理学療法士が説明する歩行補助具「杖の種類と選び方」

杖の種類と選び方


リハビリの臨床現場で非常に良く使われる歩行補助具が”杖”です。

今回は自身の臨床の経験を元に、杖の使い方や種類、選ぶ際のポイントについてご紹介します。

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杖の種類と選び方

杖には実に様々な種類があります。

  • T字杖(T-cane)
  • 四点杖(Q-cane・多点杖)
  • ロフストランドクラッチ
  • 松葉杖
  • サイドケイン

それぞれの特徴と選び方をご紹介していきます。

T字杖(T-cane)

杖と言われて一般的に想像するのがこのT字杖だと思います。

T字型の形状をしており、握り手部分であるグリップと支えの部分があります。

 

杖の種類の中で唯一介護保険でレンタルできない杖です。(一番需要が多いのですが・・。)

自費購入するしかありません。(視覚障害がある方の”白杖(ハクジョウ)”は障害者福祉制度を利用できる場合もあります。)

 

さらにT字杖の中でも、

 旅行などに便利な折折り畳みできるタイプ

 夜道で光るLED付きのタイプ

 

装飾に趣向を凝らした高級杖などがあります。

ちなみに最近では百円均一でもT字杖を売っています。

 

少し余談ですが、夜道を照らすタイプの杖は、「凄い!」と私も初めは思いましたが、よく考えると、どうしても夜道を歩く必要がある人以外は、できるだけ用事を明るい日中に済ませるようにすれば必要ない気もします。笑

そもそも、杖が必要な方は高齢の方が多いので、あまり夜中に出歩く人は少ないと思います。

T字杖の選び方

T字杖は、杖の中で最もスタンダードな形であり、使う人を選ばず、基本的にはどんな人でも使いこなすことができます。

  • 脳卒中片麻痺
  • 体力の衰えを感じる方
  • 視力障害(白杖)
  • 転倒の不安がある方

などが適応になります。

 

選ぶときのポイントは、

  • 携帯性
  • 耐久性
  • 長さ(調節可能か)
  • 見た目

です。

先ほど折り畳めるタイプもあるとご紹介しましたが、折り畳んで必要な時に使うという用途の方、例えば、疲れた時だけ杖を使いたい方以外は、普通の折り畳みできないタイプのものをおすすめします。

 

折り畳みタイプは、継ぎ手部分に部品がより多く使用されているため、重いものが多く、また、折り畳めないタイプのよりも若干耐久性に劣る場合があるからです。

 

常に、毎日杖を使用する方は、折り畳む必要もあまりないので、折り畳みできないタイプを選ばれた方が無難です。

長さ調節できないものもある

T字杖を選ぶ際に、最低限チェックしておくべきポイントとしては、「長さの調節が可能か」と言う点です。

最低限長さ調節が簡単にできるタイプの杖を選んでおいた方が良いと思います。

 

というのは、例えば脊柱の圧迫骨折をしてしまい、背中が以前より丸くなってしまうことがあります。そういった場合、長さ調節ができないタイプだと買い替える必要がある場合があります。

 

また、例えば、普段履いている靴を変えるなど、簡単なことでも歩行姿勢は少し変わります。そういった時に微調整ができるタイプの方が何かと便利です。

 

微調整ができないタイプの杖は、パイプカッターと言う道具を使用して切断して長さを調整しますが、一度切ってしまうと杖が短くなり、元に戻せません。

強度(耐久性)に関しては、百円均一で売っているものは、支えの棒の部分がプラスチックで形成されており、私が(一般男性程度の力です。)両手で端を持ってグッと曲げると簡単にたわんでしまいます。

 

杖は転倒しそうになった時に全体重を支える重要な要になるので、簡単にたわんでしまうプラスチック製のものではなく、金属製のしっかりとしたものを選ぶようにして下さい。

金属製のものでできるだけ軽いものを選ばれると問題ないと思います。

一番摩耗しやすいのが「先ゴム」

耐久性で言えば、杖を使用していて真っ先にすり減ってくるのは先ゴムの部分です。

杖によって太さが若干違うので、その杖に合った太さの先ゴムを交換して下さい。

あまり勧められたことではないかもしれませんが、百円均一の杖を購入して、「先ゴムだけ使う」というのもひとつの手です。

(普通に買うと先ゴムだけでおよそ1個350円~400円程度します。)

 

また、先ゴムは実に様々な種類のものが最近はあります。

 

 

杖の見た目は、最近はカラフルなものまで、実に様々な杖があります。気にいられたものを選ばれるとよいでしょう。

T字杖の便利グッズ

また、T字杖はどこかに出かけた際に、座ったりしてそこらに立てかけておくと、”パタン”、”パタン”と実によく転倒します。

転倒防止のために使う杖自体が転倒します・・・。結構イライラするものです。

 

 

 

最近は消費者の高齢化に伴い、ホームセンターでもこういったT字杖であれば色んな種類が置いてあります。

実物を手に取って、重さや強度、柄などを確認し、通販でも同じものがないか調べて、価格が安いほうで購入されるのが一番おすすめです。(私は患者さんにそのようにおすすめしています。)

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四点杖(多点杖)

臨床でもT字杖に続いて非常に使用頻度の多い杖が四点杖です。

T字杖が1点で地面を支えるのに対し、四点杖は地面を四点で支えます。(イメージとしては面で支えているイメージです。)

なので、安定性はT字杖よりもあります。

  • 重度の片麻痺などで足が振出しにくい方

などが適応となります。

 

基本的な使用方法は、T字杖がやや斜めに地面に接地させるのに対し、この四点杖は地面に対して垂直に押して使います。

なので、垂直に押して体を半分浮かせないと足が振りだせないレベルの身体機能の方が使う場合が多いです。

T字杖を使う人よりもやや重度の方が使うイメージです。

 

デメリットは、T字杖よりも重いことと、屋内で使用する場合、面で支える分安定性はあるのですが、不整地では非常に不安定になります。

ガタガタしてとても体重を預ける気になれません。

 

なので、基本的には屋内専用の杖であると言えます。

しかし、下の写真の様な三点のものや、支持面が小さく作られているものもあり、こういったものであれば、屋外の不整地でもある程度安心して使用できます。

また、T字杖は自立しませんが、多点杖(四点や三点杖)は地面に置くと自立するので、置いておく時に床に転がってしまわず便利です。

ちなみに、四点杖は介護保険のレンタルで借りることができます。担当ケアマネージャーに相談してみて下さい。

四点杖(多点杖)の選び方

基本的には、屋外でも使う場合は、四点杖でも面の小さいタイプを選ぶこと、もしくは三点のタイプを選ぶことです。

柄やバリエーションはT字杖程ないので、それほど迷うこともないのではないでしょうか。

 

レンタルができるので、使ってみてダメだったら交換、と言う方法もとることができます。(その度に交換して頂くレンタル業者さんには申し訳ないですが・・)

ロフストランドクラッチ

 

ロフストランドクラッチは、付属する輪っかの部分に腕を通し、腕と手掌の二点で体を支えます。

 

どういった方が使用するかというと、

  • 重度の運動麻痺がある方で、長距離歩行される方
  • リウマチによる指の変形などでT字杖が把持できない方(手関節や指関節への負荷は熟慮する必要があります。)

などが対象となります。

 

小児麻痺があり、成人された方などは、運動麻痺が強くあっても自身で独自の歩行の方法を確立し、長距離歩行される方もたくさんいます。

 

そういった方はT字杖だと手がすぐに疲れてしまうので、ロフストランドクラッチで体重を腕と手掌に分散させて体重を支持することで、長距離の歩行が可能になっているケースがあります。

ロフストランドクラッチの選び方

こちらは正直選ぶほどの種類がないのが現状です。

介護保険でレンタルできるので、スタンダードなタイプをレンタルされることをおすすめします。

松葉杖

松葉杖は、足首の捻挫や足の骨の骨折などで、完全免荷状態の方が使用する杖です。
 

上の部分を脇の下に挟み、そこと手掌で握るグリップの部分で体重を支え歩行します。

 

使用する際は、普通の杖よりも特殊な歩き方をするので、少し練習が必要です。(私も最初は上手く歩けませんでした。)

できれば療法士などの専門家と一緒に練習されることをおすすめします。

松葉杖の選び方

腋窩に挟む部分にほとんどの体重を載せて使用します。

この部分が硬い材質でできているものは、少し歩くと腋が痛くなります。

最近販売されたものはそこら辺を考慮してあるものがほとんどですが、昔の松葉杖は木製のものもあります。

できるだけ柔らかい材質でできているものを選んで下さい。

サイドケイン

サイドケインは、杖と歩行器の中間の存在と考えると分かりやすいと思います。移動する手すりの様なイメージです。
 

片手で持ち、体の横に置いて、体重を支持して歩行するためのものです。

 

街中や日常生活で使用されている方はごく稀で、基本的にはリハビリの歩行練習で病院などで使用するものです。

適応の方は、

  • 四点杖でも不安定に感じる方
  • 杖歩行獲得を目標に歩行練習をされている方

などです。

杖で歩きたいけど、歩行器でしか歩けない方が練習のために、その中間であるサイドケインを使って歩行練習をすることが多いと思います。

いわば過渡期に使用される杖ですね。

よって使用頻度・期間はあまり長くないので一般の方はあまり目にする機会が少ないと思います。

 

写真のように二段式になっているものは、椅子や床からの立ち上がりの際に手すりとして使用することもできます。

しかし、軽いものなので、引っ張るとすぐに転倒してしいます。実際はそこまで頼り切って立ち上がることはできません。

 

本当に移動式の手すりの様な感じで、自宅の玄関に手すりが付けれない方が使用しているのを見たことがあり、そういった使い方もできなくないです。(使い方によっては危ないのであまりおすすめはできません。)

サイドケインも介護保険のレンタルを利用できるので、必要性がある方は借りてみると良いと思います。

まとめ

杖には様々な種類があります。

基本的には使用目的に合ったものを選ぶ必要があります。

また、T字杖以外は介護保険の福祉用具貸与サービス(レンタル)を利用することができます。

カタログを見ているだけでは実際の使用感は分かりにくいので、できれば実際に使ってみて選ぶのがベストです。

 

適切に歩行補助具を使用して、転倒を予防し、できるだけ快適に散歩や外出が気軽にできるようになると良いですね。

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