「訪問リハビリとは?」実際に訪問リハビリを行っている理学療法士が詳しく解説します。

訪問リハビリ


今後、その動向がますます注目されている訪問リハビリ。

訪問リハビリでは、各家庭に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門家が患者さんの自宅に直接訪問してリハビリを行います。

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訪問リハビリとは

病院でのリハビリを見たことがある方や実際に病院で働いている療法士なら「リハビリ」に対してある程度”イメージ”があると思います。

 

そういったリハビリでは、「1.2.3.4!」など掛け声を掛けながら筋力トレーニングを行ったり、歩行、入浴、排せつ(トイレ)などの日常生活上での動作練習を行ったりしていることが多いと思います。

 

 

しかし、訪問リハビリの場合は少し毛色が異なります。

 

 

訪問リハビリでは身体状況だけでなく、その人の生活状況、自宅の環境を考慮し、生活を維持・向上させるための環境設定や介護保険や障害福祉サービスなども駆使しながら身体機能面以外への介入も積極的に行っていきます。

参考)生活行為向上マネージメントについて

 

筋力トレーニングや動作練習を行うことも、もちろん大切ですが、訪問リハビリの場合、現在の生活をどうすれば維持できるかということを考えて、担当のケアマネージャー、家族様と一緒に環境面からリハビリを進めていきます。

訪問リハビリの具体的な内容と特徴

訪問する利用者さんのご都合の良い時間に週3回まで、40分~1時間の間で訪問リハビリが実際されます。

多くの場合、1回の訪問につき40分のリハビリが提供されています。

 

具体的に訪問リハビリで行うことは、

  • 移動手段の検討(車椅子、歩行器、杖など、通院手段はどう確保するかなどを検討・提案する)
  • 社会的な「活動と参加」を促す(買い物、地域での高齢者の集まりへの参加など)
  • 介助指導(どうすればより負担が少なく介助が行えるかアドバイスしたり、介助に使える福祉用具などの知識の提供・・必要があれば家族様だけでなく、ヘルパーさんなどの介助者にも行います。)
  • 自宅で行える体調維持・身体機能向上のためな適切な運動の指導・アドバイス・プログラムの立案
  • 食事の介助方法、自助具の提案、嚥下訓練
  • 構音障害などの高次脳機能障害などがある方に対して発声の練習、読み書きの練習、コミュニケーション手段の検討・アドバイス
  • 趣味などの余暇活動を促すための提案・介助など
  • 主に介護保険制度を利用した手すりなどの住宅改修・福祉用具利用の提案

などになります。

訪問リハビリでは地域の特徴を考慮したリハビリを行う

病院・施設・通院などのリハビリとの一番の違いは、「その人が住んでいる場所の、広い意味での環境を整える」という視点が必要なことです。

 

環境を整えるとは、例えば、手すりを付けたり、段差を解消したり、「周りの物理的環境を整える」だけでなく、市町村に掛け合ったり、介助指導を行うことで家族様との関係を調節したり、「社会的な環境の調整」も含まれます。

 

そのために介護保険サービスが必要であれば担当のケアマネージャーさんに協力を依頼する必要があるし、障害福祉サービスが必要であれば、市町村に確認も必要になります。

 

また、その人が住んでいる地域での市町村が行っている高齢者福祉サービスなども頭に入れておき、必要であれば提案することも必要になる場合があります。

 

 

訪問リハビリでは、リハビリをして身体機能の向上・維持を図るだけでなく、その地域の特色や周りの人との関係性なども考慮し、それらに働き掛けることでより患者さんが動きやすい、生活しやすい環境に整えていくことが求められます。

訪問リハビリの対象となる方

いわゆる急性期、回復期以外の疾患の方も多くいらっしゃいます。

病院を退院した直後の方から、慢性期、脳卒中を発症して数年経っている方、また先天性疾患の方も多く、様々です。

 

基本的には患者さんが訪問リハビリを必要としており、主治医がその必要性を認め、訪問看護ステーションや病院併設型の訪問リハビリステーションへ主治医が訪問リハビリの依頼書を書くことでサービス実施をすることが可能となります。

介護保険要介護認定を受けている方は介護保険、ない場合は医療保険を利用するので、負担額は1割から3割程度です。

こんな方も・・

私の担当する患者さんは、身体機能的には屋外を杖を使って一人で歩行することが可能でしたが、以前転倒したことによる恐怖感から一人で外出ができず困っておられました。

そこで、主治医に訪問リハビリの指示書を書いて欲しいとお願いしたそうです。

しかし、主治医は「外来のリハビリを受けることができる身体状態なので、自宅でのリハビリは必要ない」と指示書を書くことを拒否されました。

つまり、「歩いて外来のリハビリに通いなさい」ということです。

 

結局、最終的には、主治医を変えることで指示書を書いて頂き、ようやく訪問リハビリがスタートすることになりました。

 

このように、訪問リハビリを希望される方を取り巻く状況は様々です。

患者さんが希望すれば可能というわけではなく、あくまで訪問リハビリを行う必要性があることを主治医が認める必要があります。

訪問リハビリで使用するのは、医療保険?介護保険?

基本的な解釈としては、介護保険の認定を受けておられる方は介護保険が優先されます。

要介護認定が受けられない40歳未満の方は医療保険となります。

 

 

また、要介護認定を受けている方でも、”厚生労働大臣が定める疾患”がある方は医療保険が優先されます。

”厚生労働大臣が定める疾患”とは?
  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患 (進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類 がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。)
  • 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

さらに、厚生労働大臣が定める疾患がある方の中でも、特定疾患治療研究事業対象の疾患に含まれる方は、所得に応じて限度額が設けられ、ごく一部の自己負担のみで訪問リハビリを受けることが可能です。

(特定疾患治療研究事業対象の疾患については56種類もあり、ここには掲載できません。知りたい方はリンク先にて確認できます。)

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訪問リハビリの料金

多くの訪問リハビリを受けている方が介護保険を利用しています。

1回20分(1単位)3020円です。

 

このうち介護保険適応自己負担額は、所得に応じて1割負担の方は302円、2割負担の方は604円となります。

介護保険の自己負担額は1割負担の方が大半で、訪問リハビリは40分のサービス提供が多いため、一回の訪問で、302円x2単位で自己負担は604円になることが多いです。

週に2回の訪問であれば、週1208円、月では4832円となります。

 

その他、サービス提供地域による加算など諸々の加算が付きますので、正確な金額ではありませんが、おおよそ40分で700円前後と覚えておくと簡単でよいと思います。

訪問リハビリでの療法士はどこから派遣される?

  • 訪問看護ステーション
  • 病院に併設した訪問リハビリステーション

からの派遣になります。

 

訪問看護ステーションは病院から独立しており、普通、医師は在中しておらず、指示書や患者さんの情報を病院から提供してもらい、リハビリプログラムを構築してリハビリを行います。

その際に居宅介護支援事業所の担当ケアマネージャーを介して情報を共有します。

 

一方で病院での訪問リハビリでは、その病院に入院していた患者さんの退院後のアフターフォローという意味合いもあり、患者さんの医療情報をわざわざ外部から取り寄せる必要がありません。

入院していた病院から退院して自宅に帰る時に、その病院に併設する訪問リハビリステーションから療法士を派遣すれば、継続的・総合的なケアが可能となります。

 

しかし、現状としては、訪問リハビリの需要を病院に併設している訪問リハビリステーションで充足させることができず、訪問看護ステーションから提供される訪問リハビリを利用している方が多いです。

訪問リハビリの今後の展開と見込み

国としては、病院で患者さんのリハビリ・療養を行うとコストが高くなるため、今後、医療費削減のために在宅でのリハビリ・療養を進めようとしています。

 

そのために地域包括支援センターを各市町村に設け、医療と介護分野の連携に向けて仕組みを構築しています。

 

現在は訪問看護ステーションによる療法士の派遣が在宅でのリハビリの需要を担っていますが、これは本来の国の目指すところとは異なります。

当初、訪問看護ステーションは看護師を在宅に派遣する目的で設けられたものでした。

 

しかし、予想以上に在宅でのリハビリの需要が高く、療法士の派遣が看護師の派遣より盛んに行われている、という実情があります。

 

なので、国は今徐々に訪問看護ステーションからの療法士の派遣を減らし、病院併設型の訪問リハビリテーションセンターからの療法士の派遣を増やすために診療報酬や加算要件を操作しています。

 

しかし、2025年までは高齢者も増え続け、すぐに病院併設型の訪問リハビリがその需要を担うだけの規模に質・量ともに成長することは考えにくく、今後もしばらくは訪問看護ステーションからの療法士の派遣が大多数を占めると思われます。

 

回復期病院などの入院期間も短くなってきており、今後は、早期に病院を退院し、訪問リハビリで徐々に自宅での生活に慣れていく、という方向で医療と介護の連携が促進されていく見込みです。

現場で働いていて感じる、訪問リハビリの今後の課題

私は回復期病院勤務から訪問看護ステーションの訪問リハビリへ転職しました。

 

訪問リハビリでは患者さんの詳細な医療情報が病院勤務の時よりも満足に得られないことが多く、不自由に感じる部分が多々あります。

 

地域におけるチームでの患者さんへの総合的な介入が求められる訪問リハビリにおいて、医療情報は正しく個人情報のため情報共有がしにくい、という問題点があります。

地域で効率良く連携して介入していくためには、さらなるソフト面での環境整備が必要だと思います。

 

 

今後、電子カルテのクラウド化、それに伴うセキュリティ技術の向上などで、病院が所有する医療情報が地域の医療・介護分野でも簡単に安全に閲覧できるように整備が進められる必要があるのではないかと思います。

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