電気で痛みを緩和!低周波治療器(電気刺激療法)の効果、使用方法について

低周波治療器


リハビリの臨床や家庭で治療用として用いられる電気治療/低周波治療について説明しています。

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そもそも低周波とは?

電流を300Hz以下の割合で振動させたものを低周波といいます。低周波治療は電気治療の一つとして物理療法で古来より行われてきました。

 

電気刺激の歴史は、1780年、Galvaniがカエルの足の筋肉が電気の影響を受け収縮することを発見します。

その20年後にVoltaがこれが電流の流れの急激な変化によるものであることを改めて証明します。

それ以来、様々な形で電流を人体の健康に活かすための研究がされてきました。

実は低周波と一言で言っても、様々な種類の電流が含まれています。

 

共通の性質としては、

  • すべて周波数が1,000Hz以下の低電圧電流であり、しかもその電圧は一般に絶えず変動していること
  • 人体に電極を介してこれらの電流を流した場合、ほんの数mlAほどの電流しか流れないこと
  • 電流が生理学的には運動及び感覚神経を刺激する効果をもつこと

があることが挙げられます。

低周波の電流波形

低周波治療では、望ましい筋収縮を得るために、いろいろな電流波形が用いられます。

正弦波

正弦波は、電流の強さがゆっくりと上昇し、電流の立ち上がり変化が緩やかなため、痛みを起こしにくいといわれています。

1分間に2~25Hzまでのものが用いられます。

正弦波

正弦波の波形

矩形波

矩形波(クケイハ)では、電流の強さの変化が急激に変わり、刺激が強く痛みを引き起こしやすいです。

矩形波

矩形波

三角波

三角波は電流の強さを徐々に増大させる電流で、電流の立ち上がりが非常に緩やかなので、正常な筋では順応が起こり収縮が起きにくいです。

 

しかし、変性を起こした筋肉には電流の強さが上昇し始めた途中から収縮し、ゆっくりと確実に収縮する特性があるため、理想的電流と言われています。

三角波

三角波

低周波治療を行う目的

リハビリの臨床で低周波電流を用いる目的としては2つあります。

目的①電気診断

1つは神経筋の病理学的変化を電気生理学的にみようとする電気診断への応用です。

電気が筋肉を収縮させる特性を活かして、診断を行います。今回の記事では電気診断については説明を割愛しています。

目的②廃用防止、疼痛緩和

主に電気治療が行われる目的は一般的にこちらが多いです。

神経損傷等によって筋肉が自動的に収縮できなくなった場合に、電気刺激によってその廃用性の萎縮を予防し、かつその収縮性を維持するために電気が用いられます。

また、整骨院などでは鎮痛の目的で3~5KHzの周波数の電流を100Hz位の制限波で延長して利用することもあります。

 

低周波の効果~電気治療で痛みが取れる?~

電気治療による鎮痛効果は、実は低周波電流そのものによる効果と言うよりも、血流改善のもたらす間接的効果が大きいとされています。

通電により筋肉がリズミカルに収縮し、周辺組織にマッサージ効果があり、それが疼痛誘発物質を押し流し、結果的に疼痛緩和効果があります。

この作用を筋ポンプ作用といいます。

脳卒中片麻痺などによる痙性に対する低周波治療の効果

電気治療によって痙性が軽減することは1871年にDuchenneによって報告されています。

 痙性って何?

 

痙性緩和の機序は、痙性筋の拮抗筋を刺激し、収縮させることで相反神経支配の原理に基づくものです。

他の説としては、痙性筋に直接電気刺激を与え、筋疲労による痙性緩和が起きるとする説があります。

しかし、今では普通痙性緩和のために電気を用いる場合は相反神経支配を意識して、拮抗筋に電極を取り付けるのが一般的です。

脊髄損傷などによる脱神経筋に対する低周波治療の効果

筋肉は末梢神経が損傷されると急速に変性していきます。それは特に損傷後、最初の4週間で著しいと言われています。

神経が回復するまでの間、筋肉の萎縮をできるだけ少なくするために電気刺激(低周波刺激)療法が処方されることがあります。

脱神経筋に対する電気刺激は筋の萎縮を遅らせる効果があっても、神経の再生そのものを促進させる効果はないというのが一般的な見解です。

しかし、低周波刺激療法では筋ばかりではなく血管運動神経も刺激され、筋の栄養状態は維持されると言われています。

 

脱神経筋は正常の約2倍疲労回復に時間がかかるとされており、刺激する際には5~25ヘルツの電気刺激を疲労に注意し、休憩をとりながら1回30秒程度いちにち2から3日の頻度で行うべきとされています。

電気刺激療法による脱神経筋への作用は電気による筋収縮を誘発することに意義があります。

しかし電気刺激が強すぎると患者は苦痛を感じます。電気の特性として周りの筋肉にも伝わるため、変性を起こした筋肉にのみ適切な刺激を与えることは困難です。

よって電気刺激を与えるときには波形や刺激時間、休止時間、周波数などを考え、適切な低周波電流を選択することが必要です。

低周波による筋力増強効果

筋肉痛は筋繊維の損傷である

電気刺激は筋肉を収縮させる特徴持つため、当然健常者の筋力増強にも使えます。

筋力を高めるためリハビリで使用される電流は、周波数50Hzまでの矩形波です。

 

最近では廃用症候群の高齢者に寝たまま電極を取り付け、定期的に電気を流すことで筋力低下を予防する方法も研究されています。

個人的にはこれからもっと盛んに研究が行われ、患者の自主トレなどに広く応用されていく可能性を秘めた非常に興味深い分野だと思っています。

 

浮腫に対する低周波治療の効果

上述の通電による筋ポンプ作用を利用して、浮腫に対しても電気治療は用いられます。

患部を挙上しながら行うとより効果的です。

低周波治療の禁忌

以下に当てはまる場合は低周波療法は禁忌となり、実施すべきではありません。

 

  • 心疾患、ペースメーカーを装着している場合。

特に胸部や心臓を挟んだ両上肢に電極を付けることは避ける。

  • 血栓静脈炎、静脈血栓症

血栓が剥離して梗塞となる可能性がある。

低周波治療を行う実際の手順

以下の手順は整骨院や病院で電気療法を行う際の手順になります。市販・家庭用の電気治療器の使用手順については付属の説明書に従って下さい。

 

  1. 患部をホットパックや赤外線で温めておくと通電しやすくなります。
  2. 電極をぬるめの食塩水の中に10分程度浸し、湿らせておきます。軽く絞って余分な水分を出し、しっかりと肌に密着させます。
  3. 電源を入れ、出力をゆっくり上げていき電極をゆっくりと動かして運動点を探していきます。
  4. 筋収縮が確実に起きる点を見つけたら収縮が入ってるのを確認し、出力を決定します。

電極を肌に付ける位置が大切~Moter Pointについて~

電気刺激は皮膚表面上で最も強く反応する部位、運動点(Moter Point:モーターポイント)に通電することで効果が強くなります。

運動神経は運動点付近から筋へと入り込んでいます。

運動点と聞くと1点だけを想像してしまいがちですが、実は1つだけ存在するのではなく数カ所の皮膚に沿って分布してるのが普通です。

これは運動線といわれ、2~3cmの長さがあります。

よって、厳密にピンポイントで電極を設置しなければならないということではありません。

しかし、しっかりと筋肉の収縮が確認できる位置に電極を設置しましょう。

例外として、脱神経筋(神経が機能していない筋肉)では運動点は消失しています。

よって、もし脱神経系に電気刺激を与える場合には筋繊維に直接刺激を与えることになります。その際には、筋繊維が腱の付着部に入る点(筋腱移行部付近)に最も反応が良いことが多いです。

感電・火傷に注意!

低周波治療では電気を使用するので、感電と火傷に十部注意して下さい。

  • 電極と患部との接触を完全にする
  • 電流が流れている間電極を体から離さない
  • 通電中に電源を切らない
  • 金属と皮膚との接触を避ける
  • 傷口に通電しない
  • 電極をよく湿らせる
  • 感覚の低下があるときは火傷に充分注意する

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市販の電気治療器(低周波治療器)

参考までに市販で手軽に手に入る電気治療器(低周波治療器)を載せておきます。

市販の家庭用低周波治療機ではこのようなものが普及しています。価格も安価で手軽に用いることができます。

使用する時は、筋ポンプ作用を意識して、しっかりと筋肉が収縮する位置にパッドを取り付けて血液循環を促すと、疼痛緩和に効果があります。

 

電気の特性を好みや痛みの程度・日差に応じて変えることができるようになっているものが大半です。

コードレスタイプもあります。

まとめ

さらなる高齢化社会を迎える日本では「年を重ねても健康でいれること」は非常に重要な国の課題となってきます。

企業がヘルスケア分野に本腰を入れ始める中で、低周波治療器を始め、電気治療は今後もっと普及・認知されていくことが容易に想像されます。

 

自宅での自主トレや筋力トレーニングなどの場面において、電極を装着し、スイッチを入れるだけで筋力を維持・増強できる電気の特性は非常に魅力的です。

この分野の研究が更に進み、手軽に皆が使用できるようになることを願ってやみません。

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