「冷やして痛みを取る!」リハビリで行われる寒冷療法について

寒冷療法,リハビリ


体の表面を冷やして痛みを抑えたり、筋肉の過剰な緊張を抑制する、寒冷療法について説明しています。

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寒冷療法とは?

ホットパック等の温熱療法は体にも効果があると同時に心理的にも効果が高いことがすぐにわかると思います。

温熱療法についてはこちら リハビリで使える!ホットパックの効果、禁忌と適応、使用方法について解説

 

温められると気持ちが良くて、心も体もほぐれる気がしますよね。

実際にリハビリの臨床でもホットパックをしているときに居眠りする人はたくさんいます。

 

一方で寒冷療法については、痛いのに冷やすと余計痛くなりそう・・・と感覚的に感じる人も多いと思います。

しかし、私たちの身近では打ち身ややけどなどで炎症症状がある時に患部を氷水で冷やしたり、発熱時に水を含ませたタオルや氷枕で頭を冷やすことを自然に行っています。

このように、寒冷療法は、身体の局所的な温度を下げることにより、患部の諸々の状況を改善することを目的とするリハビリにおける物理療法の1つです。

 

氷水の中に手を漬けると、初めは冷感を感じますが、後に我慢できない強い痛みとして感じられるようになります。

この現象は、寒冷療法によるところの

  1. 皮膚の感覚神経終末の閾値の下降
  2. 血管収縮反射の活性化

によるものとされています。

 

しかし、これらは一過性のもので後に反射活動の低下が起こります。

寒冷療法では、この反射活動の低下を利用します。

局所を冷やし過ぎた時の痛みや発赤は、セロトニン(血清中の血管収縮作用を持つ物質でアドレナリン以上に強い作用を持ちます)の効果と言われています。

寒冷療法ではこの効果を利用します。

寒冷療法の分類

寒冷療法,リハビリ

寒冷療法の分類については、

 

  • 対流冷却法

扇風機等により熱を奪う方法

 

  • 蒸発冷却法

気化熱により熱を奪う方法

 

  • 伝導冷却法

冷水などの直接または容器に入れて皮膚を冷却する方法

 

があります。このうち臨床でよく用いられるのは③の伝導冷却法です。

適応

寒冷療法の適応となる疾患・状態としては以下になります。

  1. 外傷や筋・骨格系障害の急性期及び外科的手術後の局所の疼痛と筋スパズムの軽減
  2. 外傷後の炎症性浸出物の抑制(炎症の活動期)
  3. 関節疾患や炎症による疼痛と筋スパズムの軽減
  4. 中枢神経系疾患による筋過緊張の緩和
  5. 褥瘡治癒促進

禁忌

寒冷療法が禁忌となるケースは以下になります。

  1. 心臓及び呼吸器系の疾患がある患者
  2. 心臓及び胸部
  3. 末梢循環障害
  4. 表在感覚が鈍麻、脱失している場合
  5. 寒冷過敏症(レイノー病、寒冷アレルギーなど)
  6. 炎症性腎疾患
  7. 開放性外傷
  8. 結節性動脈周囲炎
  9. クロム親和性細胞腫

寒冷療法の効果

寒冷療法は体の表面に冷たいものを吹き付けたり、直接接触させたりして冷却するために深部に到達するまで時間を要します。

意外に思われるかもしれませんが、温熱よりも寒冷療法の方が深達性があり、過緊張による深部筋を弛緩させ、疼痛緩和につながるとされています。

関節可動域制限に対する効果

関節可動域制限の因子には、

  • 結合組織の粘弾性低下
  • 筋の過緊張
  • 骨・関節障害

に分類されます。

(詳しくはこちらをご参照ください。 リハビリで重要な「関節可動域制限の因子・原因、エンドフィールの種類」について分かりやすく解説

このうち、軟部組織の粘性の変化に対しては組織温度に逆比例する性質があるため、寒冷療法を用いると逆効果になると言われており、結合組織の粘弾性の低下による可動域制限にはホットパックなどの温熱療法が効果的とされています。

よって、結合組織の粘弾性の低下が原因で関節可動域制限がある場合には、寒冷療法ではなく温熱療法を用いる方が良いでしょう。

疼痛に対する効果

打撲や外傷などにより局所に疼痛が発生したときに冷却を行うと、局所の炎症を抑えるとともに疼痛も軽減することができます。

中枢神経疾患では、疼痛とともに痙縮についても考慮が必要です。

 

多くは廃用性によるものに起因していますが、ある部位が何らかの原因で疼痛があると筋スパズムが生じてさらに運動性が低下してしまいます。

つまり、有痛性の筋スパズムは筋収縮に伴って疼痛が出現するために筋収縮の持続ができなくなり、有痛性の関節可動域制限が起こります。

痙縮の存在が疼痛を増大させ、逆に疼痛の存在が痙縮を増大させるという負の関係性があります。

また、

  • 外傷
  • 炎症
  • 筋緊張亢進

などの病的変化は局部の疼痛を引き起こし、周囲筋へのスパズムから病変部の不動か関節拘縮へと進み、痛みの悪循環が始まってしまいます。

同時に付随的な筋スパズムは筋肉の血管を圧迫するために阻血状態となり、疼痛物質が蓄積されることになります。

 

局所の冷却を行うと表在の血管に直接的な収縮が起こります。これらは血流循環により視床下部後部を刺激して、遅発性の血管収縮を引き起こします。

寒冷療法が疼痛に効果がある機序は、

  • 感覚受容器の閾値の上昇
  • 刺激伝達の遅延による中枢の感覚性インパルスの減少
  • 新陳代謝の低下による疼痛物産生の減少
  • 筋緊張低下による血液循環の改善に伴う反応性充血
  • 痙縮の低下による鎮痛効果
  • 反応性充血による鎮痛効果

となります。

 

ピアスを開けるときに氷で耳たぶを冷やしたりすると痛くない、というのを聞いたことがある方も多いと思います。

寒冷療法を行うと、6〜10分で無感覚(皮膚温は4度から10度の間)になるといわれています。

筋緊張に対する効果

寒冷療法が理学療法の分野で使用される大きな目的の1つに、中枢性疾患に起因する筋緊張・痙縮の緩和を図ることがあります。

寒冷療法によって冷やされた運動終末は、筋紡錘の活動性が低下し、伸張反射を抑制する効果があります。

皮膚温が10度以下になるとγ(ガンマ)系などの有髄神経の伝達速度が低下して筋痙縮が抑制されます。

 

 

しかし、局所だけでなく、体温も下がると、γ運動神経活動の亢進を招き、痙縮が亢進します。

よって、痙縮を緩和するために寒冷療法を行う場合は、室温に注意し、あくまで該当部位のみを冷やすようにしないと逆効果になってしまいます。

寒冷療法実施の際の注意点

寒冷療法は、温熱療法とは違い、患者は寒冷療法に対してあまり良いイメージを持っていないことが多いことです。

冬など気温の低いときにはなおさらです。

十分な配慮と説明を行ってから寒冷療法を行う必要があります。

具体的に寒冷療法行う際の注意点は、

  1. 凍傷を避けるため過冷却しない
  2. 説明しても理解が得にくい患者の場合(認知症の患者、小児など)
  3. 感覚脱出や、膠原繊維の粘弾性の低下を引き起こすので、冷却直後の強い等尺性収縮や激しい訓練等は避ける

ことです。

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寒冷療法の臨床での実際

私がリハビリの臨床の中で行ったことがある寒冷療法について実際の方法をご紹介します。

アイスクリッカー

アイスクリッカー

画像引用)株式会社 メイプル名古屋

リハビリにおける寒冷療法では「アイスクリッカー」が比較的頻繁に使われます。

このクリッカーの中に氷と塩を3:1の割合で混合して入れ-15℃程度にして、4~5分程度患部をクリクリと円を描くようにしてさすります。

患部の感覚が鈍麻したら冷やすのを辞めます。

疼痛及び筋緊張の緩和に用います。

※市販のネット商品は2016年現在、上記の写真のメイプル名古屋さんにしか取り扱いがないようです。

お求めの方はこちらメイプル名古屋HP

アイスパック

ホットパックと比べて、患者にとっては心理的抵抗感が強い寒冷療法ですが、疼痛緩和と筋緊張緩和の効果が認められています。

今回の記事を参考にぜひ効果的に利用してみてくださいね。

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