超音波療法の使用方法、効果、適応、禁忌など 

超音波治療器


超音波とは人間の耳の可聴範囲を超えた高周波20キロMHz以上のことを指します。 超音波は診断と治療の両面で積極的に医療の現場において活用されています。

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超音波療法の特性

超音波治療器

引用1)超音波治療器
理学療法分野に用いられている超音波治療器は、治療部位の深さに応じて1MHzと、3MHzの周波数が利用されています。

超音波は空気中に伝達されないため、超音波治療器と生体との間には、伝搬物質が必要となります。これをカップリング剤と言います。

電磁波を生体に照射しても脂肪が強力な絶縁体となりますが、超音波はほとんど衰退しないで深部の組織に到達します。

またリハビリで用いられる物理療法では唯一、金属が挿入されている部位にも適応で、深部に照射できる治療法です。

 
これは金属で乱反射を起こして熱点を作ることがないことと、金属の熱伝導率が高いので、超音波エネルギーによる加熱が金属全体の温度上昇にまでは至らないと言う理由によります。

超音波療法の適応

超音波療法の適用は、

  • 骨折部位の骨癒合促進
  • 疼痛緩和
  • 筋スパズムの軽減
  • 炎症の治癒促進
  • 創傷の治癒促進
  • 瘢痕組織の柔軟性改善

などです。
適用の第一条件は、深部組織の迅速な加熱が必要な場合です。

その他には損傷組織の組織修復過程での繊維芽細胞の活性を促進したり、薬剤を浸透させる場合にも活用されます。

 

 

最近では、特に超音波療法で注目されているのが、骨折後の骨に対して超音波を照射し、骨癒合を促進させる治療法です。

サッカー選手のデビット・ベッカム選手や野球の松井秀喜選手も怪我(骨折)の治療に超音波療法を行ったことで一躍有名になりました。

超音波の骨折治療法は、微弱な超音波を1日1回20分間、骨折部に当てることで骨折治癒を促進する治療法です。

この治療法の効果は複数の臨床試験で証明されており、骨折の治癒時間を約4割短縮するという報告もあります。

 

高齢化社会を迎える日本で、高齢者の寝たきりになる大きな原因のうちのひとつ、骨折による臥床期間を縮めることができる治療法として、今後の動向が注目されています。

基本的な使用方法と留意点

1.照射部位の皮膚の皮脂成分を石鹸や70%消毒用アルコールを使い、治療導子を最適な接触状態にするための下準備をします。

超音波は各組織により吸収され、その場所で熱に転換されます。

超音波により選択的に加熱される組織は、骨膜周辺、関節包、瘢痕組織、末梢神経、筋膜表面、細胞膜などです。

 

超音波の深達度に影響するのは照射強度ではなく周波数です。
高い周波数(3MHz)の方が低い周波数(1MHz)より組織での吸収率が高くなり、3倍程度になります。(よって、より深部に到達するのは1MHzです。)
しかしこれらの値は均一の組織を仮定しているので、実際には深部組織を治療するときにはそれぞれ多少深達度が異なります。

普通、超音波治療器には連続モードと、間欠モード(パルスモード)があります。

それらの効果を検討し、適切な方を選択します。

 

連続モードとは、温熱効果を目的とした連続的な超音波ビーム様式のことです。

パルスモードは、機械的振動刺激による効果を目的とした間欠的な超音波ビーム様式(パルス状)のことです。

上述の骨癒合や創傷治癒促進を目的とする場合はこちらのパルス(間欠)モードを使用します。

 

基本的に、慢性期には連続モード、急性期は照射時間率5%~15%、亜急性期には20%~50%のパルスモードを選択します。

2.照射部位にカップリング剤を添付します。
しかし完璧に伝達するカップリング剤はなく、元の強度の80%程度が伝達されるに過ぎません

3.治療導子の大きさを選択し、皮膚に接触させます。

4.治療時間を設定します。

治療時間は表面積あたり1分/cm2で、最高15分までです。

5.治療導子は必ずゆっくりと動かし続けます。
導子の移動方法はグルグルと回しながら動かす回転法と直線的に動かすストローク方があります。

範囲が広いときはストローク法、狭い時は回転法が有効です。

1cm/sec程度で移動させるのが基本となります。
なお、固定による定常波は血流の停滞、静脈内皮細胞の障害、血小板の凝集等を生じさせることになり注意が必要です

カップリング剤が乾燥するとうまく伝導されないため、適宜カップリング剤を補充する必要があります。

超音波療法の生理的反応および効果

超音波療法には、

  • 温熱効果
  • 非温熱効果

があると考えられています。

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温熱効果

超音波の連続モードでは、組織温の上昇により、組織の伸展性を高め、血流を改善して循環不全による疼痛を緩和させる効果があります。

その他にも、

  • 侵害受容器の膜のイオン透過性に影響を与えて疼痛を緩和させる
  • 筋紡錘の緊張を和らげ筋スパズムを軽減させる
  • コルチコイド、サリチル酸塩などの薬剤を深部組織に浸透させる

などの効果があります。

非温熱効果

パルスモードでは、機械的な微細振動により、細胞膜での透過性や活性度を改善することにより、炎症の治癒・細胞の活性化を促進します。

また、機械的刺激の受容器や、筋組織内の交感神経系を刺激して、疼痛制御機構(ゲイトコントロール理論)により疼痛を緩和させると考えられています。
浮腫の軽減効果もあります。

キャビテーション効果

キャビテーションとは、簡単にいうと、液体中に泡が生じる現象のことで、一種の沸騰現象のことです。

身近な現象では指がポキッと鳴るときに発生しています。

沸騰は通常、熱により起きますが、キャビテーションは圧力の変化、つまり静圧の低下による沸騰現象のことです。

 

超音波でキャビテーションが発生すると、それにより生じた気泡の発泡現象により、局所の組織に急激な温度上昇を起こすことがあります。

 

そこで治療導子を早く動かしたり出力強度を低くしたり、周波数を高くすることによりそれを防ぐ必要があります。

禁忌

  • 血管の疾患

梗塞の破壊が起こる可能性があります。

  • 急性敗血症

感染を広げたり、敗血症によって発生する塞栓を剥がす可能性があります。

  • 心疾患

ペースメーカーを入れている患者など

  • 腫瘍

腫瘍の成長を促進したり、転移する可能性があります。

  • 脊椎の椎弓切除術を行った脊髄付近には照射しないこと。
  • 妊婦や胎児
  • 成長期の子供の骨端線

ちなみに骨成熟の平均年齢は男子15.5歳、女子17.5歳です。

私が臨床で実際に使っている感想

他の温熱療法と違って、触れることができる皮膚の表層の温度はあまり変化がないため、一見すると効果を確認するのが難しく、患者さんに聞いて温熱効果を確かめる必要があります。

「少し暖かい感じがするけど?どうだろう・・。」という方が多いです。

 

また、ホットパック、マイクロ波などでは他の治療、ストレッチなどを同時並行でできますが、超音波療法を実施している間は同時並行できないため、とにかく時間を取られるという印象があります。

これをやるとそれ以外ほとんど何もできません。

 

なので、本当に効果があるのか、確認のための評価をしっかりと行い、もし効果がはっきり確認できなければ、他の方法を探すなど、時間を有効に使うという意識が必要です。

家庭用の超音波治療器

最近では家庭用の超音波治療器の価格も下がってきており、手の届く価格(2万8500円)で提供され始めています。

※)2016年10月13日追記:現在、写真の商品はアマゾン及び楽天でのネット通販の取り扱いはしていないようです。

ご購入を検討されている方は、直接販売店の「株式会社シントレーディング」ホームページをご参照ください。

 

特に米国では、超音波治療器の研究が盛んで、スポーツ分野でも積極的に応用されています。

その流れで、日本でも米国のメーカーが作った超音波治療器をネットで購入することができます。アマゾンでの評価も☆4つで高評価です。

 

 

恐らく5年くらい前だったら、家庭用の超音波治療器は30万円はしていたと思います。良い時代になったと感じずにはいられません。

まとめ

温熱療法のうち、金属を体内に挿入されている方(大腿骨頸部骨折術後、膝・股OA手術後、TKA・THA)に、深部まで熱を与えることができる物理療法は、超音波だけです。

効果的に使って、ぜひ治療の一助にして下さいね。

引用1)もりした整形外科HP

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