愛させて頂きます。

足白癬(水虫)の治療法

白癬で最も感染者の多い、足白癬(水虫)の治療方法についても少し触れておきます。通常の趾間型や小水疱型の足白癬は、外用抗真菌薬を約 1 カ月以上投与し続ける必要があります。

足白癬は自覚症状が乏しい上に,皮膚糸状菌が存在しても臨床症状がはっきりしないことも多く、小水 疱型足白癬や趾間型足白癬では,自覚症状の有無にか かわらず趾間から足底全体に外用抗真菌薬を塗り残しなく,最低 1 カ月は塗り続けなければならない.

引用3)

ガイドラインにもこのように記載されており、長期間塗り続ける必要がるあため、途中で治療を辞めてしまい人も多いです。

そうなるとまた真菌が繁殖してしまう、ということが多々あります。

 

他にも、

足白癬を治癒させても,家庭内の皮膚糸状菌を除去しない限り,再感染を繰り返す可能性がある.

引用3)

このようにも記載されており、如何に完治させることが難しいかということが分かると思います。

まとめ

私は上述の知識を新人の頃は持ち合わせていませんでした。

実習でもこれらのことが教えられることもなく、今考えると凄い不思議です。

 

そう思ってから、私は実習生を担当する時は必ず、「リハビリをしていて感染する可能性のある感染症について」調べてきてもらったり、教えたりしています。

 

ぜひ、皆さんも臨床でこれらの感染症から身を守る術を身に付けてほしいと思っています。

それが、ひいては患者さん達を守ることに繋がります。

 

 

引用1)http://xn--u9jc7mi7cvkthla4994hix3auynlh9c49bj18a.xyz/category1/entry1.html

引用2)goo ヘルスケア

引用3)皮膚真菌症診断・治療ガイドライン

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